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第十五章
熟熟・熟女姉妹ドンブリ~第三幕・壺中庵の場~
しおりを挟む淫斎:いや、実にいい作品に仕上がりました。
小生もシナリオに筆を振るった甲斐があるというものです。
しかし、床の間の小棚に鎮座していた超小型カメラが一番の功労者。
なにせ、その真ん前で致しておられた訳ですからな。
ヤメ検:・・・・・・
淫斎:大アップの映像のド迫力は驚くべきものでしたな。
ヤメ検:・・・・・・
淫斎:・・・貴殿の女扱いの凄腕にも、肝を潰しましたがな。
女どものビラビラを吸い込みガムのように引き延ばす手際の良さ。
小生のような凡人には真似が出来ませんわい。
女将のサネを舌先で転がす技など、ひとつ御教授を賜りたいほど。
ヤメ検:・・・・・・
淫斎:おや?顔色が少しお悪いようですなあ・・・。
ヤメ検:・・・・・・
淫斎:体調不良のところ、むさ苦しい庵に御足労いただき痛み入ります。
ヤメ検:・・・大変けっこうな作品を御送付いただき、こちらこそ恐縮の次第。
御礼のほどは、いかほど差し上げれば?
赤貧洗うが如き法曹生活で蓄えはさほど無いが。
淫斎:はあ?主演男優に御礼をいただくとは?
出演料は百万ほどで御容赦いただければと思っておりますがの。
それと、そこの段ボール箱に、プレスしたDVDが五百ありますのでな、
ひとまず十枚ほどお持ち帰りいただければ。
御交友も広いでしょうからな、貴殿のサイン入りのパッケージも相当数が
必要でしょう。枚数の御指示があれば、急いで送らせましょうわい。
ヤメ検:けっこうです。いりません。
淫斎:ご遠慮には及びませんよ。
女将はAV女優としては無名だが、冴子はあの世界の女帝と呼ばれる女、
それに貴殿は政財官界に重きをなす著名人ですからな。
実売三十万はいくのではと期待しておりますわい。
ヤメ検:・・・・・・
淫斎:まあ昨今はネット時代ですからな。
数百万の方に貴殿の奮闘ぶりを御覧いただけるのではないかと・・・。
世界中に流れますので数千万、いや一億人を超えるかもしれませんな。
ヤメ検:長々としたお話し、痛み入ります。本題に入りましょう。
淫斎:いえ、世間の注目を集めるプランはもっとあるので説明を・・
ヤメ検:けっこうです。
当方に金品をお求めでは無いようですね。要求を伺いましょう。
淫斎:悪漢の御成敗!
ヤメ検:・・・さて?
淫斎:特捜検察官として巨悪の追求もしてきた貴殿が一杯食わされておる。
ヤメ検:して、その悪漢とは?
淫斎:あの名門旅館の当主の娘と、その亭主。
ヤメ検:聞き捨てならない話だが、具体的には?
女将の志保のことが絡んでいるのではと想像はつくが・・・。
淫斎:志保におもてなしさせるのは貴殿だけと悪漢一味は申しているでしょう。
例え総理であろうとも指一本ふれさせませんと。
ヤメ検:左様。私の連中への貢献度は図抜けていますからね。
淫斎:しかも貴殿は、ずっと貴殿と志保との寝間の有様を盗撮されていた。
ヤメ検:何!!それも一味の仕業か・・・。
淫斎:左様、左様。
贈収賄など悪事が露見しそうになると、志保との猥褻写真で貴殿を脅し、
危ない橋を渡ってでも揉み消しをさせるために。
まあ、貴殿を連中の便利な手駒として使ってきた訳ですな。
ヤメ検:うむ。およその察しはついた。
私としたことが迂闊であった。成敗いたさねば。
・・・・・おや?涙ぐんでおられるようだが?
淫斎:志保が不憫でなりません。
当主の理事長は志保を正妻にしたいと思うほど惚れていましたが娘夫婦に
実権を握られ不承不承、志保を貴殿に差し出すことに同意しました。
しかし、貴殿と志保の仲睦まじい寝間の様子を見るや嫉妬に狂い、志保が
女将部屋に戻ってくると、酷い折檻をするようになりましてな。
ヤメ検:可哀そうなことだ。
もう腹を割った話に致しましょう。
貴男にはパンツの中まで見られておりますからね。
可愛がってやるときの志保の悦びようときたらもう・・・。
泣きようの凄まじさには格別の味がありますが、ふと我に返った志保の
恥ずかしがりよう、慎み深さも愛しくなり、また押し倒し・・・
いや、みっともないとお笑いください。
お話を伺い、私も涙が出てきました。
・・・・・これは、ここだけの話にしていただきたいが。
淫斎:さて?・・・決して他言はいたさぬが?
ヤメ検:貴殿からビデオを受け取ったときには、志保を殺そうとも思いました。
淫斎:・・・・・
ヤメ検:自分の手を汚すわけにはいきません。
取り締まる側に長くいたので裏の世界には詳しい。刺客を手配し。
淫斎:それは又・・・・。
ヤメ検:あの可愛い顔が歪むほど喜悦の叫びをあげる志保が、別れる際になると
悲しそうな顔に涙を浮かべ、振り返るのが常でしたので何か辛いことが
あることは判っておりました。
・・・・・自殺を装うことにしましてね。
プロの刺客が当身で志保を失神させる。
温泉街を見下ろす神社の大ケヤキに運び込む。
衿元には偽の遺書。
そして首に縄をひと巻、ふた巻。
グイと引き上げる。
殺してから首を吊れば、鑑識にすぐばれますからね。
湯けむりの里を見詰めながらの覚悟の自殺という段取りです。
冷静に考えれば我が身を滅ぼすことになる愚行を思いとどまりましたが。
淫斎:実行に至らなかったのが何よりだが、苦肉の策とはいえ、小生がシナリオを
書き、猿芝居を打ったのが元。申し訳なかったという言葉も出ませんわい。
志保も土下座でお詫びしたいと申しております。何卒、お許しのほどを。
ヤメ検:いえ。酷い仕打ちに志保が苦しんでいたことを覚らなかった私の落ち度が
そもそもの発端。鬼のような奴らの成敗、必ず致しましょう。
私を先生の書斎にお呼びになった真意は、悪党どもの処刑に力を尽くせと
いうことでしょうね?
警察・検察、東京地検特捜部にも動かせる男が何人かいます。私が当局を
動かし、悪漢一味に鉄格子付きの別荘で、美味しい御飯を喰わせてやると
いうことですね。
淫斎:いや、違います。
ヤメ検:さて?
淫斎:万事、平和的解決を図りたいと思っておりますのじゃ。
ヤメ検:これは奇怪至極なことを・・・。
刑事被告人としたうえ、倒産に追い込む所存かと思っていましたが。
淫斎:それでは志保も路頭に迷うことにも成り兼ねませんでな。
ヤメ検:おっしゃる通りですね。さて、どうしたものか・・・。
淫斎:実は小生、反核平和運動にも微力ながら関わっておりましてな。
一介のエロ本作家ですから、たいしたことは出来ませんが・・・。
運動の大立者は信じてもいない日本国憲法を金科玉条とする二枚舌ばかり。
第一条に天皇の地位は国民の総意に基づくという虚言がありますな。小生は
象徴天皇制を否定するものではないが、天皇制反対の国民も百万人くらいは
いるでしょう。それなのに総意とすることは論理的に破綻しておりますぞ。
その証拠に憲法の公式英文には『総意』に当たる言葉は見当たりませんぞ。
そんな文言を入れれば世界中の識者の笑い者ですからな。日本憲法には国内
向けと海外向けの、二種類があると言ってもいいでしょうな。
小生の憲法改正案は『総意』を外して「和を以て貴しとなす日本国民統合の
象徴」と改めることですのじゃ。これなら保守派も伝統主義者も文句はない
でしょうが・・・・」
ヤメ検:・・・・・
淫斎:また、明治憲法には天皇は男児に限ると明記しておったが、それでは基本的
人権に違反するので拙いと、皇室典範に紛れ込ませるという姑息な手段まで
使いおってからに!!
他にもいろいろ文句があるのじゃが、しかし平和は何より大切ですな。
ヤメ検:なるほど。是非、一献傾けて御高説を賜りたいですね。
聖徳太子の十七条憲法を取り込むことなど慧眼ですな。
しかし、今は志保をどう救ってやるかということが第一です。
淫斎:いや、申し訳ない。興奮して話が脇道に反れましたわい。
確認じゃが、貴殿は志保と元の鞘に収まりたい。いや以前よりもっと親密な
関係になりたいと切に願っているという理解で宜しいでしょうな?
ヤメ検:殺したいとまで思いましたが、それも愛すればこそのこと。
いや、年甲斐も無く恥ずかしい次第ですが・・・。
淫斎:さて、どうするかということですが、ひとまずは『平和五原則』なるものを
作っておりますのじゃ。これに基づき、御貴殿だからこそ出来る、不穏当な
表現ではありますが、正義に基づいた恐喝で、悪漢親子がぐうの音も出ない
ように懲らしめていただきたいのじゃ。
ヤメ検:承知しました。五原則なるものは後ほど検討させていただき、改正意見が
あればご相談することとし、ひとまず了承いたしました。
恐喝してやりましょう。
悪漢一族を震えあがらせ、志保に土下座させる材料ならいくらである!
鬼退治をいたしましょう!!
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