日々是成長・HDリマスター(本編の少し前のお話)

９月２６日

９月２６日。
尽きる燃料。














   珍しく天音は恋の会社にやって来ては、己の端末の不具合を見てほしいと頼むも、どうやらバッテリーパックの劣化と寿命によるものですぐに消費してしまうとのことである。

 「確か、購入したのは五年前ね……。 一度もバッテリーパックの交換に来ていないようなら、そりゃ減りは早いわ。 三年くらいしたら交換時だもの。」

   五年も使えばバッテリーパックの劣化は恐ろしいもので、購入時の七割程度しか電池はもはや機能しないほどである。
   ましてやアプリなど起動したなら一時間持つかどうかすら怪しいほどにまで劣化したバッテリー。

 「バッテリーは繰り返し充電できるけど、効果は永久的なものじゃないわ。 定期的に交換に来なさい！」

 「また三年後ねぇ。」

   天音は代金を支払ってはせっかく恋のところに来たのだからくつろいでは軽くあくびを一発。
   陽光ほどではないにしろ高いビルに拠点を置く恋の居場所は、七刻の建造物ではもっともお日様に近いといっても過言じゃないため、太陽の化身である天音には心地良いのだろう。

 「ふわ……ぁ。 ……もう、アンタのあくびが移ったじゃない！」

 「えぇー……。 でも良いよね、恋ちゃんはほとんど休まないからたまにはあくびの一発でもして、落ち着いた方が……ふわ～……。」

   眠そうにあくびをさらに一発お見舞いすると恋はため息をついては諦めモードに。

 「天音もバッテリーパックを見習いなさいよ、年中無休で働かされてると思えば……ねぇ。」

 「きちんと充電して、休暇を与えてるよ？」

   天音はドヤ顔で反論するも、それが恋のもくろみだとまでは推測できないまま、沼の罠に足を踏み入れる発言をしている。
   恋もドヤ顔でそれについて論をひっくり返す。

 「充電しながら端末を扱ってるのに？ よく言うわね。」

 「うぐ……それは仕方ないよ！ 端末は端末で、人は人だよ？ あー……さすがに愛染の人は機械にまで感情移入するからこうなるのね。」

 「別に良いじゃない？ 人工知能を開発してるようなものよ？」

 「あっ、そっかぁ！ やっぱり恋ちゃんは偉大でスゴいねぇ。」

   天音は他人をおちょくっているのか誉めているのか時々訳のわからないことを口に出し、恋としては苦手でもやはり自分自身だし怒る気にはなれない。
   それに、つられて眠くなって来たのかたまには休憩は必要と思ったのか、珍しく休憩時間外に休憩をとったとさ。














他人に安らぎと怠惰を与えてくれる女神様？
それに睡眠ももたらせてくれるでしょう。