18 / 38
9月10日の4
しおりを挟む
9月10日の4。
それは清みわたる空間で。
その子の部屋は清んだ空気が充満しており別に換気してない様子に見えるのだが、埃っぽい廊下とは大違いだ。
「さてと、まずは自己紹介からだな。 俺は元木玄弥、よろしくな。」
「あ……あの、僕は【天宮 空】よろしく。」
とても可愛らしい名前だと玄弥は頷いてみせるも、何やら腑に落ちないため一つ質問をしてみる。
「僕……か。 感じた雰囲気ではボーイッシュな少女なのだが?」
「う……えぇーと……、そのですね、何というか……。」
玄弥には自信があった。
同じ七曜神なら心を同調させ読むことができるためか、この子の真意を見いだそうとする自信が。
「なるほどな。 男だけのこの寮においてバレたくないわけか……。 まぁ、女と分かれば別物扱いされるのは傷付くものなぁ。」
その言葉に動揺し、何か言おうとするも空気が詰まって何も言えない彼女は黙り混んでしまう。
「あ……ぅ……。」
彼女自信もまたそう思っていたようだ。
自分が女とバレてしまえば、女だから無理するなと労働時間を削られてしまっては面目は丸潰れだし、ナメられてるようなものだと屈辱でならなく、それが許せなかったようだ。
「まっ、俺と二人っきりの時は少しは心を緩めても良いんだぜ。 なぁに、気にするな……新たな妹分が出来て嬉しいだけだ。 そら、試しに自分を私と言ってみろ。」
「わ……私……。」
モジモジと恥ずかしそうに言う様はまるで滑稽で、社会人に慣れない男が言うような感覚の言い分のように聞こえてぎこちなさが玄弥を直撃する。
別に笑いたくはないのだが笑ってしまい、それに膨れっ面の空は、笑うなとばかりにバシンと無言で叩く。
「痛て……へへっ、結愛や恋に反応は似て、感覚は桃子らしいな。」
「ふ、ふんっ……笑いたきゃ笑うがいいよ! 僕は……その、ぜ……全然痛くなんか無いんだからな!」
指をビシッと突き立てる辺りはそっくりで、やはり七曜神特有の雰囲気を醸し出すものはお互い似るものだ。
「おうっ、俺は痛くてもハートを受けとるならドンと来いだぜっ!」
玄弥も負けじとビシッと突き立てる。
「ま、真似をするなぁ……。」
彼女は面白くないのか膨れっ面のまま拗ねてしまうも、とうとう玄弥は頭をなでなでしてしまう。
「なぁっ!? うっ、けほっ……おほんっ!」
空はすっとんきょうな声をあげ、ようやく素の声を出したのか可愛らしい声で話すも、瞬時に気がつき声の質を元に戻す。
でも玄弥はそれが良いと頷く。
「お互い結愛なんだからよ、まぁ……隠し事してもわかるわな。 けど、あまり無理は禁物だぜ。」
無理はしないのが玄弥のモットーの一つなのだから、空が男で貫き通すのも良いがたまには息抜きもしておけとのこと。
それを心で伝えると立ち上がる。
「さてと、松茸は届けたし……次の配達もあるからよ。 俺はこの辺でオサラバするぜ。」
部屋を出ようとしたとき、彼女は素の声で一言だけ伝えた。
「ま……また来ても良いんだからねっ!」
それに答えた玄弥は振り返りもせずに、指でグッドマークを作ると一言だけ返す。
「おうよ!」
そう言い残すと、扉を閉めた。
空はせめて見送ろうと扉を開けて廊下を確認するも、涼しげな風が一瞬吹くだけで、探し回ったがどこにも居なくなっていたとさ。
男と男? の約束は固い。
それだけは言っておく。
それは清みわたる空間で。
その子の部屋は清んだ空気が充満しており別に換気してない様子に見えるのだが、埃っぽい廊下とは大違いだ。
「さてと、まずは自己紹介からだな。 俺は元木玄弥、よろしくな。」
「あ……あの、僕は【天宮 空】よろしく。」
とても可愛らしい名前だと玄弥は頷いてみせるも、何やら腑に落ちないため一つ質問をしてみる。
「僕……か。 感じた雰囲気ではボーイッシュな少女なのだが?」
「う……えぇーと……、そのですね、何というか……。」
玄弥には自信があった。
同じ七曜神なら心を同調させ読むことができるためか、この子の真意を見いだそうとする自信が。
「なるほどな。 男だけのこの寮においてバレたくないわけか……。 まぁ、女と分かれば別物扱いされるのは傷付くものなぁ。」
その言葉に動揺し、何か言おうとするも空気が詰まって何も言えない彼女は黙り混んでしまう。
「あ……ぅ……。」
彼女自信もまたそう思っていたようだ。
自分が女とバレてしまえば、女だから無理するなと労働時間を削られてしまっては面目は丸潰れだし、ナメられてるようなものだと屈辱でならなく、それが許せなかったようだ。
「まっ、俺と二人っきりの時は少しは心を緩めても良いんだぜ。 なぁに、気にするな……新たな妹分が出来て嬉しいだけだ。 そら、試しに自分を私と言ってみろ。」
「わ……私……。」
モジモジと恥ずかしそうに言う様はまるで滑稽で、社会人に慣れない男が言うような感覚の言い分のように聞こえてぎこちなさが玄弥を直撃する。
別に笑いたくはないのだが笑ってしまい、それに膨れっ面の空は、笑うなとばかりにバシンと無言で叩く。
「痛て……へへっ、結愛や恋に反応は似て、感覚は桃子らしいな。」
「ふ、ふんっ……笑いたきゃ笑うがいいよ! 僕は……その、ぜ……全然痛くなんか無いんだからな!」
指をビシッと突き立てる辺りはそっくりで、やはり七曜神特有の雰囲気を醸し出すものはお互い似るものだ。
「おうっ、俺は痛くてもハートを受けとるならドンと来いだぜっ!」
玄弥も負けじとビシッと突き立てる。
「ま、真似をするなぁ……。」
彼女は面白くないのか膨れっ面のまま拗ねてしまうも、とうとう玄弥は頭をなでなでしてしまう。
「なぁっ!? うっ、けほっ……おほんっ!」
空はすっとんきょうな声をあげ、ようやく素の声を出したのか可愛らしい声で話すも、瞬時に気がつき声の質を元に戻す。
でも玄弥はそれが良いと頷く。
「お互い結愛なんだからよ、まぁ……隠し事してもわかるわな。 けど、あまり無理は禁物だぜ。」
無理はしないのが玄弥のモットーの一つなのだから、空が男で貫き通すのも良いがたまには息抜きもしておけとのこと。
それを心で伝えると立ち上がる。
「さてと、松茸は届けたし……次の配達もあるからよ。 俺はこの辺でオサラバするぜ。」
部屋を出ようとしたとき、彼女は素の声で一言だけ伝えた。
「ま……また来ても良いんだからねっ!」
それに答えた玄弥は振り返りもせずに、指でグッドマークを作ると一言だけ返す。
「おうよ!」
そう言い残すと、扉を閉めた。
空はせめて見送ろうと扉を開けて廊下を確認するも、涼しげな風が一瞬吹くだけで、探し回ったがどこにも居なくなっていたとさ。
男と男? の約束は固い。
それだけは言っておく。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる