37 / 38
9月29日
しおりを挟む
9月29日。
お互い守るべきもの。
恋は結愛の神社に一泊しては、昨日の出来事について対策を講じることを優先としていた。
ずっと平和ボケで忘れていたようなものだが、冥綾の力は恐ろしく平然と他の七曜神であろうが殺してしまうほどであるから、七刻滅亡なども簡単にやってのけようと思えば赤子の手を捻るほどね造作もない。
「でもどうして? 冥綾がこの世界を破壊しようとするなんて考えはつかないわ?」
「あの病み女の事よ……裏があるに違いないわ。 アイツが絡んでてろくなことなんて一切無かったわよ!」
七曜神の中でもあまり評価はよろしく無いもので、凶暴で狂暴というのなら智美よりも恐ろしいのかもしれない。
「うーん、でもさぁっ、本当に冥綾がやろうとしてるのかなっ? さっきの口調だと裏で誰がが冥綾に指示してるってことも考えられるよねっ?」
お茶を入れに来た菊花にも話は聞こえていたみたいだが、恋も指をパチッと鳴らしては紙にドンドン書き足して行く。
まるで答えのピースをはめてゆくパズルのごとく。
「もし、参謀が裏にいるとしたら……? それこそ冥綾すらも手中に納めるような強靭な力を持ったヤツが……。」
「まさか冥綾が他人に荷担するわけ……。 まぁ、可能性は無くはないけど、なら何のために。」
結愛も自分自身の化身のはずの冥綾についてはあまりよく知らないのであり、今回の行動の意味についても理解に苦しむばかりである。
せめて直接会えるなら心の中を覗いて真意を確かめることはできたはずであるが、あちらから会いに来ることは出来ても、こちら側としては冥綾の所在すら掴めないのだから打つ手は何もない。
「どうするわけ? 明日何が起こるのか分からないわ。 プラットフォームの増設と言うのがかなり引っ掛かるわ。」
「プラットフォーム? 駅とかのホームの?」
その言葉に結愛も何か聞き覚えがあるようだが恋は何通りかの憶測をたてる。
「分からないわ。 けど、私が思うにはプラットフォームはコンピューターなどの電子の土台、サーバーの関係なのかもしれない。」
「うー、私にはわかんない。」
電子機器については全くわからない結愛には何を言ってるのか分からないだろうが、恋は紙に幾重の絵を描き足しては、図形を完成させる。
「プラットフォームの増設、つまり七刻に繋ぐ路線を増やすってこと?」
「プラットフォーム? 電子機器? ねぇっ、七刻って電子の世界なの?」
菊花だって頭は良くないけど何気なしにそんなことを口走った瞬間、恋はハッとなっては大きな声をあげる。
それにビックリしてしまう二人。
「そんな訳無いでしょっ!!」
「わわっ!? ビックリした……。」
「恋、落ち着きなさいっ、ムシャクシャしてても答えはでないわ。」
結愛もなにか答えを見つけ出そうと必死だが、分からずじまい。
けど、今の声で我にかえった恋は申し訳なさそうな表情で謝った。
「ご、ごめん……。」
――冥綾……いったい何をたくらんでいるの?
恋は答えのでないまま天井を見上げては、ため息をついて肩をガックリと落とす。
世界の命運の終わりらしき言葉を突如として突きつけられたのだから、その焦りはやはり半端ないものだろう。
だからこそ彼女は世界を救うために必死なのだ。
すべては皆のために、皆は一人のために。
あらゆる手を使ってでもやるしかない。
お互い守るべきもの。
恋は結愛の神社に一泊しては、昨日の出来事について対策を講じることを優先としていた。
ずっと平和ボケで忘れていたようなものだが、冥綾の力は恐ろしく平然と他の七曜神であろうが殺してしまうほどであるから、七刻滅亡なども簡単にやってのけようと思えば赤子の手を捻るほどね造作もない。
「でもどうして? 冥綾がこの世界を破壊しようとするなんて考えはつかないわ?」
「あの病み女の事よ……裏があるに違いないわ。 アイツが絡んでてろくなことなんて一切無かったわよ!」
七曜神の中でもあまり評価はよろしく無いもので、凶暴で狂暴というのなら智美よりも恐ろしいのかもしれない。
「うーん、でもさぁっ、本当に冥綾がやろうとしてるのかなっ? さっきの口調だと裏で誰がが冥綾に指示してるってことも考えられるよねっ?」
お茶を入れに来た菊花にも話は聞こえていたみたいだが、恋も指をパチッと鳴らしては紙にドンドン書き足して行く。
まるで答えのピースをはめてゆくパズルのごとく。
「もし、参謀が裏にいるとしたら……? それこそ冥綾すらも手中に納めるような強靭な力を持ったヤツが……。」
「まさか冥綾が他人に荷担するわけ……。 まぁ、可能性は無くはないけど、なら何のために。」
結愛も自分自身の化身のはずの冥綾についてはあまりよく知らないのであり、今回の行動の意味についても理解に苦しむばかりである。
せめて直接会えるなら心の中を覗いて真意を確かめることはできたはずであるが、あちらから会いに来ることは出来ても、こちら側としては冥綾の所在すら掴めないのだから打つ手は何もない。
「どうするわけ? 明日何が起こるのか分からないわ。 プラットフォームの増設と言うのがかなり引っ掛かるわ。」
「プラットフォーム? 駅とかのホームの?」
その言葉に結愛も何か聞き覚えがあるようだが恋は何通りかの憶測をたてる。
「分からないわ。 けど、私が思うにはプラットフォームはコンピューターなどの電子の土台、サーバーの関係なのかもしれない。」
「うー、私にはわかんない。」
電子機器については全くわからない結愛には何を言ってるのか分からないだろうが、恋は紙に幾重の絵を描き足しては、図形を完成させる。
「プラットフォームの増設、つまり七刻に繋ぐ路線を増やすってこと?」
「プラットフォーム? 電子機器? ねぇっ、七刻って電子の世界なの?」
菊花だって頭は良くないけど何気なしにそんなことを口走った瞬間、恋はハッとなっては大きな声をあげる。
それにビックリしてしまう二人。
「そんな訳無いでしょっ!!」
「わわっ!? ビックリした……。」
「恋、落ち着きなさいっ、ムシャクシャしてても答えはでないわ。」
結愛もなにか答えを見つけ出そうと必死だが、分からずじまい。
けど、今の声で我にかえった恋は申し訳なさそうな表情で謝った。
「ご、ごめん……。」
――冥綾……いったい何をたくらんでいるの?
恋は答えのでないまま天井を見上げては、ため息をついて肩をガックリと落とす。
世界の命運の終わりらしき言葉を突如として突きつけられたのだから、その焦りはやはり半端ないものだろう。
だからこそ彼女は世界を救うために必死なのだ。
すべては皆のために、皆は一人のために。
あらゆる手を使ってでもやるしかない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる