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ヒト族の事情
しおりを挟む産まれた時から一人だった。
大陸一の大国ナスニア帝国の第一王子として産まれた私。
普通なら何不自由ない生活が待っていた筈なのに、産まれた瞬間から必要最低限の世話をする者と共にこの離塔に閉じ込められた。
それもこれも全てはこの見目のせいだった。
かつてこの大陸は一匹の竜により滅ぼされかけた。
当時の王妃に横恋慕した竜が王妃を娶るためだけにだ。
白い竜は口から炎を吐き、翼をふれば嵐を巻き起こした。
時には人の姿を模し人と同じ姿で人には出し得ない力で人々をなぶり殺した。
その姿が白銀の髪をもち切れ長の目透き通る用なグレーの瞳目鼻立ちがはっきりした姿。
その姿は人々の恐怖の対象になった。
緩やかな時を経て国を立て直していきそこに住まう人達は竜とは真反対のふくよかな体細い目に丸い鼻分厚い唇へと進化していった。
人達の恐怖の心が少しでも竜を思い出さないようなその姿を変貌させていったという
なのに、私は産まれた時からかつての竜のごとく大きな目は二重に、鼻は高く薄い唇。
何より黒髪、黒目が至高の色と言われているなかブロンドの髪をもって産まれたのだ。
化け物。
産まれた時より名前など呼ばれたことはなかった。
少しでも皆に近付こうと手当り次第に食事をとってみたが太ることもできず何もしておらぬのに筋肉がついていきごつこつした体になっていく、一人で何でもできるようになってからは食事を運んでくる時以外世話係も近付かなくなっていった。
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