天羽桜は世界を救う

第8話 お見舞い

水瀬記念病院は日本国内で一番医療設備が整っていると有名な病院である。 地上十階地下三階の横に広く作られ、数千人入院可能と大規模な病院である。 また、医師と看護師数も日本一の人数が働いており、有名人も多数診察に来ると噂されている程である。 そんな水瀬記念病院がまさか国家機関のリーベ直轄なのは秘密であり、それは流石に葵も知らない様子である。

「なんか葵といると病院内で特別な人になったようだわ……」

葵が道を歩くと、医療関係者が挨拶をしているからであった。 葵はそれにこんにちはと返しているも、知らない人が見たら有名人なのかと勘違いしてしまうだろう。

「花音ちゃんの病室は個室みたいだね。 七階に行こう！」

エレベーターに乗って花音の病室前に入ると、そこには誰もいなかった。

「え？ 花音！？ なんでいないの！？」

花音がいると思っていた桜はそこにいるはずの花音がいないことに驚き、近くにあるナースステーションに走っていこうとした。 すると、突如個室の扉が開いてそこには二人がいることに驚いている花音がいた。 

「花音のお見舞いだよ！ 心配だったの！」

桜は花音に抱き着いてそのまま泣いてしまう。 メールだけで実際に花音を見たのが今が初めてであり、どれだけの怪我か見ていなかったからである。 葵はそんな二人を見ると、おなか空いたからご飯食べよと言う。 桜が空気読んでと言うと、ご飯食べれば元気出るよとガッツポーズをしていた。

「ただ葵が食べたいだけじゃない……まぁ私もお腹減ってるから食べたいけど、花音はどう？」

そう聞く桜に、花音はちょうど食べようとしてたと言う。 二人はレッツゴーと扇動をする葵に着いて歩き、九階にある食堂エリアに到着した。

「ここが食堂エリアよ！ そこで食券を買ってカウンターで見せてね！」

葵が指さした場所には食券券売機があった。 そこには和食から洋食まで幅広くメニュー名が書かれており、オススメと付箋が貼られているメニューがオムライスであった。

「ここのオムライスは絶品よ！ 何せこの病院の関連企業で自社で鶏を育てて自社ブランドの卵を使ってるからね！」

葵は胸を張ると、制服の上からでもその大きさが見える程に胸が強調されていた。 

「ほら！ そんな立派な胸を強調してないで、早くお昼食べよう」

葵は立派って言うなと桜を怒るが、すぐに葵をたしなめた桜は食券を購入し始めていた。 桜はこれだと言いながら、オムライスの食券を購入すると、改めてこの食堂全体を眺めることにした。 水瀬記念病院の食堂は九階のエリア全体が食堂となっており、病院で働く人の人数や入院患者にお見舞いをする家族のことを考えて作ったらここまで広くなったらしい。

九階のエレベーター前からすぐの場所に食券販売機が五台あり、そのすぐ左側にカウンターが長く作られている。 そのカウンターで食券を渡すと、カウンターの後ろが調理場となっており、忙しそうに料理を作っている人達の姿が見える。 この食堂は病院関係者以外も利用できるようになってもいるので、近所の社会人や学生達が時間をずらして食べに来るのことでも有名である。

「葵と花音は何買ったの？ ちなみに私はオムライスよ！」

桜の言葉を聞いた二人は食券の半券を見せてくる。 花音はジェノベーゼの食券に、葵がハンバーグ定食であった。 ここのハンバーグは頬がとろけるくらい美味しいのよと絶賛しているのを聞いた桜は、ハンバーグを選べばよかったと少し後悔していた。