神様project・異世界もチートも欲しくない！ 欲しいのは女神様だけ！！

月曜神の凛清な愛【７１話～８６話】

風呂の違和感！！

   ――白色の湯気が漂う中で……。

   翠は何かと湯船に浸かりながら考え事をしており、少しばかりため息。
   落ち込んだ表情で水面に写る自分を見つめては瞳を閉じ、天井を見上げては虚無感に浸る。

 「何やってるんだろ……俺。」

   一週間もここに居ても、いまだ夢のような感覚で現実に近い夢と思いたいものである。
   長時間居続けたのだから、学校の皆や家族が心配してるのではないかと心に過って仕方がなく、気になってどうにもモヤモヤが止まらないのだ。

 「やっぱり帰ろうかな？ けど……女神様に一緒に居たい、なんて言ったから責任が……くそっ！」

   一度言ってしまった言葉は取り消そうにも無理な事だと自覚をするも、あのような場面ではとっさに出てしまうのだろう。
   本気で愛する心が大きすぎたために、あんな取り返しのつかない言葉を。
   言った時、女神様は微笑んでくれたのに、後になって自分の心は後悔の気分でいっぱい。

 「明日は智美さん……か。 取り消しの言葉を言いたいけど、……無理だ、殺される……。」

   炎を操る女神様で、他人の苦痛や悲鳴等を好んでいるため、戻りたい……なんて約束を破るとなると、殺されることだって可能性はなくはない。
   身勝手にあんなことを言っておいて自分にも非はあるのかもしれないが、何たって智美なのだから容赦なく焼き尽くされることだって考えられ、楽しい入浴時間も重い空気で楽しむことができなかった。



















   ――悩みだけが残されて……。

   先週もそうだったが聖奈さんはなぜか極端に寝るのが早く、二十一時ともなると神社の明かりは翠の部屋以外は消えて真っ暗に。
   風呂掃除を終えて暗い気持ちの翠をよりいっそう重い雰囲気にしてしまうようなまっすぐで長く思える縁側の廊下にて。

 「幸せすぎるものはやがて身を滅ぼすんだ。 所詮人間の俺には……いや、俺には彼女なんて大層なものは似合わない人間なんだ。」

   縁側に座り込み曇った空を見上げながらすっかり自信を無くしてしまう。
   今でも七人の七曜神全員の事は好きだし、出来ることなら離れたくないが、どうしても取り残された家族や学校の皆の事も恋しくて仕方がない。
   聖奈からの示談、歴史を改竄して翠が生まれてこなかった……皆の記憶から除外される事も考えたが、人生でもっとも大きすぎる悩みに葛藤、誰にも相談できるわけでもない大きな問題に翠はただひたすら答えのない問題を考え込むのであった。