聖迷宮~相姦AIラプソディ~

中井春一郎

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壺中庵淫斎掌篇作品集

永井荷風~カメラ狂の覗き魔~

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 1.鈴木かつ  柳橋芸者。
 
 2.蔵田よし  浜町不動新道の私娼。

 3.吉野こう  新橋新翁屋の富松。 *互いの名の刺青を腕に彫りあっている。

 4.内田やえ  新橋巴屋の八重治。 *父親が死んだ日、荷風は箱根の温泉宿に
                    八重治としけこんでいた。

 5.米田みよ  新橋花屋の抱え。芸名失念せり。

 6.中村ふさ  神楽坂照武蔵の抱え。芸名失念せり。

 7.今村栄   新富町金貸し富吉某の身寄りの女。震災後、家に置きたり。

 8.野中直   赤坂新町に囲ひ置きたる女。神田錦町の私娼。

 9.大竹とみ  江戸見坂に囲ひ置きたる私娼。

10.古田ひさ  銀座タイガの女給。

11.白鳩銀子  陸軍中将田村××の三女。 

12.清元秀梅  清元梅吉内弟子。

13.関根うた  麹町富士見町川岸家の鈴龍。待合幾代といふ店を持たせたり。

14.山路さん子 神楽坂新見番芸妓。本名失念す。

15.黒沢きみ  市内諸々の待合に出入りする私娼。

16.渡辺美代  渋谷宮下町に住み、夫婦にて待合に来たり秘戯を見せる。


 昭和十一年一月三十日。荷風、五十六歳。

 死去の当日まで書き続けていた日記『断腸亭日乗』に、

 荷風はそれまで肌を合せてきた女を列挙している。

 そして欄外には『この他、臨時のもの挙ぐるにいとまあらず』と記した。

 荷風の桁外れの女好きが知れよう。

 しかしまた、この女達は荷風の数々の名作のモデルでもあった。

 女の描写が、微に入り細を穿つのが荷風作品の大きな特徴だが、

 そのために荷風は探偵社を使い、女の氏素性まで調べ上げていたのだ。

 女好きが小説を書いていたというより、

 小説を書く為に女達と情を重ねていたのでは?と思いたくなるほどだ。


 荷風の最高傑作は『墨東奇譚』だが、

 そのヒロイン、東京でも最低ランクの私娼街・玉の井の女、

 お雪のモデルは、この一覧表には登場しない。

 『墨東奇譚』を書いたのは昭和十三年だから。


 この小文ではリストの最後に登場する渡辺美代について少し書いてみたい。

 美代は十七、八歳のころは、二枚目俳優、岡田時彦の情婦になっていた。

 前田男爵や絵描きとも情を通じていた。

 相当な美人、かつ淫乱と思って間違いないだろう。


 『断腸亭日乗』から拾い出してみる。

 『フィルムを購ひ家に帰り夕飯の支度をなす程に美代の情夫、W生まづ来たり、

 ついで美代、来る。写真撮影例の如し』

 『美代および情人渡辺生と会す。奇事百出。記すること能はざるを惜しむ』

 『W生その情婦を携え来たる。奇事百出、筆にすること能はざるを惜しむ』

 
 永井荷風がカメラを構える。

 美代と情夫がその前でSEXを始める。

 そして・・・・。

 『ねえ、先生。お写真はもう沢山お撮りになったでしょ?』

 『うん、うん。いいのが撮れたよ』

 『じゃあ、もうこちらにいらっしゃいよ。一緒に愉しみましょうよ」

 『そうだな』

 荷風と美代、その情婦との3Pが始まるという段取りであった。

 荷風はW生、つまりは美代のヒモとも大変仲が良かった。

 『墨東奇譚』の執筆中には、舞台である玉ノ井の私娼街にしばしば伴っている。


 さて、猥褻写真だが、荷風は以前からしばしば撮っていた。

 『晩間、烏の森に食す。芸妓閨中の艶姿を写真に取ること七八葉なり』

 芸者が客とSEXしているのを密かに撮っていたのだ。

 しかし、現像に出す訳にはいかない秘写真である。

 荷風は現像も焼き付けも覚え、自分でしていたのだ。

 昭和二十年五月の山の手大空襲で荷風の偏奇館(御大層な名だが、ペンキ塗りの

家のダジャレでもある)が焼け落ち、猥褻写真も消失したことは惜しまれる。


 永井荷風の常軌を逸したとも言える性への執着の証言者もリストにある。

 十三番目の関根うたである。

 荷風は半年か一年で女を取り替えていたが、うたとの関係は長く続いた。

 待合(ラブホテルと思えば凡そいい)を買い取り、その女将にしていた。

 その証言。

 「先生は、隣のお部屋との境にある押し入れにキリを持って入りましたの・・・・

 覗き穴を作るためでございます・・・・お客さまが女を連れて部屋に入ると・・・

 そして、お愉しみの様子に御満足なさると『このお客さまはとても良い人だから、

宿代を少しオマケしてやりなさい』とおっしゃりますのよ・・・・」

 荷風が覗きを楽しんだことは間違いないであろう。

 しかし、男と女の営みを、この眼で確かめてみたいという物書きの業でもあった。

 
 空襲で偏奇館を失い住む場所に困っていた荷風に、手を差し伸べた荷風を敬愛する

 若いフランス文学者がいた。空いた部屋があるのでお住まい下さいと言うのだ。

 しかし、たちどころに荷風を叩き出すことになる。

 若い夫婦が愛を確かめ合い始めると、必ず境の襖がそっと空き、

 そこに荷風の眼が光っているから・・・・・。



  *なお、小生としては少しでも多くの方に荷風作品をお読みいただきたいが、
   助平話がお好きな方には『断腸亭日乗』をお勧めする。
   フィクションではなく現実そのものの荷風の性生活も記していますからね。
   リストには無い女にも面白い女が山盛りですよ。
   例えば荷風が大いに気に入った若い新橋芸者がいました。
   「あの子は可愛いだけでなく、あの時の泣き声が堪らないし、滅多にいない
   パイパンだ。養女にして老後の面倒を見させようかと思うが・・・」
   相談を持ち掛けられた芸者屋の女将の返事はこうだった。
   「先生、あの子だけはおよしなさい。男を騙すとんだ女狐ですからね」
   「・・・・・」
  

 



 

 




 

 

 

 
 
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