魔法の世界で新たな人生を~捨てられた人生のやり直し~

天羽睦月

文字の大きさ
23 / 120

第23話 次の場所

しおりを挟む
「見た目は普通の焼きそばだけど、濃厚な匂いがしてとても美味しそう!」

出雲がそう笑顔でいると、美桜がこの焼きそばは琴音が作ってくれたのねと言う。

「琴音さんが作ると違うの?」

出雲が美桜に聞くと、美桜が琴音は料理が美味しくてとても家庭的なのと言った。

「料理美味しいんだ! 美桜みたいに誰かに任せたりしないの?」

その質問に美桜が琴音や蓮たちの家は使用人を雇ってはいるけど料理は母親が作っているみたいよと言う。

「貴族も様々なんだね。 あ、凄い美味しい!」

出雲はそう言いながら一口食べると、その濃厚な味に驚いていた。焼きそばをあまり食べたことはないが、この焼きそばは普通とは違うと断言できる美味しさであった。

「私はたまに琴音の家に行ってご飯を食べたりしてるけど、琴音のお母様の料理も絶品よ!」

美桜が笑顔で言うと、食べてみたいなと思う出雲である。それからはお売りを食べて、抹茶さらしな茶という聞いたことがない飲み物を飲み、その味に悶絶しながらも美味しいという訳が分からない飲み物を飲んで、店を後にすることにした。

「ご馳走様、美味しかったわ。 お会計をお願い」

配膳をしていた琴音に美桜が言うと、はーいと可愛い声で対応した。

「お会計は二人で二千五百円です」

値段設定が分からないが、普通なんだろうと出雲は思った。美桜が会計を終えると、沙羅が小走りで駆け寄ってきて美桜に話しかけた。

「今日は来てくれてありがとね! また手伝ってほしい時は連絡するねぇ!」

沙羅の言葉に美桜が了解ですと返した。店から出ると美桜は寄りたいところがあるから行こうと出雲に言った。出雲はどこに行くのと聞くと、私の好きなものが売っている場所だよと笑いながら話す。

脇道から出て大通りに戻るとそこには多くの秋野原に買いもに来ている人たちで溢れていた。秋野原にいる美桜はこの街にいるととても楽しそうな顔して色々な店に入っては出て、入っては出てを繰り返していた。

「なんか荷物増えてない?」

出雲は入っては出てを繰り返している美桜の荷物が少しずつ増えていることに気がついた。

「何を買ったの?」

出雲が聞くと、美桜がビニール袋から小さな長方形の箱を取り出した。

「これは数量限定の限定版であるねんどろいどよ!」

それはデフォルメされたフィギュアであった。デフォルメされたフィギュアは美桜が好きなアニメのグッズであり、美桜は目を輝かせて可愛いわと言っていた。

「そのアニメ凄い好きだね! 他のアニメとかも好きなのあるの?」

美桜はそう聞かれてうーんと唸っていると、今はあのアニメだけど他にはギャグ系や日常アニメも好きねと言った。

「色々なアニメがあるんだね! 美桜はいつ頃からアニメが好きになったの?」

その質問に美桜が右手の人差し指を顎に置いて少し考えると、出雲に歩きながら話し始めた。

「一時期実家に一人でいることが多くて、何もすることがなかったの。 その時にテレビでやってたアニメのCMを見て、一人で苦難を乗り越えることや一人で生きるその強さが羨ましくてアニメを見るようになったの」

そう聞いた出雲は美桜にも辛いことがあるんだなと思い、美桜との距離が少しだけ近くなった気がした。それから美桜は出雲を連れて秋野原で有名なアニメグッズを扱う地上五階、地下二階の縦長のビルに入っていく。そこはアニメスポットという看板がビルにかけられており、美桜はやっと来れたわと笑顔になりながら出雲の右肩を軽く叩きながら話していた。

「ここが来たかった場所なんだね。 結構人が沢山入ってるけど、どんなものが売っているの?」

出雲が美桜に聞くと、歩きながら説明をするねと言った。

「ここの入り口がアニメの特集雑誌や新発売の漫画本や小説とかが売っている場所ね。 そして二階や三階はシリーズ物の漫画と小説が売っているわ。 四階と五階はアニメのグッズ売り場ね今まで売られたものや新発売の物が売っているわ」

出雲は畳み掛けるように説明をする美桜の楽しそうな顔を見て、自身も楽しくなっていることに気がついていなかった。

「ねぇ、ちょっと聞いてる? 私が説明しているのよ?」

屈んで出雲を見上げる形で美桜が言う。出雲はその時に美桜の胸元が見えてしまいドキッと心臓が大きく鳴った。

「ご、ごめん! 美桜が楽しく話すものだから俺も楽しくなっちゃって」

出雲の言葉を聞いた美桜は、ならいいけどと言って説明を再開した。

「地下はね、イベントとかをやるスペースになってるの。 アニメのイベントとかキャストさんによるトークショーとか色々やってるわ」

美桜はそれで簡単な説明は終わりかなと言って、目当ての物がある三階に階段を上って歩いて行く。美桜は三階に到着すると、人だかりが出来ていることに驚いていた。

「しまった! あのフィギュアを目当ての人がこんなにいるなんて!」

美桜はそう叫んで、人だかりの中に突っ込んでいった。出雲は突然負けるかと叫びながら走っていった美桜に驚きながらその場に立ち尽くしていた。

「何があったんだ……美桜さーん!? どこに行ったのー!?」

出雲が人だかりに向かって声を上げると、美桜のこっちに来てと言う叫び声が聞こえた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

弓術師テイマー少女の異世界旅 ~なぜか動物系の魔物たちにめちゃくちゃ好かれるんですけど!?~

妖精 美瑠
ファンタジー
高校弓道部の部長・赤上弓美は、大学合格発表の日に異世界クラシディアへ突然転移してしまう。 弓道一筋で真面目な彼女には密かな悩みがあった。それは“動物にだけはなぜか嫌われてしまう体質”――。 異世界で女神様に謝罪されながら三つの能力と「テイマー」という職業を与えられ、さらに容姿まで10歳の赤髪少女に変わってしまった弓美。 それなのに、なぜか動物系の魔物たちにはやたらと懐かれまくって……? 弓術師+テイマーという職業を駆使し、回復・鑑定・アイテムボックスまで兼ね備えた万能少女となったユミは、 この世界で出会いと冒険を重ねながら、魔物たちに囲まれて異世界旅を始めていく! 弓術師&テイマーになった幼女、癒しスキルでモフモフ魔物に囲まれてます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー ※素人ですが読んでくれると嬉しいです。感想お待ちしています。 毎週月曜日12時公開です。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

処理中です...