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第1章 夢の始まり
第9話 突然の来訪者
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「英雄公社は英雄に対してフォローが足りないことが多いから、私みたいな人が事務所を作って活動をしているのよ」
「そうだったんですね。知りませんでした」
2人で話していると部屋の外から困りますと誰かが叫ぶ声が聞こえてくる。
何があったのかなと久遠に聞こうとすると、部屋の扉が勢いよく開いた。
「私は担当官ですよ! 私を抜きにして話を進めないでください!」
部屋に入って来たのは自身の担当官である葵であった。
葵は久遠の目の前に立つと、私も一緒でいいですよねと笑顔で話しかける。
「まさかここまで乗り込んでくるなんてね。どうしてここにいるとわかったの?」
「久遠さんが電話に出た時点でここに連れて行くだろうと思いましたね。それに飛んで行くのはいいですけど、ちゃんと連れて行ってくださいよ。映像で撮られてましたよ?」
「あら? 撮影されてたのね。次はちゃんと連れて行くわよ」
2人で話しているのを見ていると、どう止めようか美桜は考えていた。
「ま、まぁ! とりあえず葵さんも座りませんか?」
「そうね。そうさせてもらうわ」
美桜の右隣に座った葵は何度か深呼吸をして息を整えると、目の前に座っている久遠に顔を向けて続きをどうぞと言った。
「もう大丈夫なの? じゃ、話を続けるわね。美桜ちゃんはまだ英雄になったばかりだし、担当官がいるといっても初心者だから私の事務所に情報提供をされた仕事をして経験を積んでほしいのよ」
「勝手に仕事を振らないでください!」
久遠の言葉を聞いた葵は吠えた。
美桜はまた話が拗れてしまうと肩を落として1人で焦っている。
「美桜ちゃんの仕事は私が振るので、勝手に仕事を振らないでください!」
「英雄公社の仕事はまだ美桜ちゃんには早いわ。それにあなたが知っているかわからないけど、またあの組織が動き出している気がするよ」
「あの組織ってどれですか?」
葵は小首を傾げて、支給をされているスマートフォンで何かを調べているようである。
「組織が復活したなどという情報はデータベースにありませんね」
「そりゃそうよ。あんな組織の復活を上層部が認めるわけないわ」
2人が組織について話しているが、美桜には何のことだが理解が出来ていない。
久遠と葵が話で盛り上がっていると、2人に何の話をしているのか聞くことにした。
「あの……さっきから何の話をしているんですか? さっぱり話がわかりません……」
美桜の言葉を聞いた2人は勝手に盛り上がっていることを反省すると、わかりやすく久遠が説明をするわねと言い始める。
「美桜ちゃんの両親がまだ英雄として戦っていた時に暗躍をしていた組織よ。その組織は不思議な魔法を使って、人に光を浴びせることで強制的に魔法を使えるようにするの。そして、その光を浴びて魔法を使い続けると人ではなくなってしまうのよ」
「私の両親ががその組織と戦っていたんですか?」
「そうよ。美桜ちゃんの両親である伊吹さんと唯さんが戦って、組織は壊滅したはず……だけど、生き残りがいたみたいね」
久遠が生き残りというと、葵がそんな話は知りませんと言う。
英雄公社で職員として受付で働いていた葵には多くの情報が下りていたが、知らないこともある。しかし久遠が言っていたことを一切知らなかった葵は、どちらを信じればいいのかわからなかったのであった。
「私はどっちを信じればいいの……」
顔を歪ませて悩んでいる葵にすぐわかるわよと久遠が言葉をかけた。
「私たち英雄が知っていることをあなたたちは知らない。ということは上層部が何かを隠しているということよ」
「そうですが……ですが私は英雄公社の職員です……」
「なら、働きながら色々と探ればいいのよ。どっちも真実なのだから」
久遠の言葉を聞いた葵は、協力をしますと右手を差し出した。
「ありがとう。葵さんが仲間になってくれて嬉しいわ。それに、美桜ちゃんのことをこれからもフォローしてあげてね? 葵さんは伊吹さんたちを見て英雄公社の職員になったんでしょ?」
「そうよ。伊吹さんたちに命を救われて、英雄公社で働きたいと思ったわ」
美桜は2人が仲良くなってくれたようで安堵をしていた。
一度は一食触発な雰囲気であったが、久遠と葵は仲良く話し始めているようである。美桜の話から久遠の芸能活動の話に変わったようで、2人は楽しく談笑を始めていた。
「あ、あの……私の仕事のことは……」
恐る恐る2人に話しかけると、久遠がそうだったわとハッとした顔をする。
葵はごめんねと言って美桜の方を向くと、久遠さんの方を優先してくださいと言い始める。
「やはり英雄として初心者の美桜さんは、久遠さんの事務所にくる仕事を通して経験を積んでもらい、随所で英雄公社の仕事をしてもらいます。私もサポートをしますので一緒に成長をしましょう!」
「ありがとうございます! 久遠さんと葵さんがいれば安心します!」
「そう言ってくれて嬉しいけど、私は自分の仕事で手一杯だから、そこまで相手は出来ないわよ?」
ピシャリと言われてしまうとそうなんですねと落胆をする。
「ちゃんと私が情報を伝えるから安心してね! 美桜ちゃんは安心して仕事をすれば大丈夫だからね!」
「はい! ありがとうございます!」
少し安心をしたと思う反面、どのような仕事がくるのだろうと不安な部分があった。そのことを久遠に聞こうと思うが、怖くて聞けないでいる。
すると不安げな顔をしていることに気が付いたのか、葵が美桜の顔を見た後に久遠に仕事ですけどと話しかけた。
「美桜ちゃんにはどのような仕事を回す予定なんですか?」
「そうねぇ……護衛とか軽めの魔法犯罪の仕事かなー。護衛は急ぐ仕事じゃないけど、魔法犯罪系は時間が命の仕事だから慣れてもらうためにも多く回すかもしれないわね」
「わかりました。美桜ちゃんもこれで不安なことはないかしら?」
「あ、大丈夫です! ありがとうございます!」
座りながら頭を下げると、久遠がそろそろ時間だわと言いながら立ち上がった。
「ごめんなさいね。今日はこれから芸能事務所の方で仕事があってね。あ、一緒に来る?」
「いいんですか!?」
「唯さんの娘さんだし、良くしてって言われているからね」
母親が久遠にそんなことを言っているとは知らなかったで、その言葉を聞いて驚いてしまう。
「母がそんなことを言っていたんですか?」
「そうよ。私がもしいなくなったら娘を良くしてあげてねって言われたのよ。冗談だと思っていたんだけれど、まさか本当にいなくなっちゃうなんてね……」
扉の前に移動をした久遠は、2人に背を向けて俯いているように見える。
葵はそんな久遠を見ると託されたモノを繋ぎましょうと優しく肩に触れて話しかけていた。
「そうね……私が美桜ちゃんを支えないとダメね。ありがとう」
「いえいえ」
いつの間にか仲良くなっていた2人を見て、ありがとうと久遠に言葉をかける。
美桜にいきなりありがとうと言われた久遠は驚いた顔を見せてきた。
「そこまで驚くことはないと思いますけど……」
「驚くわよ。急にありがとうだなんて、私はまだ何もしていないわよ?」
「いえ、支えないとって言ったのが聞こえたので嬉しくて」
聞こえたと美桜が言うと久遠は頬を紅く染めてしまう。
「聞こえていたの!? 聞かないでよ!」
「ご、ごめんなさい!」
突然怒られてしまい頭を下げて謝ると葵がすぐに怒らないのと静止をすると、驚いた顔をしながら葵に視線を移動させた。
「恥ずかしがらないでいいじゃない。繋いでいくんでしょう?」
「そうね。声を上げてごめんなさい」
「い、いえ! 大丈夫です!」
高鳴る鼓動を抑えながら大丈夫と言うと、久遠が時間がないわと言って扉を開けた。
「そうだったんですね。知りませんでした」
2人で話していると部屋の外から困りますと誰かが叫ぶ声が聞こえてくる。
何があったのかなと久遠に聞こうとすると、部屋の扉が勢いよく開いた。
「私は担当官ですよ! 私を抜きにして話を進めないでください!」
部屋に入って来たのは自身の担当官である葵であった。
葵は久遠の目の前に立つと、私も一緒でいいですよねと笑顔で話しかける。
「まさかここまで乗り込んでくるなんてね。どうしてここにいるとわかったの?」
「久遠さんが電話に出た時点でここに連れて行くだろうと思いましたね。それに飛んで行くのはいいですけど、ちゃんと連れて行ってくださいよ。映像で撮られてましたよ?」
「あら? 撮影されてたのね。次はちゃんと連れて行くわよ」
2人で話しているのを見ていると、どう止めようか美桜は考えていた。
「ま、まぁ! とりあえず葵さんも座りませんか?」
「そうね。そうさせてもらうわ」
美桜の右隣に座った葵は何度か深呼吸をして息を整えると、目の前に座っている久遠に顔を向けて続きをどうぞと言った。
「もう大丈夫なの? じゃ、話を続けるわね。美桜ちゃんはまだ英雄になったばかりだし、担当官がいるといっても初心者だから私の事務所に情報提供をされた仕事をして経験を積んでほしいのよ」
「勝手に仕事を振らないでください!」
久遠の言葉を聞いた葵は吠えた。
美桜はまた話が拗れてしまうと肩を落として1人で焦っている。
「美桜ちゃんの仕事は私が振るので、勝手に仕事を振らないでください!」
「英雄公社の仕事はまだ美桜ちゃんには早いわ。それにあなたが知っているかわからないけど、またあの組織が動き出している気がするよ」
「あの組織ってどれですか?」
葵は小首を傾げて、支給をされているスマートフォンで何かを調べているようである。
「組織が復活したなどという情報はデータベースにありませんね」
「そりゃそうよ。あんな組織の復活を上層部が認めるわけないわ」
2人が組織について話しているが、美桜には何のことだが理解が出来ていない。
久遠と葵が話で盛り上がっていると、2人に何の話をしているのか聞くことにした。
「あの……さっきから何の話をしているんですか? さっぱり話がわかりません……」
美桜の言葉を聞いた2人は勝手に盛り上がっていることを反省すると、わかりやすく久遠が説明をするわねと言い始める。
「美桜ちゃんの両親がまだ英雄として戦っていた時に暗躍をしていた組織よ。その組織は不思議な魔法を使って、人に光を浴びせることで強制的に魔法を使えるようにするの。そして、その光を浴びて魔法を使い続けると人ではなくなってしまうのよ」
「私の両親ががその組織と戦っていたんですか?」
「そうよ。美桜ちゃんの両親である伊吹さんと唯さんが戦って、組織は壊滅したはず……だけど、生き残りがいたみたいね」
久遠が生き残りというと、葵がそんな話は知りませんと言う。
英雄公社で職員として受付で働いていた葵には多くの情報が下りていたが、知らないこともある。しかし久遠が言っていたことを一切知らなかった葵は、どちらを信じればいいのかわからなかったのであった。
「私はどっちを信じればいいの……」
顔を歪ませて悩んでいる葵にすぐわかるわよと久遠が言葉をかけた。
「私たち英雄が知っていることをあなたたちは知らない。ということは上層部が何かを隠しているということよ」
「そうですが……ですが私は英雄公社の職員です……」
「なら、働きながら色々と探ればいいのよ。どっちも真実なのだから」
久遠の言葉を聞いた葵は、協力をしますと右手を差し出した。
「ありがとう。葵さんが仲間になってくれて嬉しいわ。それに、美桜ちゃんのことをこれからもフォローしてあげてね? 葵さんは伊吹さんたちを見て英雄公社の職員になったんでしょ?」
「そうよ。伊吹さんたちに命を救われて、英雄公社で働きたいと思ったわ」
美桜は2人が仲良くなってくれたようで安堵をしていた。
一度は一食触発な雰囲気であったが、久遠と葵は仲良く話し始めているようである。美桜の話から久遠の芸能活動の話に変わったようで、2人は楽しく談笑を始めていた。
「あ、あの……私の仕事のことは……」
恐る恐る2人に話しかけると、久遠がそうだったわとハッとした顔をする。
葵はごめんねと言って美桜の方を向くと、久遠さんの方を優先してくださいと言い始める。
「やはり英雄として初心者の美桜さんは、久遠さんの事務所にくる仕事を通して経験を積んでもらい、随所で英雄公社の仕事をしてもらいます。私もサポートをしますので一緒に成長をしましょう!」
「ありがとうございます! 久遠さんと葵さんがいれば安心します!」
「そう言ってくれて嬉しいけど、私は自分の仕事で手一杯だから、そこまで相手は出来ないわよ?」
ピシャリと言われてしまうとそうなんですねと落胆をする。
「ちゃんと私が情報を伝えるから安心してね! 美桜ちゃんは安心して仕事をすれば大丈夫だからね!」
「はい! ありがとうございます!」
少し安心をしたと思う反面、どのような仕事がくるのだろうと不安な部分があった。そのことを久遠に聞こうと思うが、怖くて聞けないでいる。
すると不安げな顔をしていることに気が付いたのか、葵が美桜の顔を見た後に久遠に仕事ですけどと話しかけた。
「美桜ちゃんにはどのような仕事を回す予定なんですか?」
「そうねぇ……護衛とか軽めの魔法犯罪の仕事かなー。護衛は急ぐ仕事じゃないけど、魔法犯罪系は時間が命の仕事だから慣れてもらうためにも多く回すかもしれないわね」
「わかりました。美桜ちゃんもこれで不安なことはないかしら?」
「あ、大丈夫です! ありがとうございます!」
座りながら頭を下げると、久遠がそろそろ時間だわと言いながら立ち上がった。
「ごめんなさいね。今日はこれから芸能事務所の方で仕事があってね。あ、一緒に来る?」
「いいんですか!?」
「唯さんの娘さんだし、良くしてって言われているからね」
母親が久遠にそんなことを言っているとは知らなかったで、その言葉を聞いて驚いてしまう。
「母がそんなことを言っていたんですか?」
「そうよ。私がもしいなくなったら娘を良くしてあげてねって言われたのよ。冗談だと思っていたんだけれど、まさか本当にいなくなっちゃうなんてね……」
扉の前に移動をした久遠は、2人に背を向けて俯いているように見える。
葵はそんな久遠を見ると託されたモノを繋ぎましょうと優しく肩に触れて話しかけていた。
「そうね……私が美桜ちゃんを支えないとダメね。ありがとう」
「いえいえ」
いつの間にか仲良くなっていた2人を見て、ありがとうと久遠に言葉をかける。
美桜にいきなりありがとうと言われた久遠は驚いた顔を見せてきた。
「そこまで驚くことはないと思いますけど……」
「驚くわよ。急にありがとうだなんて、私はまだ何もしていないわよ?」
「いえ、支えないとって言ったのが聞こえたので嬉しくて」
聞こえたと美桜が言うと久遠は頬を紅く染めてしまう。
「聞こえていたの!? 聞かないでよ!」
「ご、ごめんなさい!」
突然怒られてしまい頭を下げて謝ると葵がすぐに怒らないのと静止をすると、驚いた顔をしながら葵に視線を移動させた。
「恥ずかしがらないでいいじゃない。繋いでいくんでしょう?」
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