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終章
女殺し油煙の地獄 ~バルセロナの夜は更けて~
しおりを挟むタケシが冴子とこれ以上恥ずかしいものはない犬畜養同然の『砧』でサカリついて
いたころ、妻の美久の姿は、まだ賑やかな夜のバルセロナの街頭にあった。
美久はお兄ちゃんへのお土産はニューヨークで求める計画だったが、絶対にコレ!
という贈り物を、中世の匂いが漂う市場で見つけることが出来たのだ。
お兄ちゃんがお勉強道具を入れて肩にかけると素敵そうな革の鞄である。
大切な鞄を胸に抱えて見上げた夜空に、巨大な尖塔が照明に浮かんでいた。
サグラダファミリア『聖家族教会』である。
着工から約百五十年。営々として積み上げられてきた世界遺産が、ようやく完成に
近付こうとしていた。
美久はお兄ちゃんと自分と、もうお腹にいるかもしれない赤ちゃんのための教会の
ような気がする。生理が止まったお腹をそっと撫でる。
<きっと、成田を立つ前の日の夜に命中したに違いないわ!>
神様にお尋ねするように、美久は『聖家族教会』の尖塔をまた見上げる。
<男の子かしら?女の子かしら?>
<あと十日もすれば、お兄ちゃんに会える!>
<妊娠検査に行くクリニックは絶対、お兄ちゃんと一緒!>
お兄ちゃんの鞄に頬ずりしながら、夜のバルセロナの石畳を美久はスキップする。
💀 💀 💀
「ああ、駄目、抜いて!お願い、もう抜いて!!」
襖の隙間に壺中庵淫斎が眼を押し付ける。
そのただらない気配に、控えていた志保とレナが老先生の背中に近寄る。
淫斎は無言で後ろ手をして二人を邪険に追い払う。
「何だと突然、さっきからよけいチンボを締めつけてきたくせに!」
「もう抜いて!お願い、抜いて!」
「駄目だ、駄目だ。いっぱいオメコに出してやる」
蒼白になった冴子の顔からは汗が噴き出している。
それを覗き込んでいる淫斎の両眼も血走っている。
冥途の土産、わが生涯最高の大傑作となるはずの物語の終末場面である。
業の深い壺中庵淫斎は、瞬きもせずに覗き続ける。
社長は襖に背を向け、微動だにせず瞑目を続ける。
しかし、その脳裏にはタケシが完成に向けて驀進を続ける『AIクレオパトラ』や
『AI楊貴妃』、両性具有のSEXアンドロイド、さらには、共産主義者のイタリア
国会議員にしてポルノスターでもあるチッチョリーナや、パリ・ムーランルージュの
最高の踊子にして猥褻写真のモデルにして売春婦にして第一世界大戦下で敵対する独
仏両国の首脳を手玉に取ったまでは良かったが二重スパイの汚名を着せられ刑場の露
と消えた間諜X27号ことマタハリなど、好事家向けの特注品、あるいはまた社長の
母親などの『AIセックスアンドロイド』がアンドロメダ星雲のように七色の光芒を
を放ちながら、渦巻いているに違いない。
志保とレナは、朝霧のように漂う湯けむりの方に眼を逸らせ、ただ、震えるだけ。
襖の向こうからは、『砧』でカラダを深く折り曲げた冴子の絶叫が続く。
天井に向けた母親の尻に、後ろを向いた息子が尻を乗り掛けているのだ。
母親のオメコの奥深に息子の勃起し切ったチンボが嵌り込んでいるのだ。
いくら母親が藻掻いても、息子が抜かない限りチンボが抜ける訳が無い。
冴子がタケシを最高難易度の『砧』、これ以上に淫らなものは無い性交体位に誘い
込んだのは、湯けむりの底に潜んでいる妖魔の囁きによるものに違いない。
「サエ、もうヌルヌルなのに・・・・顔にかけて欲しいのか?」
「嫌!それも駄目!タケシ、お願いだから出さないで!!」
「嗚呼、いい!もう出そうだ!」
「駄目!お願い出さないで!!」
「いや、いっぱい出してやる!」
「嫌!嫌!出さないで!出しては駄目!出してはいけないの!!」
<息子と、犬畜生も同然にサカリついた!『砧』までやってしまった>
<でも、この子を産んだところに、この子の子種を注がれることだけは・・・・>
<でも、孕んだら産むに違いない。この子の子だから孫?嗚呼、もう滅茶苦茶!>
北条冴子は中出しOKのポルノ女優。
当然、ピルを飲んでいる。
妊娠する訳が無い。
妖魔が『剛の子を産みたいだろう?産め!産め!!』そう囁いているのか?
襖をサッと、メフィストフェレス社長が後ろ手で開いた。
「アッ、駄目!!」
吸い込まれるようにして、湯けむりが修羅場に漂い流れてくる。
母と子が尻合わせで『砧』をしている姿が、志保とレナの眼にも飛び込む。
その湯けむりは遥か彼方、美久がお兄ちゃんのための鞄を抱いて佇む聖家族教会、
サグラダファミリアにまで漂い流れていくのか・・・・・
「嗚呼~ヤメテ!!駄目、出さないで!出しては駄目なの!!」
「ウッ!逝くぞ、サエ!!」
「嗚呼!剛(タケシ)!!」
完
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