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第二章 竜胆
眠りを妨げる者達
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〝遊び〟以来蒼万は、青龍を出し志瑞也とより慣れさした。志瑞也が「青い龍に〝青龍〟って、なんか呼びづらくないか? そうだな〝青ちゃん〟いいね! 今日から俺は、お前を青ちゃんって呼ぶぞ、いいよな蒼万?」蒼万は眉間に皺を寄せ「神獣は下級の獣ではないっ」と言うも、志瑞也が「キャラメルあげるからおいで、青ちゃん」と呼ぶと「グオォグアォ」と喜び手懐けられた青龍の姿に、蒼万は顔を横に振り、呆れて何も言わなくなった。
侍女達は「あら、また志瑞也様がお供と青龍と遊んでいますわ」と当たり前の日常のように微笑む。今まで蒼万殿には、蒼万に用がない限り、他の殿の侍女達が来ることはなかった。しかし最近は、日々青龍を見に来ているのか、志瑞也を見に来ているのか、誰も蒼万に用があるわけではないのは確かだった。
「お前達、そろそろ青ちゃんに慣れろよ」
志瑞也が青龍の顎をなでながら言う。
「グルルグルル」
「こやつ、わしのキャラメル奪う気じゃぞっ」
「わしは絶対やらんぞっ」
「グルルグアォ」
互いが睨み合うこの三匹は、初めの頃から仲が悪い。
「しし志瑞也ぁさん、こっここにキキャラメルル、ひひとつ、おお落としし」
傘寿が屈んで、落ちてるキャラメルに指を差す。
「わしは持っとるがくれーっ」
「それはわしのじゃーっ」
「グルルゥギャーオ!」
だが、我先にと動く三匹は、似た者同士だった。
「せっ青ちゃん待って暴れるなっ、傘寿っそのキャラメル遠くに投げろ!」
「えええっっ、ええぇぇぇーっ」
傘寿は焦り、思わず掴めないキャラメルを握り、拾った気になって逃げた。
「馬鹿っ、持ったままだと皆お前を追いかけるぞ!」
志瑞也も掴めないことを忘れ、止めようと青龍の髭を引っ張る。
「傘寿わしによこすんじゃ!」
「いいや、傘寿わしによこせっ!」
「グルゥゥゥグァオ!」
「たた助けてぇししし志瑞也あさぁん、ぼぼ僕食べられちゃゃうよおぉ」
志瑞也は青龍に引き摺られながら言う。
「お前はもう死んでいるんだからっ、馬鹿みたいなこと言わないでっ、はっ早くキャラメルを投げろっ!」
庭園を通った侍女が微笑んで言う。
「沙羅様、今日も庭園が楽しそうですよ」
「そうね、でも… そろそろ蒼万様が…」
バーンッ!
蒼万の自室の戸が、庭園に響き渡る勢いで開く。
「ゔるさいっ、黙れっ!」
仮眠中の蒼万が、鬼の形相で自室から出てきた。
……庭園は静まり返る。
「志瑞也来い、話がある」
蒼万が自室に戻ると、直ぐに青龍が消える。
「青ちゃん… お前達もまたな」
モモ爺達と傘寿は、これから志瑞也は蒼万に怒られるのだろうと、哀れな顔で手を軽く振って見送った。
侍女達は「あら、また志瑞也様がお供と青龍と遊んでいますわ」と当たり前の日常のように微笑む。今まで蒼万殿には、蒼万に用がない限り、他の殿の侍女達が来ることはなかった。しかし最近は、日々青龍を見に来ているのか、志瑞也を見に来ているのか、誰も蒼万に用があるわけではないのは確かだった。
「お前達、そろそろ青ちゃんに慣れろよ」
志瑞也が青龍の顎をなでながら言う。
「グルルグルル」
「こやつ、わしのキャラメル奪う気じゃぞっ」
「わしは絶対やらんぞっ」
「グルルグアォ」
互いが睨み合うこの三匹は、初めの頃から仲が悪い。
「しし志瑞也ぁさん、こっここにキキャラメルル、ひひとつ、おお落としし」
傘寿が屈んで、落ちてるキャラメルに指を差す。
「わしは持っとるがくれーっ」
「それはわしのじゃーっ」
「グルルゥギャーオ!」
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「せっ青ちゃん待って暴れるなっ、傘寿っそのキャラメル遠くに投げろ!」
「えええっっ、ええぇぇぇーっ」
傘寿は焦り、思わず掴めないキャラメルを握り、拾った気になって逃げた。
「馬鹿っ、持ったままだと皆お前を追いかけるぞ!」
志瑞也も掴めないことを忘れ、止めようと青龍の髭を引っ張る。
「傘寿わしによこすんじゃ!」
「いいや、傘寿わしによこせっ!」
「グルゥゥゥグァオ!」
「たた助けてぇししし志瑞也あさぁん、ぼぼ僕食べられちゃゃうよおぉ」
志瑞也は青龍に引き摺られながら言う。
「お前はもう死んでいるんだからっ、馬鹿みたいなこと言わないでっ、はっ早くキャラメルを投げろっ!」
庭園を通った侍女が微笑んで言う。
「沙羅様、今日も庭園が楽しそうですよ」
「そうね、でも… そろそろ蒼万様が…」
バーンッ!
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「ゔるさいっ、黙れっ!」
仮眠中の蒼万が、鬼の形相で自室から出てきた。
……庭園は静まり返る。
「志瑞也来い、話がある」
蒼万が自室に戻ると、直ぐに青龍が消える。
「青ちゃん… お前達もまたな」
モモ爺達と傘寿は、これから志瑞也は蒼万に怒られるのだろうと、哀れな顔で手を軽く振って見送った。
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