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王都編
悩める賢王
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豪華な部屋に通された俺は、用意されていた菓子を摘まみながら待機している。
この世界は如何せん地球人が考えたゲームから成っているので、色々と地球の食べ物に近いものが多い。
今摘まんでいる菓子もそれの一つだ。
ビニールで包まれたチョコレートなんて、この時代背景からするとちょっとばかし違和感を感じる。
正直、この世界に転生者なんて来ても金稼ぎできるような発明(笑)は難しいだろうね。
よくあるオセロで資金稼ぎなんてものは、そもそも娯楽の一つにオセロやチェスが既に存在しているため、この世界じゃ画期的でもなんでもない。
もし転生者がいるのだとしたら可哀想だな。
そんな事をもっしゃもっしゃ菓子を摘まみながら考えていると、部屋の戸がノックされ、返事をすると王が入ってきた。
なんでや!
すかさず立ち上がって挨拶しようとすると、
「いい。座ってくれ」
と、言われたので、とりあえず会釈して座った。
王は俺の対面に座る。
「菓子、気に入ってくれたようだな」
「ええ、久々に口にしたら止まらなくってしまい。申し訳ありません」
「気にするな。客人用の菓子だ。客であるお前が全て平らげようがお前のものだからな」
うーん。
ちょいと堅苦しいがいい人っぽいな。
「なぜ私をここに?」
王と世間話に花を咲かせるほど仲良くもないので、本題について切り出す。
「お前も冒険者だから知ってる思うが、近々共和国との国境付近上空に天空ダンジョンが通る」
「はい、知っています」
「うむ。ここにお前を呼んだのは他でもない天空ダンジョンに行って、とある物を取ってきて欲しい」
「依頼・・・と言うわけですか」
「ああ」
王からの直々の依頼。
今気がついたが、しっかりと人払いがされている部屋での話からして、かなり重要なことなのだろう。
して、天空ダンジョンで取れる物で比較的レア度の高いアイテムとすると───
「──誰かご病気、又は怪我でもなされてるのですか?」
「・・・」
王は黙りこみ、少し思案したあと口を開いた。
「・・・妻が何者かによって毒を盛られてな。床に伏しているのだ」
なるほど。
「その何者かについては見当がついているので?」
「ああ、おそらく、この前使者としてやって来た帝国の者だろう。だが、いつどこで毒を盛ったかがわからなくてな。証拠がない状態で訴え出たところで門前払いもいいところだろう。下手に戦争に出たところで得るもの少なく失うものが多くなるだけだからな」
「そこで、今日の大進行で活躍した冒険者に目をつけたと・・・」
王にとっては最悪で最良の日だったわけか。
「ああ。ならば妻を治して帝国と関わらないようにした方が良いからな。頼めるか?」
「そう言うことならば力を貸しましょう」
「報酬は──」
「──報酬は陛下、貴方に一つ貸しと言うことには出来ませんか?」
「貸し一つ・・・か。くくく、一国の王に対して大きく出たな冒険者よ。良いだろう。報酬は私へ貸し一つだ」
「ありがとうございます」
よーーーし!
これで何かあったときは王に頼れるぞぉ!
「そうだ。お前の名をまだ聞いていなかったな。名はなんと言う?」
「ノアです。陛下」
「ノア・・・。くくく、なるほど。これは私にとっても良い縁だったわけか。冒険者よ、いや、ノアよ」
「はい」
「依頼。どうかよろしく頼む」
「はい。無事、完遂して見せましょう」
「頼もしいな。では、私は公務へと戻るとしよう」
そう言って出ていく王に対してお辞儀で見送る。
そして、王と入れ替わるように入ってきた執事さんに城門まで送ってもらった。
「ありがとうございました」
「いえ、またのお越しをお待ちしておりますよ」
「ええ」
この執事さんは事情を知っているのだろうな。
「とりあえず、倉科さんに伝えとくか」
絶対草まみれで返ってくるだろうけど。
noah:王様から依頼されたから天空ダンジョン行くぞ
ピコン
caprice:ファーーーーーーーーwwwwwwwwwwwwwww
な?
この世界は如何せん地球人が考えたゲームから成っているので、色々と地球の食べ物に近いものが多い。
今摘まんでいる菓子もそれの一つだ。
ビニールで包まれたチョコレートなんて、この時代背景からするとちょっとばかし違和感を感じる。
正直、この世界に転生者なんて来ても金稼ぎできるような発明(笑)は難しいだろうね。
よくあるオセロで資金稼ぎなんてものは、そもそも娯楽の一つにオセロやチェスが既に存在しているため、この世界じゃ画期的でもなんでもない。
もし転生者がいるのだとしたら可哀想だな。
そんな事をもっしゃもっしゃ菓子を摘まみながら考えていると、部屋の戸がノックされ、返事をすると王が入ってきた。
なんでや!
すかさず立ち上がって挨拶しようとすると、
「いい。座ってくれ」
と、言われたので、とりあえず会釈して座った。
王は俺の対面に座る。
「菓子、気に入ってくれたようだな」
「ええ、久々に口にしたら止まらなくってしまい。申し訳ありません」
「気にするな。客人用の菓子だ。客であるお前が全て平らげようがお前のものだからな」
うーん。
ちょいと堅苦しいがいい人っぽいな。
「なぜ私をここに?」
王と世間話に花を咲かせるほど仲良くもないので、本題について切り出す。
「お前も冒険者だから知ってる思うが、近々共和国との国境付近上空に天空ダンジョンが通る」
「はい、知っています」
「うむ。ここにお前を呼んだのは他でもない天空ダンジョンに行って、とある物を取ってきて欲しい」
「依頼・・・と言うわけですか」
「ああ」
王からの直々の依頼。
今気がついたが、しっかりと人払いがされている部屋での話からして、かなり重要なことなのだろう。
して、天空ダンジョンで取れる物で比較的レア度の高いアイテムとすると───
「──誰かご病気、又は怪我でもなされてるのですか?」
「・・・」
王は黙りこみ、少し思案したあと口を開いた。
「・・・妻が何者かによって毒を盛られてな。床に伏しているのだ」
なるほど。
「その何者かについては見当がついているので?」
「ああ、おそらく、この前使者としてやって来た帝国の者だろう。だが、いつどこで毒を盛ったかがわからなくてな。証拠がない状態で訴え出たところで門前払いもいいところだろう。下手に戦争に出たところで得るもの少なく失うものが多くなるだけだからな」
「そこで、今日の大進行で活躍した冒険者に目をつけたと・・・」
王にとっては最悪で最良の日だったわけか。
「ああ。ならば妻を治して帝国と関わらないようにした方が良いからな。頼めるか?」
「そう言うことならば力を貸しましょう」
「報酬は──」
「──報酬は陛下、貴方に一つ貸しと言うことには出来ませんか?」
「貸し一つ・・・か。くくく、一国の王に対して大きく出たな冒険者よ。良いだろう。報酬は私へ貸し一つだ」
「ありがとうございます」
よーーーし!
これで何かあったときは王に頼れるぞぉ!
「そうだ。お前の名をまだ聞いていなかったな。名はなんと言う?」
「ノアです。陛下」
「ノア・・・。くくく、なるほど。これは私にとっても良い縁だったわけか。冒険者よ、いや、ノアよ」
「はい」
「依頼。どうかよろしく頼む」
「はい。無事、完遂して見せましょう」
「頼もしいな。では、私は公務へと戻るとしよう」
そう言って出ていく王に対してお辞儀で見送る。
そして、王と入れ替わるように入ってきた執事さんに城門まで送ってもらった。
「ありがとうございました」
「いえ、またのお越しをお待ちしておりますよ」
「ええ」
この執事さんは事情を知っているのだろうな。
「とりあえず、倉科さんに伝えとくか」
絶対草まみれで返ってくるだろうけど。
noah:王様から依頼されたから天空ダンジョン行くぞ
ピコン
caprice:ファーーーーーーーーwwwwwwwwwwwwwww
な?
応援ありがとうございます!
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