魔法の世界で新たな人生を~捨てられた人生のやり直し~

天羽睦月

文字の大きさ
46 / 120

第46話 美味しい料理

しおりを挟む
出雲は部屋を出ていく美桜の背中を見て、美桜といると幸せだなと考えていた。

「あ、晩御飯出来ているんだった! 早く行かなきゃ!」

そう思い勢いよく部屋を出ると、扉の右横で美桜が顔を紅く染めて両手を両頬に当てていた。出雲は美桜を見ると、先に行ったんじゃないのと話しかけた。

「あ、いや……えっとね……ちょっと疲れちゃって!」

出雲はその言葉を聞いた美桜の額に自身の右手を当てた。すると一気に美桜の顔が紅く染まり、額が熱くなった。

「だ、大丈夫!? 凄い熱いよ!?」

出雲がそう言って美桜を心配すると、美桜は熱じゃないからと声をあげた。

「な、何でもないから! 出雲は気にしなくて大丈夫!」

そう言って美桜は出雲に食堂に行こうと言った。出雲はそうだねと言って横を歩こうとするも、美桜は出雲の一歩前を歩き続けた。

「美桜さーん? 歩くの早くない?」

出雲がそう聞くも、美桜はいいのと言って聞かなかった。そのまま食堂に入ると、雫や使用人達が座って待っていた。雫は美桜の顔を見ると、顔が紅いですよと話しかける。すると美桜はいいからと言って自分の席に座った。

「何があったんだろう? 美桜はまだ顔紅いや」

出雲は美桜の顔を見ると、先ほどよりは紅くないがまだ少し紅いのでどうしたんだろうと未だに理解が出来なかった。

「さて、出雲も戻ってきたので今日の晩ご飯は豪華にしてみました!」

美桜がそう言うと、使用人の人達が刺身や寿司を持ってきた。出雲はその寿司を見ると、こんなの食べたことがないと言って目を輝かせる。寿司と刺身を見て出雲は身を乗り出して料理を見る。その料理はネタが様々でありマグロやサーモンウニにイクラなどがある。刺身ではサバやイカ、マグロにサーモンとネタは被っているものもあるがそれでも美味しそうである。

「寿司とか刺身って食べたことがなくて、凄い美味しそう!」

言うもが目を輝かせていると、美桜が初めてなのねと呟いていた。そして、雫が今日の料理は美桜と使用人たちが作ったと言う。それを聞いた出雲は美桜にマジでと言ってありがとうと笑顔で言った。

「そ、そこまで感謝しなくても、出雲が頑張ったからご褒美で教えてもらいながら作ったの」

美桜が頬を掻きながら照れていると、割り箸を使用して出雲はサーモンの寿司から食べ始めた。割り箸で掴んで小皿に注いでいる醤油につけて一口で食べる。出雲はサーモンの寿司を噛んでいくと、口の中に広がるサーモンの脂の味と風味が広がって頬が蕩けるくらいに美味しかった。

「凄い美味しい! 寿司って美味しい!」

出雲が喜んで寿司と刺身を食べていると、美桜がウニも食べてと出雲に食べさそうとする。

「ほら、口開けて」

美桜はそう言って出雲の横に移動をして、割り箸で掴んだウニを出雲の口の前に持ってきた。出雲は一瞬躊躇をするも、せっかく美桜に食べさせてもらえるからと口を開けた。

「あーん」

出雲が口を大きく開くと、美桜は掴んでいるウニを出雲の口の中に入れた。口の中に入ったウニの寿司は、新鮮な海の匂いと共に溶けるように消えていく。そのウニを食べた出雲は美味しすぎるとウニもう一個と美桜に言う。

「そんなにウニが気に入ったの? まだあるから食べて!」

美桜が再度割り箸でウニを掴むと出雲に食べさせる。出雲は両手を両頬に当てて美味しすぎると感動をしていた。

「ここまで美味しい料理があるなんて知らなかった!」

出雲は美桜にもマグロを食べてと言って自身の割り箸で掴んで、横にいる美桜の口の前に持ってくる。美桜は出雲にありがとうと言って口を開けてマグロを食べた。

「出雲が食べさせてくれるから美味しいわ」

美桜が喜ぶと、雫がサーモンを下さいと出雲に言った。出雲は了解と言ってサーモンを割り箸で掴んで雫の横に移動をして食べさせる。

「いつも食べるのより美味しいですね」

もぐもぐと口を動かして食べていると、使用人達も食べ進めていく。出雲達も途中から談笑しながら食事を進めていくと、寿司や刺身がほぼなくなりつつあった。

「結構食べましたね。 十人前はあったはずですけど」

意外と減るスピードが速いことに驚いていた雫は、出雲にお腹いっぱいになったか聞いた。

「なりました! こんなに寿司を食べたのは初めてです!」

出雲のその言葉を聞いた美桜と雫は、良かったと笑顔でいた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...