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幕間
エルフの里
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王都を出発して早二時間。
深い深い森の上を俺たちは飛んでいた。
エルフの大森林と言えば、ユグドラシルの世界で一番の広さを誇る森林地帯だ。
特殊なルートを行くことでエルフの里に行くことが出来るのだが、これ実は森の中を通った場合の話だ。
空から向かってしまえば関係ない。
ちなみに大森林の空はエルフたちの飼いならした魔物たちが巣くっているため、空から向かうのもまた大変なのだが、今回はフィズリールが気配を隠さずに飛んでいるので、魔物たちの襲撃もない。
「フィズ、あの辺りで下してくれ」
『はい』
フィズに指示をして、里から少し離れた位置にある広場に降りてもらった。
この広場は里までのルートで一番最後の休憩地点で、ここから徒歩で約十分くらいで着く。
ルートを間違えなければな。
ルートを間違えると、ゲーム時代だったら最初の休憩地点に戻される仕組みだった。
浮遊が使える俺には関係なかったけどな。
「こっからは歩くぞ~」
「うぃー」
「ギルとフィズをちっさくなっとけよ」
『ああ』
『ちっさくなった私を見下ろす主・・・あぁ・・・』
「上飛べ」
『それは出来ません』
「はぁ・・・」
これ以上は疲れるのでやめておこう。
休憩地点から森に入り、記憶してあるルートを進んでいく。
この森のルートには目印があるので、知っていれば、まず迷うことはない。
ちなみにルートは森の外にいるエルフから教えてもらえるのだが、その条件がなかなか厳しい。
五つのクエストをこなさなければならないのだが、その全てがお使いクエストで、高レベル帯の魔物の素材だったりする。
まぁ、そんな面倒なことせずにwikiかなんかで調べればいい話なんだけどな。もちろん、俺はちゃんとクリアしてルートを教えてもらいましたよ。
十分くらい進んだところで、二本の巨木が並ぶ広場に出た。
巨木はお互いに枝を伸ばしており、木のゲートのようにも見えなくもない。ゲートなんでけども。
木と木の間を抜けると一瞬ホワイトアウトし、視界が一変する。
先程まで見渡す限り全てが木だったそこは、森の中にあるとは思えないほど明るく、上空を飛んでいるときには確認できなかった一本の巨木を中心に木材で出来た家々が建っていた。
「ゲームの時によく来てたけど、やっぱリアルで見るのとは訳が違うね」
とカプリス。
確かに、今までもそうだが、画面と言うフィルターが無いだけでずいぶんと見え方が変わってくる。
と言うか、ゲームのは絵なので本物とは違うのは当たり前か。
本当の意味で次元が違うもんな。
そんなこと考えながら流れるような動作でスクショしといた。
「ようこそエルフの里へ。英雄ノア様」
周りを見渡していると、そう声をかけられた。
声をかけてきたのは、サラサラな金髪を風に靡かせ、綺麗な碧眼を持つ細身の女性。特徴的な尖った耳を持つ彼女は、絵に描いたように美しい女性、エルフがそこにいた。
彼女の事を俺は知っている。カプリスも知っているだろう。と言うより、エルフの里に来たことがあるプレイヤーなら誰もが知っている女性だ。
「アイーシャさんだ! 本物だ!」
カプリスは彼女──アイーシャを見て興奮したように声をあげる。
アイーシャはエルフの里の長であり、エルフの里に来たことがあるプレイヤーは、一度は必ず彼女と会い、彼女からクエストを受ける。
エルフの里のメインクエストなので、里周辺を探索するには彼女のクエストを完遂しなければならない。
それに彼女の美しさはユグドラシル内でもプレイヤーを抜いて随一。美しすぎるNPCとしてまとめも作られたほどだ。
なので、皆彼女を知っている。
「初めまして? それとも久し振り?」
「どちらでも間違いはありませんね。こうして個として会うのは初めてですし、面識があると言うのも事実」
確かにシステムとしての彼女に会ったことは会っても、人としての彼女に会うのは初めてだな。
「なら、貴女と言う個人に対して初めましてという事で」
「はい。初めましてノア様。カプリス様も初めまして」
「初めまして! うおー! 本物だぁー!」
キラキラと目を輝かせてアイーシャを見るカプリス。
「そんなジロジロ見るのは失礼だぞ」
「と、そうだね。ごめんなさい」
素直に頭を下げるカプリス。
素直な子は好きだぞ。
「此度はどの様なご用件ですか?」
「ちょっとした観光にな。解放後のここは初めてだからな」
「なるほど。では、夜には宴会でもどうでしょうか? 盛大におもてなしさせていただきますよ」
「ふむ、どうす──」
「もちろんおもてなしされたい!」
言葉の途中なのに、カプリスは食いぎみにそう即答した。
まぁ、一夜くらい平気か。
『肉! 肉!』
『私は主の決定に逆らいません。・・・いえ、むしろ逆らってお仕置きと言う──』
他二匹も異論はないようなので、甘えさせていただこう。
「よろしくお願いします」
「かしこまりました。夕刻より始めますので、それまではどうぞ我が里をごゆるりとお楽しみください」
「そうさせて貰うよ」
さて、ここに来たんだ。アイツにも挨拶しにいかないとな。
深い深い森の上を俺たちは飛んでいた。
エルフの大森林と言えば、ユグドラシルの世界で一番の広さを誇る森林地帯だ。
特殊なルートを行くことでエルフの里に行くことが出来るのだが、これ実は森の中を通った場合の話だ。
空から向かってしまえば関係ない。
ちなみに大森林の空はエルフたちの飼いならした魔物たちが巣くっているため、空から向かうのもまた大変なのだが、今回はフィズリールが気配を隠さずに飛んでいるので、魔物たちの襲撃もない。
「フィズ、あの辺りで下してくれ」
『はい』
フィズに指示をして、里から少し離れた位置にある広場に降りてもらった。
この広場は里までのルートで一番最後の休憩地点で、ここから徒歩で約十分くらいで着く。
ルートを間違えなければな。
ルートを間違えると、ゲーム時代だったら最初の休憩地点に戻される仕組みだった。
浮遊が使える俺には関係なかったけどな。
「こっからは歩くぞ~」
「うぃー」
「ギルとフィズをちっさくなっとけよ」
『ああ』
『ちっさくなった私を見下ろす主・・・あぁ・・・』
「上飛べ」
『それは出来ません』
「はぁ・・・」
これ以上は疲れるのでやめておこう。
休憩地点から森に入り、記憶してあるルートを進んでいく。
この森のルートには目印があるので、知っていれば、まず迷うことはない。
ちなみにルートは森の外にいるエルフから教えてもらえるのだが、その条件がなかなか厳しい。
五つのクエストをこなさなければならないのだが、その全てがお使いクエストで、高レベル帯の魔物の素材だったりする。
まぁ、そんな面倒なことせずにwikiかなんかで調べればいい話なんだけどな。もちろん、俺はちゃんとクリアしてルートを教えてもらいましたよ。
十分くらい進んだところで、二本の巨木が並ぶ広場に出た。
巨木はお互いに枝を伸ばしており、木のゲートのようにも見えなくもない。ゲートなんでけども。
木と木の間を抜けると一瞬ホワイトアウトし、視界が一変する。
先程まで見渡す限り全てが木だったそこは、森の中にあるとは思えないほど明るく、上空を飛んでいるときには確認できなかった一本の巨木を中心に木材で出来た家々が建っていた。
「ゲームの時によく来てたけど、やっぱリアルで見るのとは訳が違うね」
とカプリス。
確かに、今までもそうだが、画面と言うフィルターが無いだけでずいぶんと見え方が変わってくる。
と言うか、ゲームのは絵なので本物とは違うのは当たり前か。
本当の意味で次元が違うもんな。
そんなこと考えながら流れるような動作でスクショしといた。
「ようこそエルフの里へ。英雄ノア様」
周りを見渡していると、そう声をかけられた。
声をかけてきたのは、サラサラな金髪を風に靡かせ、綺麗な碧眼を持つ細身の女性。特徴的な尖った耳を持つ彼女は、絵に描いたように美しい女性、エルフがそこにいた。
彼女の事を俺は知っている。カプリスも知っているだろう。と言うより、エルフの里に来たことがあるプレイヤーなら誰もが知っている女性だ。
「アイーシャさんだ! 本物だ!」
カプリスは彼女──アイーシャを見て興奮したように声をあげる。
アイーシャはエルフの里の長であり、エルフの里に来たことがあるプレイヤーは、一度は必ず彼女と会い、彼女からクエストを受ける。
エルフの里のメインクエストなので、里周辺を探索するには彼女のクエストを完遂しなければならない。
それに彼女の美しさはユグドラシル内でもプレイヤーを抜いて随一。美しすぎるNPCとしてまとめも作られたほどだ。
なので、皆彼女を知っている。
「初めまして? それとも久し振り?」
「どちらでも間違いはありませんね。こうして個として会うのは初めてですし、面識があると言うのも事実」
確かにシステムとしての彼女に会ったことは会っても、人としての彼女に会うのは初めてだな。
「なら、貴女と言う個人に対して初めましてという事で」
「はい。初めましてノア様。カプリス様も初めまして」
「初めまして! うおー! 本物だぁー!」
キラキラと目を輝かせてアイーシャを見るカプリス。
「そんなジロジロ見るのは失礼だぞ」
「と、そうだね。ごめんなさい」
素直に頭を下げるカプリス。
素直な子は好きだぞ。
「此度はどの様なご用件ですか?」
「ちょっとした観光にな。解放後のここは初めてだからな」
「なるほど。では、夜には宴会でもどうでしょうか? 盛大におもてなしさせていただきますよ」
「ふむ、どうす──」
「もちろんおもてなしされたい!」
言葉の途中なのに、カプリスは食いぎみにそう即答した。
まぁ、一夜くらい平気か。
『肉! 肉!』
『私は主の決定に逆らいません。・・・いえ、むしろ逆らってお仕置きと言う──』
他二匹も異論はないようなので、甘えさせていただこう。
「よろしくお願いします」
「かしこまりました。夕刻より始めますので、それまではどうぞ我が里をごゆるりとお楽しみください」
「そうさせて貰うよ」
さて、ここに来たんだ。アイツにも挨拶しにいかないとな。
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