日々是成長・HDリマスター(本編の少し前のお話)

９月１１日

９月１１日。
それは奇跡の逆転劇。














   菊花は珍しく夜朧城へと単体で乗り込んでは今日はぐうたらとのんびりしている模様。
   玄弥といつもは一緒に来るはずだが神主の仕事をしながらというと、なかなかどうして休みが一致しないのが理由の一つにあげられている。
   だらしなく畳に伏せている様を見るなら聖奈は黙って居ないだろうが、その仕事の功と考えれば多少の自由なら許せるものだ。

 「うぁーっ、お仕事疲れたよーっ。 やぁっと今日はお休みだ……。」

   朝だと言うのにも関わらずむっくりと起き上がっては缶ビールを美味しそうに飲んでおり、一口や二口飲んで落ち着いたならばまた畳に伏しては自堕落と怠惰を楽しんでいる。

 「そう言えば菊花ちゃんは神主だよねぇ。 女でもなれるものなのかなぁ？」

   偶然昨日から宿泊していた天音は高く積み上げた座蒲団を背にもたれつつ、ふと、そんな疑問を口に出してしまう。

 「えっと、神主には別に性別など関係はないのですよ。」

   聖奈は少しばかりの茶をすすっては、思い出したかのように頷く。

 「へぇーっ、そうなんだぁ。」

 「余談ですが、漢字で書くなら巫女には女の字がありますが、逆に男ですと巫覡ふげきというものがあるみたいですね。 あくまでも私の憶測なはず……ですが。」

 「今やなんでもありの時代になったものだねーっ。」

   男だから巫女にはなれないこともないし、女だからといって神主になれない……などというものは無いみたいである。

 「というより、私達も結愛でしょう。 特に天音様は巫女修行はしてますか？」

   聖奈から放たれた言葉は今や天音にとって無縁なはずなのに心にスバッと刺さる弓矢のようである。
   そして、プルプルとぎこちなく震えてはひきつった表情で振り向く。

 「わ、私はほら……海の平和を守るお仕事があって……巫女修行は、忘れちゃ……ひぇえええぇえっ！？」

   蒼白くスパークする聖奈の手のひらがピトッと天音に触れた瞬間、バチバチと感電しては髪の毛が逆立ってしまう天音。
   まるでアフロに近い髪の毛に成り果てては黒焦げの髪の毛は不思議な香りを放っている。

 「私など毎日しておりますのに、何ですかこのていたらくは！」

    真面目な聖奈は毎日剣術から巫女修行、夜朧を治めるための努力に、寺子屋の運営と考えるとキリがないほどであり、その労働時間と言えば、七曜神の中でもっとも長くて、一番の苦労人なのかもしれない。
   働いてお金をもらうような仕事でないがにしろ休日が存在しない彼女にとって、本当に暇なら修行ばかりで休むことを知らない。

 「天音様もたまには修行してはいかがです？」

 「ぜ、善処するよ……ぉ。」

   そういうと天音はバタンと倒れ、それを見た菊花は距離を少し置く。
   聖奈の瞳の奥底が紅くなるも本人の無意識なのだろうか、美味しそうにお茶をすすっては一息つくのでした。














聖奈の休日とはいったい……？
風邪を引いても無理してでもしそうなんですが。