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1章 最強の師篇
武闘大会 7
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ぶっつけ本番だけど、いよいよアレを試してみるか。
俺は剣を捨て右手をデメルに向けた。
「"アクアショット"」
頭の中で思い出す。あの時、師匠に気絶しないようにと顔に打たれた魔法。
すると、手から勢いよく水が放射される。
しかし、その攻撃もデメルの前であっけなく威力をなくす。
今度は一度に20個のアクアショットを生成し同時にぶつける。同じように効果はなかった。
検証結果
・コピーの能力は物質であれば魔法すらも100%コピーする事が出来る。
・一度にコピーできる数は20個以上
これだけわかれば十分だ。
まずMPがない俺が魔法を使うということは際限なく魔法を使えるという事。
更には物質生成の魔法なら自動的に魔法を覚える。俺はこれを【自動学習】と呼ぶことにした。
デメルについても少しだけ分かったことがある。
それは、あいつのスキル【重力操作】についてだ。
あれはおそらく、一定の近くにある物の重力をあらゆる方向に向けたり重さを変化させる事ができるようだ。だからあんなに素早い移動が出来るんだ。近づく、というより落ちていくといった感覚なのだろう。
あくまで推測に過ぎないが、そう思わせるには十分な材料が集まっていた。
「あんたの弱点、見つけたかも」
俺は再び正面からアクアショットを放つ。
そして、デメルの頭上にアクアショットを生成し、下に向けて放つ。
正面の魔法は案の定防がれたが、頭上の魔法は勢いを増して降りかかる。
「・・・っあああぁぁぁ!」
よし!推測は正しかったみたいだな。これで、こいつとの戦い方が分かったぞ。
「貴っ様ぁぁぁぁ!」
痛みで怒り狂ったデメルは俺に襲いかかる。
怒りに任せた攻撃は単調で、回避するのは容易だった。
「"アクアショット5連発"」
デメルの周り、全方向にアクアショットが生成され、一斉放射する。
やはり、向ける方向は1つしか選べないらしく、1つは必ず直撃する。そして、ダメージが入った左側を再度生成した木刀で叩く。
デメルは吹き飛び、場外に出ていた。
観客はあまりの熱戦にいつしか声を上げる者もいなかった。
「デ、デメル選手場外により勝者悠真!」
アナウンサーが話した後どっと観客の声援は湧く。
その時だった。
場外に出たデメルは、隠し持っていたナイフを取り出し俺に襲いかかる。
「ご、あ・・あ」
間一髪、止めに入ったのは師匠だった。
「なるほど、重力操作系のスキルか」
殴っただけで理解したということは、重力操作によって攻撃は防がれていたはずなのに、それすらものともしない。師匠は本当に人間なのだろうか。
「大丈夫だったか悠真」
俺の方に振り返り言う師匠。頷くと、デメルを連れてその場を去っていく。
こうして、俺の初試合は勝利を収めた。しかし、忘れてはいけない。俺は2回ほど死んでいるんだ。
オリジナルの俺がいたら間違いなく負けていた。その事実がどうしようもなく悔しい。
拳を握り、悔しさをぐっとこらえて次の戦いに備える。
俺は剣を捨て右手をデメルに向けた。
「"アクアショット"」
頭の中で思い出す。あの時、師匠に気絶しないようにと顔に打たれた魔法。
すると、手から勢いよく水が放射される。
しかし、その攻撃もデメルの前であっけなく威力をなくす。
今度は一度に20個のアクアショットを生成し同時にぶつける。同じように効果はなかった。
検証結果
・コピーの能力は物質であれば魔法すらも100%コピーする事が出来る。
・一度にコピーできる数は20個以上
これだけわかれば十分だ。
まずMPがない俺が魔法を使うということは際限なく魔法を使えるという事。
更には物質生成の魔法なら自動的に魔法を覚える。俺はこれを【自動学習】と呼ぶことにした。
デメルについても少しだけ分かったことがある。
それは、あいつのスキル【重力操作】についてだ。
あれはおそらく、一定の近くにある物の重力をあらゆる方向に向けたり重さを変化させる事ができるようだ。だからあんなに素早い移動が出来るんだ。近づく、というより落ちていくといった感覚なのだろう。
あくまで推測に過ぎないが、そう思わせるには十分な材料が集まっていた。
「あんたの弱点、見つけたかも」
俺は再び正面からアクアショットを放つ。
そして、デメルの頭上にアクアショットを生成し、下に向けて放つ。
正面の魔法は案の定防がれたが、頭上の魔法は勢いを増して降りかかる。
「・・・っあああぁぁぁ!」
よし!推測は正しかったみたいだな。これで、こいつとの戦い方が分かったぞ。
「貴っ様ぁぁぁぁ!」
痛みで怒り狂ったデメルは俺に襲いかかる。
怒りに任せた攻撃は単調で、回避するのは容易だった。
「"アクアショット5連発"」
デメルの周り、全方向にアクアショットが生成され、一斉放射する。
やはり、向ける方向は1つしか選べないらしく、1つは必ず直撃する。そして、ダメージが入った左側を再度生成した木刀で叩く。
デメルは吹き飛び、場外に出ていた。
観客はあまりの熱戦にいつしか声を上げる者もいなかった。
「デ、デメル選手場外により勝者悠真!」
アナウンサーが話した後どっと観客の声援は湧く。
その時だった。
場外に出たデメルは、隠し持っていたナイフを取り出し俺に襲いかかる。
「ご、あ・・あ」
間一髪、止めに入ったのは師匠だった。
「なるほど、重力操作系のスキルか」
殴っただけで理解したということは、重力操作によって攻撃は防がれていたはずなのに、それすらものともしない。師匠は本当に人間なのだろうか。
「大丈夫だったか悠真」
俺の方に振り返り言う師匠。頷くと、デメルを連れてその場を去っていく。
こうして、俺の初試合は勝利を収めた。しかし、忘れてはいけない。俺は2回ほど死んでいるんだ。
オリジナルの俺がいたら間違いなく負けていた。その事実がどうしようもなく悔しい。
拳を握り、悔しさをぐっとこらえて次の戦いに備える。
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