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1章 最強の師篇
武闘大会 8
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次の試合は互いに2つ名を持つ者同士の戦いだ。レイラさんの強さは1つ前の試合を見ている人なら十分なほど伝わるだろう。
問題は2つ名持ちの2人を差し置いて、優勝株と言われている魔弾のユリウスだ。
いかにも貴族みたいな整った顔立ちの彼は、女性からは黄色い声援を送られるようだ。
それだけ女性から注目を浴びている。俺を含め、男性から白い目で見られている事は、言うまでもないだろう。
俺は、2人の試合の前に休憩室を訪ねた。
「ガイウスさん。ケガはどうですか?」
「ケガというほどのものではない。それより、お前は奴相手に傷1つないじゃないか!」
「あぁ。うん、まぁね」
ケガどころか2回死んだ。モンスターどころか人間にすら勝てないことに、今更ながら落胆してしまう。
「次の試合は閃光のレイラさんと魔弾のユリウスさんが戦います」
「あぁ。知っているよ。さっき、ここにレイラが来て話してた」
「2人は知り合いなんですか?」
「そうか、悠真は知らなかったな。俺とレイラは夫婦なんだ」
「そうなんですか!全く気づかなかった!」
「俺とレイラとユリウスはな、同じ魔法学園という学び舎で育ったんだ。俺とユリウスは喧嘩ばっかりしててな。止めてくれるのはいつもレイラだった。これも、何かの縁らしいな」
「え、待ってください。トーナメント次第ではガイウスさんとレイラさんは戦わなくちゃいけなかったんじゃないですか?」
「そうなるだろうな。俺らは夫婦の前に武人だから、寧ろ戦いたいと思っていたぞ」
笑って当たり前のように言うが、なにこの夫婦。かなり野蛮なんですけど・・・。
「まぁ、どっちと戦っても強敵だから死なない程度で頑張れ!」
そう言うとガイウスは、休憩室を出て観客席の方へ向かっていく。
俺もそのあとを追うように休憩室を後にする。
どうやら既に2人はステージに上がっているようだ。互いに向かい合ってなにやら話しているが、観客の声援でその声は届かなかった。
俺は、ガイウスさんの隣の席に座る。
「レイラの試合は見たんだよな」
「はい。ものすごく、強かったです」
「ユリウスはもっと凄いぞ」
えっ・・・。まるで、最初から勝敗は決していると言わんばかりのガイウスさん。その目はここじゃない、どこか遠くを見ているようだった。
試合開始の合図が盛大に鳴り、観客の興奮も絶頂を迎えていた。
最初に仕掛けたのはレイラだ。レイピアを抜き、高速でユリウスとの距離を詰める。
ユリウスは右手を伸ばし、親指を立て、人差し指と中指をレイラに向ける。
その瞬間、ユリウスの指先から赤い火の玉が、ギリギリ目視できるスピードで飛んでいく。
レイラは予測してこれを回避し、尚も距離を詰める。
「あれは所作魔法と言ってな。あらゆる動作に魔法を組み込んで作られる詠唱なしの魔法なんだ」
まるで、手から出る銃みたいだ。だけど、レイラさんの反射神経なら軽く回避できそうな気がする。
「レイラをよく見て見な」
レイラさんはステージ上で逃げるように駆け回っていた。
「さっき打った魔法が追尾してるんだ。これが、ユリウスが魔弾と呼ばれる由縁だ」
弾丸のスピードで、さらに追いかけてくるなんて。不可避すぎるよな。
まぁ、それを回避し続けているレイラさんも凄すぎるが。
レイラは地面を強く蹴り、上空に高く飛んだ。
「8撃」
下に向けて放った目にも留まらぬ速さの突きは、火の玉を四散させる。
「やっぱり、簡単には近づけさせてくれないのね」
「我慢比べといこうじゃないか。私のMPがなくなるか、君の体力がなくなるか」
2人の戦いは熾烈を増していく。
問題は2つ名持ちの2人を差し置いて、優勝株と言われている魔弾のユリウスだ。
いかにも貴族みたいな整った顔立ちの彼は、女性からは黄色い声援を送られるようだ。
それだけ女性から注目を浴びている。俺を含め、男性から白い目で見られている事は、言うまでもないだろう。
俺は、2人の試合の前に休憩室を訪ねた。
「ガイウスさん。ケガはどうですか?」
「ケガというほどのものではない。それより、お前は奴相手に傷1つないじゃないか!」
「あぁ。うん、まぁね」
ケガどころか2回死んだ。モンスターどころか人間にすら勝てないことに、今更ながら落胆してしまう。
「次の試合は閃光のレイラさんと魔弾のユリウスさんが戦います」
「あぁ。知っているよ。さっき、ここにレイラが来て話してた」
「2人は知り合いなんですか?」
「そうか、悠真は知らなかったな。俺とレイラは夫婦なんだ」
「そうなんですか!全く気づかなかった!」
「俺とレイラとユリウスはな、同じ魔法学園という学び舎で育ったんだ。俺とユリウスは喧嘩ばっかりしててな。止めてくれるのはいつもレイラだった。これも、何かの縁らしいな」
「え、待ってください。トーナメント次第ではガイウスさんとレイラさんは戦わなくちゃいけなかったんじゃないですか?」
「そうなるだろうな。俺らは夫婦の前に武人だから、寧ろ戦いたいと思っていたぞ」
笑って当たり前のように言うが、なにこの夫婦。かなり野蛮なんですけど・・・。
「まぁ、どっちと戦っても強敵だから死なない程度で頑張れ!」
そう言うとガイウスは、休憩室を出て観客席の方へ向かっていく。
俺もそのあとを追うように休憩室を後にする。
どうやら既に2人はステージに上がっているようだ。互いに向かい合ってなにやら話しているが、観客の声援でその声は届かなかった。
俺は、ガイウスさんの隣の席に座る。
「レイラの試合は見たんだよな」
「はい。ものすごく、強かったです」
「ユリウスはもっと凄いぞ」
えっ・・・。まるで、最初から勝敗は決していると言わんばかりのガイウスさん。その目はここじゃない、どこか遠くを見ているようだった。
試合開始の合図が盛大に鳴り、観客の興奮も絶頂を迎えていた。
最初に仕掛けたのはレイラだ。レイピアを抜き、高速でユリウスとの距離を詰める。
ユリウスは右手を伸ばし、親指を立て、人差し指と中指をレイラに向ける。
その瞬間、ユリウスの指先から赤い火の玉が、ギリギリ目視できるスピードで飛んでいく。
レイラは予測してこれを回避し、尚も距離を詰める。
「あれは所作魔法と言ってな。あらゆる動作に魔法を組み込んで作られる詠唱なしの魔法なんだ」
まるで、手から出る銃みたいだ。だけど、レイラさんの反射神経なら軽く回避できそうな気がする。
「レイラをよく見て見な」
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「さっき打った魔法が追尾してるんだ。これが、ユリウスが魔弾と呼ばれる由縁だ」
弾丸のスピードで、さらに追いかけてくるなんて。不可避すぎるよな。
まぁ、それを回避し続けているレイラさんも凄すぎるが。
レイラは地面を強く蹴り、上空に高く飛んだ。
「8撃」
下に向けて放った目にも留まらぬ速さの突きは、火の玉を四散させる。
「やっぱり、簡単には近づけさせてくれないのね」
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