神様project・異世界もチートも欲しくない！ 欲しいのは女神様だけ！！

木曜神の急勝な愛【２９話～３９話】

思考の大冒険！！

   ――いざ朝食を……。

   両手を合わせて一礼と、いただきますの掛け声は忘れない。
   彼女には悪いが、どんなものでも食すのなら当たり前のマナーなのだから。

 「いただきます。」

 「ど、どうぞ召し上がれ！」

   両者は冷や汗をたらしながら一歩も引けをとらないが、まず動いたのは翠の方だった。
   プルプルと震える手と箸でスクランブルエッグを一口。

 「うん、うまい……。」

   声のトーンが若干下がるも決してまずいわけではない。
   味はいまいちだが食えなくはない、強いて言うなら生すぎてべちゃべちゃなところだ。

 「ほっ、本当に美味しい？」

   彼女の瞳にうっすらと明るさが戻ってきたようだ。
   翠は指でグッドマークを作って大丈夫だと言うことを示してあげる。

 「完食できるさ。 んぐんぐ……うまい。」

   味噌汁は濃すぎで、ご飯はドロドロ……。
   何一つとして料理はダメダメではあるものの、やはり愛と言うものの力なのか完食はできた。

 「ごちそうさまでし……た……。」

   苦笑いをした翠と彼女。
   けど彼女はとても嬉しそうだった。

 「お粗末様でしたっ！」

   きちんと食べてくれてからだろうか？
   曇った表情は晴れて本来の彼女の表情を取り戻す。
   初めてこの彼女の笑顔は見たが、他の誰よりも楽しそうで嬉しそうだった。



















   ――このままではいけない……。

   そう思ったのか翠は朝食の後片付けが終わって彼女に問い始める。

 「えーと……。」

 「菊花ですっ！ 木曜神の元木 菊花もとき きっかですよっ！」

   とても元気そうに答えた彼女。
   もし菊花が犬だったら尻尾がはち切れんばかりにブンブン振り回しているほどだろう。

 「えーと菊花さん？ 今日は俺と一緒に料理を勉強しないか？ その……俺も上手ではないけど。」

 「えっ、良いの？」

   菊花は料理の事で叱られてしまうと思って少しビクビクしつつも、本題が見えたら少しだが落ち着いたようだ。

 「昨日のデートの挽回もかねてさ……別行動になるけど、なるべく近くにいてあげるし。 料理の本でも買いにいこうか……うぉっ！？」

   恥ずかしがりながら頭をポリポリ掻いていると菊花に抱きつかれる。
   恵麻とは身長はほぼ同じで、胸の感触や大きさも感じる限りでは同じぐらいだ。

 「えへへーっ、翠大好きーっ！」

   結構強い力で抱きしめられながらも照れる翠。
   当然の翠は前屈みになって少し落ち着かなければ、今にもボルテージが最大になりかねない。
   きちんと本を買ってお互いわかりあってから……。
   だから今は二人で街に少し離ればなれのデートに行くことに。