神様project・異世界もチートも欲しくない！ 欲しいのは女神様だけ！！

金曜神の拒受な愛【４０話～４９話】

包み込む感情！！

   ――本調子じゃなかったのだろうか？

   翠は青い顔をしてはプルプル震えてる。
   スコアを見てもあまり良い精度とは言えず、一番簡単な難易度でもタイミングのズレが目立っていたのだ。

 「遅いわね、指が。」

   鍵や南京錠のアクセントチャームの少女はため息をつきながら後ろの椅子に座り込む。
   プレイヤーが遊んでいるときに後ろで並ぶ人の為の椅子なのだが、プレイが終わり気がつけば眼鏡や霊長類はどうやらもう居なく、話によるとメダルコーナーに遊びに行ったそうだ。

 「しかし、地力はあるみたいね？ 譜面ある程度は把握できてミスも初めてにしては少ないから……。 まぁ、判定は遅めだからスコアは……。」

 「うぐぐ……。 こんなはずでは……うっ！？」

   久々に音ゲーを楽しんだからだろうか、指が少し痛くなってきたので、楽しいけど続行は不可能だということで切り上げることに。

 「また、来ても良いかな？」

 「もちろんよ？ 音ゲーマーに悪い人は居ないからね。」

   彼女はそうニコッと微笑むと、空いた台に百円を投下すると激しく演奏し始めるのだが、翠はもう既に音ゲーのコーナーをあとにしていた。



















   ――お腹も空くお昼時……。

   翠はようやく神社に帰ってこれたのだが、あいにくお腹が空いてやつれた表情である。
   返事すらままならない。

 「ただいま……。」

   玄関を開けるも元々の小声で喋った為に返答は無くても構わないが、何か静まり返って独特の雰囲気だ。

 「あれ？」

   台所に居るのかと思い台所に行く途中、恋の部屋を通過する際チラッと見えたが、ふすまの隙間から布団を敷いて眠っているのが一瞬見えた。
   これなら別に起こす必要はあまりないが、ちょっとだけ寂しい気もする。

 「仕方ないか、たまには自分で飯を作るかな？」

   翠自体もあまり料理は上手でもないが、やる気に満ちており、台所に君臨する。
   水道で手を洗って、さぁ準備は万端。
   まずは冷蔵庫にあるものを探すが勝手に物色するのは悪気はあったが、今は自分の住処すみかなのだから、もし怒られても誠意をもって謝ればきっとなんとかなる……という気持ちはあった。

 「卵にケチャップ……うーん、冷凍室に冷凍ご飯。 鶏肉や玉ねぎはあるけど切るのはめんどくさいからいいや。 」

   何やら色々取り出してこれから調理を開始する。
   そして翠は天井を見上げながら含み笑いを少々。

 「何かに包まれて本当の心をさらけ出さない恋さんには似てるな……。」

   そう言うとボウルを卵をぶつけては割って手際よくかき混ぜる。
   どうやらもう指は痛くないようで、なめらかに手首が動くのは料理を楽しんでいる証拠なのかもしれない。