魔法の世界で新たな人生を~捨てられた人生のやり直し~

天羽睦月

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第116話 五秒だけ

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来栖は驚きつつも剣で防ぎ応戦をしていた。出雲も桜花を使って雫との特訓を思い出しながら来栖の支援に入っていた。

「また邪魔をする! その太刀筋は雫か! そんな教科書の発展型の型じゃ私には通用しないぞ!」

弦十郎は魔力で衝撃波を発生させて、態勢が崩れた来栖の身体を右斜めに切り裂く。そして、出雲の首を掴んで持ち上げた。

「まだ学生のくせによくこの戦場に来たものだ! 愚か者めが!」

出雲の首を持つ手に力を入れて、振りかぶり出雲を地面に叩きつけた。出雲は空気と共に血を吐き出してしまい、身体へのダメージが凄まじいものと見て取れる。

美桜は出雲と叫んで羽根を弦十郎に飛ばす。しかし弦十郎は軽い攻撃だと言い、羽根を叩き落としていく。そしてそのまま弦十郎は痛みに顔を歪めている来栖の腹部に剣を突き刺した。

「お前は存在してはいけない。 ピエロめが!」

そう言い弦十郎は来栖から剣を抜き取る。抜き取られた来栖はそのまま地面に倒れてしまった。

「お前はいてはいけない……」

弦十郎はそう言いながら来栖に剣を突き刺そうとすると、美桜が羽を使って素早く弦十郎の前に移動をした。

「殺させない! 殺させるもんか!」

美桜が歯を喰いしばって光属性の魔法で作った簡易的な剣で応戦をする。しかし弦十郎は、自身の娘を見ると地を這う虫を見るような眼をして美桜を見る。弦十郎はまた邪魔ばかりをすると鍔迫り合いながらもに言うと、お前達母娘はいつも私の邪魔ばかりをすると美桜を腹部を殴りつける。

しかし美桜は痛みに耐えながら弦十郎の血が出ている腹部を殴った。弦十郎はその痛みに顔を歪めると、美桜の腹部を蹴り距離を取った。弦十郎はそのままもう終わりにしよう言い、剣を地面に刺して自身の魔力を両方の掌に圧縮して集めていく。

「お前達はこれで死ね!」

弦十郎は掌の圧縮した闇の魔力を出雲達三人に放とうとする。

「闇撃砲!」

弦十郎が魔法名を叫んで圧縮した闇の魔力を放った。その放たれた魔法は周囲の空間を歪めながら出雲達に向かってくる。

「出雲も倒れ、来栖さんも倒れている……私が守らないと!」

美桜は力を貸してと叫び、ルミナスシールドを展開する。ルミナスシールドと闇撃砲が衝突をすると、その衝撃破が辺り一面に転がる崩壊したビルの瓦礫や車などを吹き飛ばし、戦っている蓮や弦十郎の側近や部下達も衝撃波によって吹き飛ばされてしまった。

また、戦闘地域から離れているビルや住宅街にまで衝撃波が広がり、窓ガラスや一部の家屋が壊れてしまう程であった。美桜はその攻撃を辛くも受け切ることが出来た。美桜はもっと力をもっとと歯を喰いしばって何度も連呼していると、頭の中に鈴が鳴る声を持つ女の子が現れた。その女の子はピンクの髪色をし、腰まで長さがある。

その女の子は白いワンピースを着ていた。またその女の子は幼少期の美桜の姿をしているようで、美桜はその姿に驚くとともに美桜の意識が一面が白色の果ても見えない不思議な空間にいることに驚いていた。

「私は今戦っているはずじゃ……あんたは誰なの!?」

美桜が目の前にいる女の子に話しかけると、その女の子は私はあなただと話す。美桜は訳が分からないわと言うと、その女の子は力を使いたいのと疑問形で続けて言う。

「力を使いたいわ。 でも多分私はその力に飲み込まれてしまう……どうすればいいの?」

美桜は自身立っている地面と思われる場所に座って、目の前にいる女の子に話す。するとその女の子は、五秒間だけ全力の出力で戦えるわと言った。

「本当!? それは本当なの!?」

美桜が勢いよく立ち上がって女の子の両肩を掴む。女の子は本当よと言い、それで大丈夫かと美桜に聞いた。

「五秒で大丈夫! それが今の私の全力だから仕方ないわ」

美桜は笑顔で言うと、女の子がそれじゃまた今度会いましょうと手を小さく振って霧のように掻き消えた。美桜はありがとうと言うと、女の子のようにその場から掻き消えた。
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