聖迷宮~相姦AIラプソディ~

中井春一郎

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第八章

義父の隠された日々

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 剛の養母、聖良は二十四歳で十九歳も年上の建太郎に嫁いだ。

 江戸時代から続く佃煮屋の看板娘。

 ふと立ち寄った建太郎が見初め、足繁く通うようになったのだ。


 建太郎はすでに丸の内に公認会計事務所を構えていた。

 謹厳実直な堅物のように振舞っていたが、実はけっこう遊び人。

 恋愛経験は無くも無いが、結婚する気はさらさらなかった。

 経済力は充分。その方面ではハイクラスの職業婦人と遊ぶのを好んでいた。

 しかし、母親がクモ膜下出血で急死してから父親が老け込んできたので、親を安心

させるためにも、そろそろ妻を迎えようかと考え始めたところに現れたのが聖良。

 着物姿が可愛い聖良の顔が見たさに、食べきれないほどの佃煮を買っていた。


 その頃の建太郎の密かな楽しみは、その過激さで知られるハプニングバー。

 店の名は何と『破廉恥』だ。

 ほんの三十分前まで見知らぬ他人同士が気さえ合えば、その場でSEXまで始めて

しまう。人に見せることで興奮する趣味はない建太郎は見物側に回っていた。

 たまたまカウンターで席を並べた女と、近くのラブホテルに消えたことはあるが。

 そうした女の中で、いちばんビックリしたのが祥子。

 「・・・オジサマ、ブラッディ・マリー、祥子に御馳走してくれない?」

 「ん?パンティの色もブラッディ・マリーだねえ」

 女はパンティ一枚になるとカクテル以外は無料というのが『破廉恥』の決まり。

 祥子はハリウッド女優のようなメイクをしていたが、化粧を落としても美人だと

思われる。フランスの高級化粧品ブランドの東京支社のビューティアドバイザーを

していると言う。二十代半ばに見えたが三十二歳だそうだ。

 「アナルはお好き?」

 「ん?そっちの趣味はないねえ」

 「ああ、良かった。祥子もそちらはお断りしてるの」

 「じゃあ、なぜ聞いた?」

 「一度されたけど痛くて懲りたから。でも辱めを受けるのは大好きなのよ。ねえ

祥子を苛めてくれない?」

 「俺は鞭で叩いたり、縄で縛り上げるのも嫌いだ。大変な美人だが、残念ながら

お友だちにはなれそうもないねえ」

 「そう?ますますお友だちになれそう。いちど縛られたいとは思っているけど、

仕事が仕事だから縛りもお断りしてるの」

 ビュティアドバイダーが素肌に縄痕や痣が付くのはまずいということのようだ。

 「お見掛けすると変態ではないみたね。渋い二枚目で素敵よ。遊びましょうよ」

 建太郎は躊躇した。しかし、強烈なセックスアピールは抗い難い。


 祥子に連れて行かれたのはSMチェアもあるラブホテル。

 祥子がSMチェアに座って両サイドに足首を乗せる。

 「・・・ねえ、匂いを嗅いでみない?嗅いで欲しくて、シャワーも浴びなかった

のだから。恥ずかしい思いをさせてくださいな」

 
  ・・・クン、クン・・フゥウ~・・クン、クン・・・


 「ちっとも臭くないぞ。女の匂いがするといえばするが」

 「そお~?意外と男日照りだからかしら?」

 「じゃあ、そろそろ苛めさせてもらおうかね?」

 「駄目!」

 「???」

 「だって、手枷も足枷もまだじゃない。いつでも逃げ出せるわ。絶体絶命にして

許しを乞うのに往復ビンタもしてくれないと。ところでお名前は?」

 「変太郎だ」

 「じゃあ、変ちゃんでいい?」

 「糞生意気な女だ!変さまと呼びなさい」

 「いい感じ!そんな風に威張り散らしてね・・・変さま」

 「うむ。お前は祥子だったな。祥子ではつまらないな・・・よし、色キチガイの

女だからな、ちょっと長いがセックスコ・・・いや、クスコにしてやる!!」

 「いいわ、いいわね。でも残念ながら今夜はクスコは無いから、ひとまずは往復

ビンタを喰らわせて。頬が赤脹れするほど叩いて。でもゲームよ。明日まで腫れが

残らない程度によ」


     ・・・ピシャ、ピシャア~・・ピシャア~・・・

 
 「ん、もお~!手枷も、足枷もまだじゃない。逃げだせるわ」

 建太郎はたどたどしい手つきで、クスコの両手首、両足首を縛める。

 先ず足枷の鎖でクスコの股を裂く。

 手枷の鎖を天井に向けて引き上げていく。

 
      ・・・ギ・・ギ、ギ・・ギッ、ギ、ギギッ・・・

 
 「ああ、怖いわ・・こんな恐ろしい仕打ち、するなんて。お願い、許して!!」

 「・・・ちょっと、きつ過ぎたかな?少しゆるめよう・・・」

 「ん、もお~!お願い、許しては、もっと苛めてということなの!!」


 建太郎は注文の多い、わがままなマゾ娘をおおいに気にいった。

 しかし、本命はあくまで佃煮屋の箱入り娘。

 祥子とのSMゴッコはしょせん遊びに過ぎない。

 表の顔は堅実な公認会計士。不正経理を発見すると、『指示に従わなければ司直の

裁きを受け、将来の社長どころか解任されて退職金はゼロ、失業者の運命ですよ』と

財務担当重役を厳しく指弾する硬骨感でもある。

 そろそろ身を固め、年老いた父を安心させてやる必要もある。

 末永く添い遂げる妻として聖良ほど相応しい女はいない。

 建太郎は最終決断をした。

 何とか聖良を芝居見物に連れていくまで持ち込むことできた。


 「人形浄瑠璃がこんな素晴らしいものとは、聖良、存じませんでしたわ」

 「中でもこの『心中天網島』は名作中の名作だからね」

 「ええ、この世で夫婦になれないので、あの世で夫婦になってと、遊女の小春が

恋人にすがりつく場面では涙が止まらなくて・・・」

 「小春と治兵衛が次々と橋を渡り、死に出の旅路を急ぐ場面は見せ場だからね。

『この世を捨てていく身には聞くも恐ろし天満橋、淀と大和の二川を、一つ流れの

大川や、水と魚は連れていく、我も小春と二人連れ、一つ刃の三瀬川~、手向けの

水に受けたやな、何か嘆かん、この世でこそは添わずとも、未来は言うにおよばず

今度の今度の、ずっと今度のその先の世までも夫婦ぞや~』というところなどは、

浄瑠璃本を何度も呼んだので、そらんじてしまったけどね」

 実は、聖良に教養があるところをみせようと、受験勉強さながらに必死で暗記を

して、デートに臨んでいたのだが・・・。

 「映画にも名作があるよ。心中に向かう途中の墓場の闇の中で、この世で最後の

営みに耽る場面や、死んでも体が離れないよう互いを縛り付け合う場面は鬼気迫る

ほどなんだよ」

 「・・・恐ろしい光景でございますわね・・・」

 「聖良も見て見たらどうだい?ビデオを持っているから貸してあげようか?」

 「あ、あの・・・怖いから御一緒に見てくださるなら・・・」


 聖良はおぼこ娘。でも、もう二十四歳。学生時代には男を二人知っている。

 遊女と恋人の情交場面を見せようとする男の下心が読めないほど初心ではない。

 御一緒ならという女の謎かけが解けないほど建太郎も鈍感ではない。


 建太郎に送られて家路についた聖良は布団に入っても眠れなかった。

 聖良の自慰の指使いが次第に激しくなり微かな濡れ音さえも・・・。

 黒紋付の人形使いに操られ二体の文楽人形が死に出の旅を急ぐ。

 怪しいまでの美しい姿が、聖良の脳裏にまざまざと蘇っている。

 妄想の中で、遊女の小春の姿がいつしか聖良へと変わっていく。

 だが聖良の手を引き冥途へ伴うのはカタコト動く人形の治兵衛。


 建太郎は用意周到だった。

 有能な公認会計士。

 佃煮屋の税務処理などお手のものだ。

 跡を継ぐ聖良の兄は、建太郎を尊敬するほど。

 謹厳実直な紳士なので、両親も歳の差をさほど気にしない。


 「聖良、お雑煮は建太郎さんの御宅ということね?」
 
 「ええ、ニューイヤーコンサートを御一緒にしてから、その足で」

 「じゃあ、これを着ていきなさい。すぐに留め袖にしなくてはいけないけど」

 母親が出してきたのは辻が花染めの華やかな振袖。

 娘の花嫁衣装として、こっそり仕立てていたのだ。

 除夜の鐘が響き続けるころ、聖良は建太郎と足掛け二年にも及ぶ、長い、長い愛を

交わし続けていた。

 ウエディングベルが鳴り響くのも、そう遠いことではない。

 処女では無くても歩く決まりになっているらしい、バージンロードを進んでいき、

聖良は建太郎の妻となった。


 
 



 

 


 






 

 

 

 
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