レーヴハーモニー輝く星の希望

天羽睦月

文字の大きさ
32 / 56

第32話 負けない気持ち

しおりを挟む
正人がその場に崩れていると、上司が戻ってきてその右手にコーヒーを一缶握っていた。 上司は正人を同僚と共に起こして椅子に座らせると、右手に握っていたコーヒーの缶を正人に渡した。

「ありがとうございます……娘の愛理が腹部を貫かれていて、いてもたってもいられずに取り乱してしまいました……」

正人のその言葉を聞いた上司や同僚は、自分の子供が怪物と戦って、傷ついて死にそうになっていれば、取り乱すのも無理はないと二人は思っていた。

そして、正人がもらったコーヒーを飲もうとした時、テレビ中継をしていたレポーターの女性が、腹部を貫かれた女生徒を救うために、特殊魔法部隊の人たちや、教師の人たちが刀を持っている怪人に向かって行きますと言っていた。 その言葉を聞いた正人は、再度テレビ画面を見つめる。 その画面には、倒れて血を腹部から流し続ける愛理を守りながら、戦う姿が映っていた。

愛理に特殊魔法部隊の女性隊員が近づき、仰向きにさせて貫かれた腹部に治療魔法をかけていた。 愛理は痛みに苦しみ、苦痛で顔を歪ませていた。 正人は苦痛で顔を歪ませる愛理の姿を見ると、自身が代わりに痛みを受けてやりたいと思っていた。 すると、テレビ画面が突如特殊魔法部隊の方に移行すると、教師たちが吹き飛ばされ、特殊魔法部隊の全員が地面に倒れていた。

正人や楓、奏などの家族がテレビ中継で戦闘を見ているとは知らない愛理は、目の前で特殊魔法部隊の人たちや、教師たちが地面に倒れている姿を見てどうすればあの怪人を倒せるのかと唇を噛んで考えていた。

「動かないで! 応急処置が終わっていないから!」

身体を動かそうと考えていた愛理は、治療をしてくれている特殊魔法部隊の女性隊員に怒られていた。

「動かないと……私が動かないと……あの怪人を止められない……」

愛理がそう呟いていると、女性隊員がそんなに思いつめなくても、特殊魔法部隊に任せておいてと言う。 しかし、愛理は皆倒れているじゃないと女性隊員を睨んだ。すると、女性隊員は治療を続けながら、学生のあなたが気負う必要はないのよと怒鳴る。 その言葉を聞いた愛理は、確かに学生だけどと落ち込んでしまう。

その時、愛理と女性隊員の場所に人型の怪人が走ってきた。 女性隊員はその場で防御魔法を展開し、愛理と自身を守るために力を籠める。

「逃げて! 応急処置は途中だけど、もう動けるはずよ! 自分の命を大切にしなさい!」

そう言われた愛理は、その場から逃げるために走り出す。 しかし、走り出した瞬間、後方から悲鳴が聞こえたので振り向いた。 すると、そこには腹部を切り裂かれた自分を治療してくれた女性隊員が血を吹き出しながら地面に力なく倒れる姿を見てしまった。

愛理はその姿を見ると、また私のせいでと自身を責めてしまう。 しかし、先ほどの女性隊員の気負う必要はないとの言葉を思い出し、このまま逃げてしまえばいいのかと思うが、愛理は足を止めて違うと小さく呟いた。

「違う、違う、違う! 私しか今動けないんだ! 私があいつを倒すんだ!」

愛理はそう叫び、人型の怪人がいる方向を振り向く。 振り向いた先にいる人型の怪人を見つめている愛理は、絶光を右手で放ちながら人型の怪人に向かって走っていく。

「ソンな攻撃、モウキカナイぞ」

防御をすることなく、愛理の攻撃を受ける人型の怪人は、軽く笑いながら愛理のもとに歩いて行く。 その歩く姿は、愛理を弱いと決めつけて自身には傷もつけれないと決めつけているようである。 愛理はそれでも私はと叫びながらフライの魔法を使って人型の怪人を飛び越えた。

「葵ちゃん! 槍を貸して!」

そう葵に叫ぶと、葵は持っていた槍を人型の怪人の背後にいる愛理に投げ渡す。 その槍を受け取った葵は、人型の怪人の背後から槍で貫くことに成功をした。

「これでどうよ! 少しは効果があったかしら?」

愛理は微笑をしながら、これでどうかしらとさらに槍を押し込んでいく。 人型の怪人は呻き声をあげて右腕の刀を地面に刺して、倒れそうな身体を支えていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる 「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?

あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】 世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。 「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。 ・神話級ドラゴン  ⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺) ・深淵の邪神  ⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決) ・次元の裂け目  ⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い) 「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」 本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……? 「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー! 【免責事項】 この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。 ※こちらの作品は、カクヨムと小説家になろうでも公開しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

「追放された雑用係の俺、《真理の鑑定眼》で隠れた天才を集めたら最強パーティになっていた」

きりざく
ファンタジー
ブラック企業で過労死した男は、異世界に転生し《真理の鑑定眼》を授かった。 それは人や物の“本当の価値”、隠された才能、そして未来の到達点までを見抜く能力だった。 雑用係として軽視され、ついには追放された主人公。 だが鑑定眼で見えたのは、落ちこぼれ扱いされていた者たちの“本物の才能”だった。 初見の方は第1話からどうぞ(ブックマークで続きが追いやすくなります)。 評価されなかった剣士、魔力制御に欠陥を抱えた魔法使い、使い道なしとされた職業―― 主人公は次々と隠れた逸材を見抜き、仲間に迎え入れていく。 やがて集ったのは、誰もが見逃していた“未来の最強候補”たち。 鑑定で真価を示し、結果で証明する成り上がりの冒険が始まる。 これは、見る目のなかった世界を置き去りに、 真の才能を集めて最強パーティへと成り上がる物語。

処理中です...