22 / 164
第二章 竜胆
二つの約束
しおりを挟む
蒼万は両親の住む緑龍殿に訪れていた。
「父上、領域調査の報告に参りました」
「蒼万か、入りなさい」
蒼万は戸を開け中に入る。
「…掛けなさい」
蒼凰は、会釈して椅子に腰掛ける息子の腕輪を見つめた。蒼凰はこの一人息子に対し負い目がある。青龍の暴走のきっかけを作ってしまい、四つの幼子の心に深い傷を負わせてしまった事。更に十二迄は、両親とここで暮らせた日々を奪ってしまっただけでなく、父としてその傷を未だ癒してあげられていない。今では、青龍を抑えられほどの神力を持っているにも関わらず、戒めのように着け続ける手枷を「もうよい」とは言えなかった。蒼凰もまた、我が息子が同家の者達を傷つけてしまったことに責任を感じ、その一言が言えずにいたのだ。
「父上、氐宿と房宿で妖魔により、山火事と洪水が起きておりました。妖魔は既に退治して参りましたが、災害により被害を負った民の手当や、家屋の修復に時間がかかっております」
「それでは応援を使わそう」
「御安心を、既に私の殿から侍女や従者を数名使わせております」
〝報告〟その名の通り親子らしい会話などない。蒼万は必要なことしか言わない。完璧過ぎる息子に、蒼凰は少し寂しげに言う。
「ならば、東宮で育てている薬材を届けさせよう…」
「承知しました。父上、別件でお伝えしたい…」
話の途中、廊下を「ドタバタ」と走る足音が部屋へ近付いてきた。
バンッ!
戸が勢いよく開く。
「蒼万がいらしてるの⁉︎」
「母上」
「愛藍、何をそんなに慌てているのだ?」
「蒼万っ、あっあなたっ男子を囲っているって本当ですの⁉︎」
やはり侍女達の噂好きは広がるのが速い。広めた者、聞いた者の捉え方によっては、事実と違うこともある。愛藍の様子から、緑龍殿の侍女達に伝わるまで、事実は捻じ曲げられたのであろう。そう蒼万は思い、平然とした態度で答える。
「母上、何か誤解があるようですが」
「愛藍落ち着きなさい、蒼万どういう事だい?」
「あなたっ、落ち着いていられませんわ! 侍女達のうっ噂ではっ、そっその男子をっ、だっ抱きしめていたそうよ!」
「蒼万っ、それは本当か⁉︎」
……。
予想外に噂は的を射ていた。
「…はい」
「ほらっ、何が誤解よ! 同家からも他神家からも嫁を貰わず、浮いた話もなくそれでもいつかはと思って…そっそれが男子に走るなどっ、あなたと婚姻したがっている女子は沢山いるのよ! 何処から連れてきたの? 義母上の遠縁を預かっているだなんて、そんな嘘がまかり通ると思ってますの⁉︎」
愛藍がわなわなと疑いの目で蒼万を見る。
「いいえ、お耳に入るのはそろそろかと思い、その件を父上に今お伝えしている途中でした」
それでも蒼万は顔色一つ変えず、あたかも「話の邪魔をしたのは母上ですよ」と言わんばかりの目で訴える。
「こっ、この子は!」
「愛藍落ち着きなさい、蒼万のことだ、訳を聞こうじゃないか、ほら掛けなさい」
蒼凰は微笑みながら、不満気な愛藍をとにかく座らせる。本当は、内心蒼凰もとても驚いていた。それこそ父らしく「どういうことだ蒼万っ‼︎」と言いそうになる程。だが、自分に先に話そうとした蒼万の気持ちの方が嬉しかった。あまりの嬉しさに溢れる笑みを、愛藍を宥める振りして誤魔化したのだ。愛藍に悟られないよう、顔を戻して真面目に尋ねる。
「蒼万、その者は人間なのか?」
「違います、少なくとも霊魂は」
「……それはどういう意味だ?」
「彼の名は天堂志瑞也、志瑞也と呼んでおります。志瑞也は、異世界から私が連れて参りました」
「何と⁉︎」
「何ですって⁉︎」
蒼万が話を終えた後、蒼凰は険しい顔で顎を指でさすりながら言う。
「黄龍家では代々男子しか生まれなかったはずだが、それだけで黄怜が女子である事を黄一が隠す理由になるものか?」
「詳しい事は、私も玄華様から聞いておりません」
愛藍は話を聞いて誤解だったと理解したのか、先程とは違い冷静に言う。
「それに霊魂の転生なら、性別も同じはずですが…」
「私もまだ不明なことが多いです。今は何も起きてはおりませんが、玄華様より通知がない以上、こちらから動くのは危険かと」
「玄華はその者がこちらに来ていることは?」
「恐らく」
蒼万は頷く。
「そうだな、玄武家の者なら確認する方法ぐらいあろう。して、その者は今は?」
「自殿で葵と一緒におります」
「葵も全て知っておるのか?」
「いいえ、ですが葵には全て話してよいと、志瑞也には伝えております」
蒼凰と愛藍は視線を合わせ、互いの目が葵を気にかけていることを悟る。だが、二人を会わせるということは、蒼万に考えがあってのこと。二人は後から葵に話を聞けばよいと、今は蒼万の話に集中することにした。
蒼凰が尋ねる。
「お前は何故、玄華の頼みを承諾したのだ?」
「私は黄怜の死に、疑念を抱いておりました」
「それだけか?」
蒼凰の言葉で女の勘か、愛藍の目がまた疑いに変わる。
「あなた、まさか黄怜を女子と知っていて慕っていたのでは? だからその者を」
「母上、私は黄怜が死ぬ時に初めて女子と知ったのです」
「で、でも…」
それでも諦めない愛藍に、蒼万は眉間に皺を寄せて言う。
「母上、私は当時黄怜を不憫に思ったことはありますが、母上が思うような感情を抱いたことは、一度もありませぬ」
「…わかりました」
愛藍は蒼万のその表情から事実であると感じ、これ以上の余計な詮索をやめた。
「ではお前は、これからどうするつもりなのだ?」
「共に見届けたいと存じます」
「見届ける?」
「志瑞也がどう進むのかを、それに私は『置いて行かない』と約束しました」
一瞬、蒼万が微かに目を細めた。
……。
初めて見る息子の表情に、二人は言葉を失った。
蒼万が帰った後、蒼凰と愛藍は自室で話しだす。
「あの子のあんな顔、初めて見ましたわ」
「愛藍、私達があの子にしてあげられることは、もうないのかもしれないよ」
「そんな…」
蒼凰が顔を横に振りながら、そっと愛藍の手を取る。
「君は蒼万を子供扱いし過ぎている。早くに一人で殿に行かせてしまったことで、君がそうなるのはわかる。私も同じだ」
「玄華は何故… 蒼万にこのようなことを…」
「玄華は我が子を早くに亡くしたのだ、何か理由があるはずだよ」
愛藍はまだ不安そうな顔をしている。
「愛藍もしや蒼万は、黄怜の霊魂を守ることで、黄龍家に蒼龍家の忠誠心を示し、同家に対し過去の過ちを償っているのかもしれないよ」
「そんな過ちだなんて」
愛藍は顔を横に振る。
「そう、過ちではない。しかし蒼万はそういう子だ」
「……」
「私達も共に見守ろうではないか、何かあれば必ず手を尽くと約束しよう」
愛藍は蒼凰の手を握り返し、ゆっくりと頷いた。
「父上、領域調査の報告に参りました」
「蒼万か、入りなさい」
蒼万は戸を開け中に入る。
「…掛けなさい」
蒼凰は、会釈して椅子に腰掛ける息子の腕輪を見つめた。蒼凰はこの一人息子に対し負い目がある。青龍の暴走のきっかけを作ってしまい、四つの幼子の心に深い傷を負わせてしまった事。更に十二迄は、両親とここで暮らせた日々を奪ってしまっただけでなく、父としてその傷を未だ癒してあげられていない。今では、青龍を抑えられほどの神力を持っているにも関わらず、戒めのように着け続ける手枷を「もうよい」とは言えなかった。蒼凰もまた、我が息子が同家の者達を傷つけてしまったことに責任を感じ、その一言が言えずにいたのだ。
「父上、氐宿と房宿で妖魔により、山火事と洪水が起きておりました。妖魔は既に退治して参りましたが、災害により被害を負った民の手当や、家屋の修復に時間がかかっております」
「それでは応援を使わそう」
「御安心を、既に私の殿から侍女や従者を数名使わせております」
〝報告〟その名の通り親子らしい会話などない。蒼万は必要なことしか言わない。完璧過ぎる息子に、蒼凰は少し寂しげに言う。
「ならば、東宮で育てている薬材を届けさせよう…」
「承知しました。父上、別件でお伝えしたい…」
話の途中、廊下を「ドタバタ」と走る足音が部屋へ近付いてきた。
バンッ!
戸が勢いよく開く。
「蒼万がいらしてるの⁉︎」
「母上」
「愛藍、何をそんなに慌てているのだ?」
「蒼万っ、あっあなたっ男子を囲っているって本当ですの⁉︎」
やはり侍女達の噂好きは広がるのが速い。広めた者、聞いた者の捉え方によっては、事実と違うこともある。愛藍の様子から、緑龍殿の侍女達に伝わるまで、事実は捻じ曲げられたのであろう。そう蒼万は思い、平然とした態度で答える。
「母上、何か誤解があるようですが」
「愛藍落ち着きなさい、蒼万どういう事だい?」
「あなたっ、落ち着いていられませんわ! 侍女達のうっ噂ではっ、そっその男子をっ、だっ抱きしめていたそうよ!」
「蒼万っ、それは本当か⁉︎」
……。
予想外に噂は的を射ていた。
「…はい」
「ほらっ、何が誤解よ! 同家からも他神家からも嫁を貰わず、浮いた話もなくそれでもいつかはと思って…そっそれが男子に走るなどっ、あなたと婚姻したがっている女子は沢山いるのよ! 何処から連れてきたの? 義母上の遠縁を預かっているだなんて、そんな嘘がまかり通ると思ってますの⁉︎」
愛藍がわなわなと疑いの目で蒼万を見る。
「いいえ、お耳に入るのはそろそろかと思い、その件を父上に今お伝えしている途中でした」
それでも蒼万は顔色一つ変えず、あたかも「話の邪魔をしたのは母上ですよ」と言わんばかりの目で訴える。
「こっ、この子は!」
「愛藍落ち着きなさい、蒼万のことだ、訳を聞こうじゃないか、ほら掛けなさい」
蒼凰は微笑みながら、不満気な愛藍をとにかく座らせる。本当は、内心蒼凰もとても驚いていた。それこそ父らしく「どういうことだ蒼万っ‼︎」と言いそうになる程。だが、自分に先に話そうとした蒼万の気持ちの方が嬉しかった。あまりの嬉しさに溢れる笑みを、愛藍を宥める振りして誤魔化したのだ。愛藍に悟られないよう、顔を戻して真面目に尋ねる。
「蒼万、その者は人間なのか?」
「違います、少なくとも霊魂は」
「……それはどういう意味だ?」
「彼の名は天堂志瑞也、志瑞也と呼んでおります。志瑞也は、異世界から私が連れて参りました」
「何と⁉︎」
「何ですって⁉︎」
蒼万が話を終えた後、蒼凰は険しい顔で顎を指でさすりながら言う。
「黄龍家では代々男子しか生まれなかったはずだが、それだけで黄怜が女子である事を黄一が隠す理由になるものか?」
「詳しい事は、私も玄華様から聞いておりません」
愛藍は話を聞いて誤解だったと理解したのか、先程とは違い冷静に言う。
「それに霊魂の転生なら、性別も同じはずですが…」
「私もまだ不明なことが多いです。今は何も起きてはおりませんが、玄華様より通知がない以上、こちらから動くのは危険かと」
「玄華はその者がこちらに来ていることは?」
「恐らく」
蒼万は頷く。
「そうだな、玄武家の者なら確認する方法ぐらいあろう。して、その者は今は?」
「自殿で葵と一緒におります」
「葵も全て知っておるのか?」
「いいえ、ですが葵には全て話してよいと、志瑞也には伝えております」
蒼凰と愛藍は視線を合わせ、互いの目が葵を気にかけていることを悟る。だが、二人を会わせるということは、蒼万に考えがあってのこと。二人は後から葵に話を聞けばよいと、今は蒼万の話に集中することにした。
蒼凰が尋ねる。
「お前は何故、玄華の頼みを承諾したのだ?」
「私は黄怜の死に、疑念を抱いておりました」
「それだけか?」
蒼凰の言葉で女の勘か、愛藍の目がまた疑いに変わる。
「あなた、まさか黄怜を女子と知っていて慕っていたのでは? だからその者を」
「母上、私は黄怜が死ぬ時に初めて女子と知ったのです」
「で、でも…」
それでも諦めない愛藍に、蒼万は眉間に皺を寄せて言う。
「母上、私は当時黄怜を不憫に思ったことはありますが、母上が思うような感情を抱いたことは、一度もありませぬ」
「…わかりました」
愛藍は蒼万のその表情から事実であると感じ、これ以上の余計な詮索をやめた。
「ではお前は、これからどうするつもりなのだ?」
「共に見届けたいと存じます」
「見届ける?」
「志瑞也がどう進むのかを、それに私は『置いて行かない』と約束しました」
一瞬、蒼万が微かに目を細めた。
……。
初めて見る息子の表情に、二人は言葉を失った。
蒼万が帰った後、蒼凰と愛藍は自室で話しだす。
「あの子のあんな顔、初めて見ましたわ」
「愛藍、私達があの子にしてあげられることは、もうないのかもしれないよ」
「そんな…」
蒼凰が顔を横に振りながら、そっと愛藍の手を取る。
「君は蒼万を子供扱いし過ぎている。早くに一人で殿に行かせてしまったことで、君がそうなるのはわかる。私も同じだ」
「玄華は何故… 蒼万にこのようなことを…」
「玄華は我が子を早くに亡くしたのだ、何か理由があるはずだよ」
愛藍はまだ不安そうな顔をしている。
「愛藍もしや蒼万は、黄怜の霊魂を守ることで、黄龍家に蒼龍家の忠誠心を示し、同家に対し過去の過ちを償っているのかもしれないよ」
「そんな過ちだなんて」
愛藍は顔を横に振る。
「そう、過ちではない。しかし蒼万はそういう子だ」
「……」
「私達も共に見守ろうではないか、何かあれば必ず手を尽くと約束しよう」
愛藍は蒼凰の手を握り返し、ゆっくりと頷いた。
1
あなたにおすすめの小説
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
【完結】禁断の忠誠
海野雫
BL
王太子暗殺を阻止したのは、ひとりの宦官だった――。
蒼嶺国――龍の血を継ぐ王家が治めるこの国は、今まさに権力の渦中にあった。
病に伏す国王、その隙を狙う宰相派の野心。玉座をめぐる見えぬ刃は、王太子・景耀の命を狙っていた。
そんな宮廷に、一人の宦官・凌雪が送り込まれる。
幼い頃に売られ、冷たい石造りの宮殿で静かに生きてきた彼は、ひっそりとその才覚を磨き続けてきた。
ある夜、王太子を狙った毒杯の罠をいち早く見破り、自ら命を賭してそれを阻止する。
その行動をきっかけに、二人の運命の歯車が大きく動き始める――。
宰相派の陰謀、王家に渦巻く疑念と忠誠、そして宮廷の奥深くに潜む暗殺の影。
互いを信じきれないまま始まった二人の主従関係は、やがて禁じられた想いと忠誠のはざまで揺れ動いていく。
己を捨てて殿下を守ろうとする凌雪と、玉座を背負う者として冷徹であろうとする景耀。
宮廷を覆う陰謀の嵐の中で、二人が交わした契約は――果たして主従のものか、それとも……。
結婚間近だったのに、殿下の皇太子妃に選ばれたのは僕だった
釦
BL
皇太子妃を輩出する家系に産まれた主人公は半ば政略的な結婚を控えていた。
にも関わらず、皇太子が皇妃に選んだのは皇太子妃争いに参加していない見目のよくない五男の主人公だった、というお話。
後宮に咲く美しき寵后
不来方しい
BL
フィリの故郷であるルロ国では、真っ白な肌に金色の髪を持つ人間は魔女の生まれ変わりだと伝えられていた。生まれた者は民衆の前で焚刑に処し、こうして人々の安心を得る一方、犠牲を当たり前のように受け入れている国だった。
フィリもまた雪のような肌と金髪を持って生まれ、来るべきときに備え、地下の部屋で閉じ込められて生活をしていた。第四王子として生まれても、処刑への道は免れられなかった。
そんなフィリの元に、縁談の話が舞い込んでくる。
縁談の相手はファルーハ王国の第三王子であるヴァシリス。顔も名前も知らない王子との結婚の話は、同性婚に偏見があるルロ国にとって、フィリはさらに肩身の狭い思いをする。
ファルーハ王国は砂漠地帯にある王国であり、雪国であるルロ国とは真逆だ。縁談などフィリ信じず、ついにそのときが来たと諦めの境地に至った。
情報がほとんどないファルーハ王国へ向かうと、国を上げて祝福する民衆に触れ、処刑場へ向かうものだとばかり思っていたフィリは困惑する。
狼狽するフィリの元へ現れたのは、浅黒い肌と黒髪、サファイア色の瞳を持つヴァシリスだった。彼はまだ成人にはあと二年早い子供であり、未成年と婚姻の儀を行うのかと不意を突かれた。
縁談の持ち込みから婚儀までが早く、しかも相手は未成年。そこには第二王子であるジャミルの思惑が隠されていて──。
あなたの隣で初めての恋を知る
彩矢
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜
キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」
(いえ、ただの生存戦略です!!)
【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】
生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。
ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。
のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。
「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。
「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。
「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」
なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!?
勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。
捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!?
「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」
ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます!
元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる