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第ニ章 桜草
二十七 学者と助手
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朝餉を済ませた後、海虎を先頭に壱黄、蒼亞、玄史は目隠しをして列になり、相手の右肩に手を置き庭園へと向かう。
「石段は全部で二十三だ。ここから私は話せないから、皆気をつけろ」
「うん」
三人は頷く。
ゆっくり石段を下り、四人は広場へ下りた。しんとした静けさの中、足音一つしないが、前方、後方に数人の気配がある。
「お前達、目隠しを取るのだ」
背後から義兄が言うも、まだ術は解いていない。蒼亞は騒つく心を抑え、恐々と手を後頭部に回し布を解いた。眩しい日差しに目を窄め、ゆっくりと瞼を開ける。
「…えっ、志ぃ兄ちゃん⁉︎」
目の前には、琥珀色の瞳をした彼がいた。反射的に耳を塞ごうとするが、咀嚼音は聞こえない。広場には黄花や玄咊、ちびっ子達の姿もない。三人は海虎を見るも、海虎もわからないと首を傾げる。背後から、兄と仲間達が四人の前に回ってきた。
「蒼亞、蒼万さんを見てもなんともないか?」
義兄に言われ、兄と視線を合わせる。
「はい…」
「朱翔さん、不思議ですねー?」
首を傾げる義兄に、朱翔が楽しそうに言う。
「じゃあ全員呼んでみるか? 壱黄と玄史もどうなるか見てみたい」
黄怜殿の時もそう言って、四人は巻き込まれ痛い思いをした。壱黄と玄史はがっと目を開き怯える。
「そうですね」
義兄は微笑んで頷く。
「志瑞也、辰瑞を呼んでくれ」
「わかった」
朱翔に言われ、彼は瞼を閉じた。
「うーん、ありゃ?」
眉を寄せ首を傾げる。
「どうしたんだ?」
彼は瞼を開ける。
「朱翔、なんか戻って来れないみたいだな。困っているみたいだけど…なんかあったのかな?」
磨虎が片方の口角を上げて言う。
「もしや朱濂と翠が喧嘩しているのではないか? 置いてくる時から辰瑞を取り合っていたぞ」
「またかよ、ったく」
朱翔は面倒くさそうに頭を掻く。
「俺連れてくるよ」
「わかった…って、おいっ、志瑞也待て!」
朱翔が止めるのも聞かず彼は走りだす。
ガツガツガツガツ…
「うああぁ!」
突然、咀嚼音が鳴り響き、蒼亞は頭を押さえて蹲り、朱翔が慌てて大声で呼びかける。
「志瑞也っ、戻って来い! 蒼亞の髪がなくなるぞ!」
「ええー⁉︎」
彼は急ぎ石段を駆け下り戻って来た。
「蒼亞っ、だっ大丈夫か⁉︎」
言いながら蒼亞の側にしゃがみ、背中に触れて顔を覗き込む。
ギャッ…
「あれ?」
悲鳴が聞こえたかと思いきや、身体が一瞬で軽くなったではないか。それどころか、兄や仲間達の神力までもが肌で感じられる……これは一体?
彼が鼻をくんくんさせる。
「ん、蒼亞臭くないぞ?」
まさかと、義兄は瞳を深緑に光らせた。
「朱翔さんっ、そっ蒼亞だけ術が解けてます!」
「ハハハそうか、辰瑞を呼ぶ手間が省けたな」
そう言って、朱翔は彼に指示する。
「志瑞也、海虎は肩、壱黄は頭、玄史は胸元を触ってみてくれ」
「わかった」
彼は順番に、とん、とん、とん、と三人に触れる。「何だこれは⁉︎」「すっ凄い…」「この術にこんな力が…」三人共、肌で感じる変化に驚く。そして、一番の驚きは彼の神力の高さだ。初めて肌で感じた彼の力に、四人は感激を通り越し鳥肌を立てる。兄達、いや、宗主達は既にこれを感じていたのか? 彼は再び犬の様に海虎、壱黄、玄史の臭いを確認する。獣臭が無くなっていることに安堵して、考え込む朱翔と義兄に話しかけた。
「なあっ」
「朱翔さん、これも麒麟の神力ですかね?」
「かもな、夢蟖が解かれるなんて…」
義兄は首を傾げ、朱翔は顎に手をあて向かい合う。
「私も初めてです。浄化の効力かもしれませんね。でも食堂では辰瑞を出していませんが、壱黄の頭に一度触れていますよ?」
彼は二人に近づき、横から声をかけた。
「俺っ」
「なら辰瑞出さないでもう一度試してみるか?」
言いながら、朱翔は目の前の彼に目もくれず四人を見た。
「はい、私もっ」
「なあっ、無視か⁉︎」
「何だよ志瑞也っ、でかい声だすな! 今夢蟖の話しているだろ!」
朱翔は耳に指を入れ、彼を邪険に睨みつける。
「夢蟖じゃなくて無視だよっ、俺は辰瑞の所に行くぞ!」
「聞かなくても行けよ!」
「なっ…何だよ‼︎」
義兄と続きを話そうとする朱翔に、彼は信じられないと目を見開き、頬を膨らまし頭から湯気を吹く。
「実験ヲタクかよ! 玄弥も一緒になってさ! 結果が出たら俺は用済みか!」
彼はぶつぶつ吐きながら、一踏み一踏み怒りを込め石段を上り「ダンッ」と到着し、ばっと振り返って見下ろす。
「もう手伝ってやんないからなっ‼︎」
彼はぎろっと睨みつけ去って行った。
義兄と朱翔はしまったと、石段を見上げ苦笑いする。
「朱翔さん、機嫌が直るまでは無理そうですね」
「はぁー、だな…」
四人は一先ずほっとして鼻息をつき、柊虎と磨虎は彼が怒るのも当然とせせら笑う。
「蒼万『ヲタク』ってなんだ?」
「一つの事柄に熱中、または執着する者を云う」
そう言って、兄は朱翔の肩を軽く叩いてかすかに鼻で笑い、彼を追い石段を駆け上った。
朱翔は真顔で言う。
「…玄弥、褒められている気がしないのは、何でだ?」
「さぁ…?」
朱翔と義兄は、疑惑の眼差しで兄を目で追った。
蒼亞は今の内にと尋ねる。
「朱翔様、七年前私が志ぃ兄ちゃんにした事…覚えてますか?」
兄の仲間達の目の色が一瞬で変わる、やはり何かあったのだ。打ちつける鼓動に、蒼亞の指先は震えだす。
朱翔は壱黄、海虎、玄史を見て言う。
「ここで話していいのか?」
「はい…」
三人は何の事だと蒼亞を見る。
「何が聞きたいんだ?」
「あの時志ぃ兄ちゃんは… 私のせいで発情したはずです。その後の事、教えて下さい…」
三人は眉を寄せるも、黙って話を聞くことにした。
朱翔は鼻息をつき腕を組む。
「やっと聞いてきたな…」
朱翔は仲間達と見合い〝時が来た〟と頷いて話しだす。
「あの後志瑞也は三刻独りで耐えた…いや、耐えるしかなかったんだ。私の笛でも戻すのにそれだけかかって苦しんだ」
落ち着きのある口調だが、決して穏やかではない。蒼亞は歯を食いしばり、目の縁を赤く染める。
「お前を煽ったのは私だ、私が悪かったんだ…」
柊虎が険しい顔をして蒼亞を見て言う。
「朱翔だけではない、私も知っていた」
あの時、彼から蒼亞を引き剥がしたのは柊虎だ。だとしても、柊虎は遠目から様子を見ていただけで、その場には居合わせていなかった。朱翔は柊虎の肩に手を置いて顔を横に振り、伏し目がちに続きを話す。
「これは言い訳だが、その時は誰も志瑞也の身体の事は知らなかった… 私達で蒼万の何かに辿り着いたが確証を得たくてな、私の独断でお前を利用したんだ」
磨虎も義兄も知らされてなかったとはいえ、自分達も賛同者だと言わんばかりの顔をした。
「まさかお前が口づけするとは思わなかったが、私の悪戯の度が過ぎてあいつを苦しめたんだ。発情したあいつに直接触れた私だから言えるが、私以外なら皆理性を奪われていたはずだ…」
柊虎、磨虎、義兄は何も言えず眉を寄せうつむく。朱翔がいうのなら、その推測に間違いはない。理性を奪われかけたからこそ、彼の発情の恐ろしさは身に染みている。
「だからあいつに誰も近づけさせないよう、部屋の前で笛を吹き続けた。私が責任を取らなければならないからだ。発情したあいつはひたすら蒼万を求めてな、宥めようとしたが…私が触れても誰かわからなかった。身体を守るみたいに『触るなっ』て余計に怯えてな… 呼んでも来ないのに蒼万をずっと呼び続けていたよ…」
当時を思い出すかのように、朱翔は眉間に皺を寄せ声を震わせた。だが、朱翔に煽られなくても、蒼亞は彼に口づけしようと隙を見ていた。もし、側に誰もいなかったら、蒼亞は夢を思い出し、頬に一筋の涙をつたらせた。
「わ、私があんな…」
「違うぞ蒼亞っ、一番悪いのは蒼万だ!」
朱翔が怒りを顕にする。
「あいつはその時点で全て知っていたが誰にも話さなかったんだっ、志瑞也にさえもなっ 知っていれば防げていたし、私もあんな馬鹿な真似はしなかったさ!」
「だから、殴ったんですね…」
「そうだ。あいつが志瑞也のためだと思って尽くしてきた事はな、全てあいつの独占欲のためさ。志瑞也は神力を制御できなくて苦しんでいたんだ。あいつがまた同じ事したら私は何度だって殴ってやるさハハハ な、柊虎?」
言いながら、朱翔は柊虎の肩にぽんと手を置く。柊虎は「ふっ」とすかして笑い腕を組んで言う。
「流石にもう不意打ちは無理だがな」
「なら皆で押さえて殴るしかないな。お前達死ぬ気で押さえないと吹き飛ぶぞハハハ」
朱翔は柊虎、磨虎、義兄を指差し、三人は顔を引き攣らせ呆れ笑った。
蒼亞は涙を拭い鼻を啜る。
「朱翔様、では兄上の苦しみは…?」
朱翔は片眉を上げて呆れたように言う。
「ハッ、お前本当兄思いだな」
「……」
蒼亞はうつむき黙る。
「心配するな、あいつの苦しみは志瑞也がちゃんと救っているさ。だから志瑞也の苦しみは、あいつが一番に救わなきゃいけないんだ。わかったか?」
そう言って、朱翔は蒼亞の頭をなでた。
「はい、ありがとうございます」
深々と頭を下げる蒼亞に、兄の仲間達は穏やかに微笑む。
柊虎が疑問を抱き尋ねる。
「そういえば朱翔、発情の声が神力なら、何故あの時お前の笛に反応がなかったのだ?」
「私も思い返して考えたよ。志瑞也は最初私を蒼万だと思って抱きついたんだ、耳元で声を聞いた時は流石に私も危なかったさ。だが匂いで直ぐに違うって気づいてからは、声に何も感じなくなったんだ」
「って事は…蒼万がいなければ、発情しても神力は使えないってことか?」
朱翔は腕を組み溜息混じりに言う。
「恐らくあの時はそうだったかもしれないが、今はもうわからない。以前志瑞也にな『発情して蒼万以外と関係もったらどうする?』って聞いたらあいつ考え込んでさ、『辰瑞にお願いしてこの世界から俺の記憶を消してもらう』って言ったんだ」
「それって…」
朱翔は蒼亞に目で頷く。
「蒼万が傷つかないようにだ。あいつはそういう奴なんだよ。『願い事はもうしてるだろ?』って言ったら『変えてもらう』ってさハハハ 『できるのか?』って聞いたら『わかんなけど頼み込んでみるよ』って、クククッ」
「し志瑞也ぁらしいですね、クククッ」
兄の仲間達は笑い合う。
「『じゃあお前はどうするんだ?』って聞いたら、空見上げて『辰瑞と何処か旅をするよ』って笑ったんだ…」
蒼亞は夢での彼の最後の言葉を思い出し、涙腺を引き伸ばし湧き出る涙を堪えた。夢で見たのは全て憶測に過ぎず、そして想像に過ぎない。ちぐはぐで、よく考えれば辻褄が合わない事だらけだ。〝兄よりも自分を見てほしい〟それは過去の想い、そして〝どんな事があっも兄を想っていてほしい〟今の思いだ。兄だから諦めた、兄だから受け入れられた、他の者と結ばれるなど、兄への裏切り行為でしかない。誰でもよいのなら……この気持ちもまた、彼を愛するが故、思ってしまった感情の一つだ。夢での彼の憎しみはまるで鏡のように映し出され、まんまと自身に叩きつけられたのだ。
朱翔が首を傾げる。
「ってかお前、どんな夢見たんだ?」
流石に兄と彼の行為を見て、更に彼に 彼此されたなど言えない。恐らく、黄怜殿で聴いて煽られてしまい、彼にされるのを想像したからだ。
「えっと… 色々、志ぃ兄ちゃんと話しました」
「…はあ?」
「…え?」
朱翔と義兄は目玉をひん剥いて驚く。
「おっお前っ、夢の中で志瑞也と話したのか⁉︎」
蒼亞も不思議な事が起こったと思ってはいたが、そんなに驚く事なのかときょとんとして答える。
「はい。『お前誰だ?』って、手を掴まれました」
磨虎も柊虎も驚く。
「掴まれただと⁉︎」
「玄弥っどういう事だ⁉︎」
「わっわかりませんっ…」
兄の仲間達の困惑した様子に、玄史が吃らせながら言う。
「玄弥様っ、その…わ、私の夢にも、志瑞也さんが…」
「玄史も? まさか触れたのか⁉︎」
「はい…」
義兄と見合うも、玄史は気まずそうに視線を逸らした。
「お前達もか⁉︎」
朱翔に指を差され、壱黄も海虎も目を泳がせて頷く。なんと、三人の夢にも彼が現れていたとは。壱黄ならまだしも海虎と玄史には理由がない、蒼亞は眉を寄せ、黙り込む三人を見た。
「海虎話すのだ!」
「磨虎様っ、また私ですか⁉︎」
「お前が話せば皆話し易くなるだろ!」
海虎が視線を向けると、壱黄と玄史は「頼む」と頷く。
「わ、わかりました…」
逃げ場のない海虎は渋々白状する。
海虎の夢は妹と想いが通じ…いや、出逢った後だった。夢の海虎は、兄の指導特訓中で庭園の広場にいた。特訓中なら針を持つこともない、惑わされることもなくむしろ好都合だと、海虎は愛しの妹に会いに銀龍殿に迷わず向かう。銀龍殿の庭園では、楽しそうに朱濂や朱虎、十玄と走り回る妹を見つけ、海虎は堂々と眺めていた。暫くして、背後から肩を叩かれ驚いて振り向くと、彼が不思議そうに首を傾げ立っていたのだ。「海虎、特訓中じゃないのか?」海虎は動揺しながらも、不審に思われないよう夢の海虎のふりして「み、翠に会いたくて…」と正直に答えた。「そっか、なら少し話さないか?」彼は誰もいない庭園の奥へ案内し、そこで妹とのきっかけを問われ、自信作の帯を見せ説明した。彼はお腹の帯に触れながら「凄いな、俺もお前から刺繍を習いたいな」と身体の線に沿って指を滑らし、明らかに怪しい手つきで腰を触る。次第に胸や脇腹をなでられ、海虎はあたふたするも「海虎はやっぱりいい身体してるな、ここもそうか? ふふっ」と、艶っぽく微笑み股間を掴まれたのだった。
「……」
全員の視線が股間に集まり、海虎は両手で隠しながら言う。
「私は話したぞ!」
壱黄は鼻息をつき、躊躇いながら話しだす。壱黄の夢は七年前の講習会、五つの黄花と夢の壱黄を見ながら、いつから黄花が感情を隠していたのかを辿っていた。すると「誰かの家族か?」補助の責務で来ていた彼に、背後から話しかけられたのだ。体ごと振り返ると、彼の髪はまだ長く幼き頃を思い出し「伯父上…」と、壱黄は思わず口走ってしまう。慌てて手で口を塞ぐも「ん、伯父上?」彼はまじまじと見つめ背後に回り、指先でぴとっと首筋に触れて「この黒子…お前っ壱黄か⁉︎」壱黄はしまったと、即座にうなじを押さえ彼から離れる。「なんで隠すんだ? 形も同じだぞっ」と、責任感の強い彼は眉を寄せ訝しむ。突然の事態に考えが追いつかず「わっ私にもわかりませんっ」と喚き、壱黄はその場から逃げようとするが、ぱしっと腕を掴まれてしまう。混乱する壱黄をよそに、彼は「折角会えたんだ、壱黄がどう成長したか見たいから脱いでよ」とにんまりする。勿論、壱黄は全力で人違いだと阻止しようとするが「ずっと見てきたんだ、俺が間違えるはずないだろ?」彼は楽しそうに、壱黄の帯に手をかけ引っ張った。あまりにも抵抗していると「恥ずかしいのか? なら俺も脱ぐよ、ふふっ」と悪戯に微笑み下衣を脱ぎだし、今度は彼を止めようとしたが、逆に掴まれ結局脱がされたのだった。
「……」
沈黙の中、壱黄はうつむいて呟く。
「玄史は…?」
重苦しい雰囲気が漂う中、玄史は瞼を閉じ意を決する。
玄史の夢は北宮領域斗宿にある殿に戻り、玄荏がいなく父から事情を聞かされた後だった。婚約の話が流れ、夢の玄史が自室で落ち込んでいると「玄史、玄咊ちゃん、遊びに来たよ」彼が訪れた。玄咊も誰もいなく、夢の玄史は彼を自室に招き入れた。だが「どうしたんだ暗い顔して?」彼は直ぐに様子がおかしいことに気づく。椅子に向かい合って座り、夢の玄史は玄荏の事を打ち明けた。聞いてもらったことで表情が明るくなり、夢の玄史が礼を言って頭を下げると、彼は「俺でよかったらいつでも」と優しく微笑んだ。玄史は自室から出て、玄荏が使っていた部屋へと向かう。中に入って寝床に腰掛け、もぬけの殻を眺めながら物思いにふけていた。すると「スーッ」と戸が開き「玄史ここにいたんだな」そう言って、彼が部屋に入って来たのだ。夢の玄史を探すも何処にも見当たらず、何が起こったのかと固まる。「寂しいのか?」彼と目線が合い見えていると知ったが、敢えて言葉を発さず動揺を抑えた。だが、彼は玄史に近づき「…人肌恋しい時もあるよな」と、首に腕を回し耳元で「俺が慰めてあげる…」甘く言い首筋に口づけした。「なっ何をするのですか⁉︎」驚いて振り払うが、どんっ、と寝床に押し倒され上に跨り、誘うように「触って…」と衣を脱ぎだしたのだった。
海虎は驚愕して玄史の腕をがしっと掴む。
「お前っ、まっまさかやったのか⁉︎」
玄史は振り払って言う。
「するわけないだろ! 手を掴まれて…すっ、少し身体を触らされたが糸を見て冷静になったのだ。『私は蒼亞の友です。やめて下さい!』って言ったら『よかった、蒼亞を宜しくな』って微笑んでいなくなったのだ。そういうお前は掴まれてどうなったのだ⁉︎」
玄史に股間を指差され、海虎は再び隠しながら言う。
「私も少し弄られたが糸を見て気づいたのだ! 両手を上げて『私は翠以外とはしません!』って言ったら『約束だぞ』って微笑んで手を離してくれたのだ。いっ壱黄、お前は⁉︎」
壱黄はぼそぼそと言う。
「私は…見られて、さっ触られながら『大きくなったな』って笑って… 『俺のも見るか?』って言うから慌てて糸を見て『伯父上よりはまだ小さいと思います』って言ったら… 『そっか、壱黄は成長しても可愛いんだな』って微笑んで頭をなでたのだ… 蒼亞は?」
全員の視線が蒼亞に集まる。
「……」
黙って地面を凝視する蒼亞に、朱翔が低く言う。
「襲ったのか?」
「ちっ違います…」
蒼亞は口篭らせて言う。
「脱がされて…く、咥えられました…」
壱黄、海虎、玄史は絶叫しそうになり、ばっと両手で口を塞ぐ。
朱翔が真顔で尋ねる。
「何故そうなった?」
「兄上と似た匂いがするって…いきなり口づけされて『唾液も似た味がするな』って… 『ここはどうか?』って… でっでもっ、糸を見て突き飛ばして離れましたっ…」
全員が夢の出来事にほっとする。
蒼亞は一度深く呼吸して、兄と彼の行為は部屋の外で聞いたことにし、彼が消滅を願ったことを話した。
───朱翔が納得して言う。
「だから七年前の事聞いてきたのか?」
「はい… 最後に『ごめんな』って言った後、空が光って意識が無くなったんです…」
義兄も納得し、宥めるように蒼亞の肩を摩る。
「それでなかなか起きなかったのだな」
義兄は深刻そうに眉を寄せ腕を組む。
「朱翔さん、蒼亞はかなり引き込まれたみたいですが、問題は…」
「志瑞也だな」
頷き合う二人に、柊虎が尋ねる。
「どういう事だ?」
朱翔は人差し指で頭を差して言う。
「夢蟖は深く刻まれた記憶や、 新しい出来事に入り込み夢を操るだけだ。触れ合うなんて本来できない、そうだよな玄弥?」
「はい。恐らくですが記憶の中のし志瑞也ぁではなく、食堂で一度接したからかもしれません。し志瑞也ぁは壱黄の頭をなでたり、海虎、壱黄、蒼亞の神獣を呼ぼうとしたり、志寅を呼び出してもいます」
柊虎は驚く。
「って事はっ、夢蟖が志瑞也に操られていたのか?」
「分かりませんが可能性はあります。現に有り得ない言動は夢蟖の仕業ですが、家族の友への信頼、家族愛はし志瑞也ぁの感情です」
磨虎が閃きにんまりと言う。
「辰瑞に聞けばよいのではないか?」
「そうですね兄上!」
珍しく頭を働かせた兄磨虎の案に、柊虎は親になるとやはり変わるのだと感心する。弟柊虎の賛同により、磨虎は誇らしげに微笑む。
朱翔は鼻息をついて即答する。
「いや、それは無理だ」
磨虎はむっとして口を尖らす。
「何故だ⁉︎」
「辰瑞は志瑞也のためになる事しか教えないはずだ」
「何故分かるのだ⁉︎」
前のめりに食ってかかる磨虎に、朱翔は相変わらず面白い奴だとにやけて言う。
「ハハハそう睨むな」
「兄上、朱翔の話を聞きましょう」
臍を曲げないよう、柊虎は兄磨虎を宥めた。不満げな顔をするも、磨虎は取り敢えず黙ることにした。
「あいつの事は謎だらけで、この私でも調べようがないだろ?」
そう言って、朱翔は飄々と首を傾げ肩を竦める。
「だから昨日銀龍殿でな、夢蟖の臭いに気づいた理由を『辰瑞に聞いてみてくれないか?』って頼んだのさ」
今度は義兄が食いついて尋ねる。
「辰瑞は何と言ったのですか⁉︎」
朱翔はわざとらしく口笛を吹き、苛つく磨虎を見て楽しむ。磨虎が「早く言え!」とぎろっと睨み、朱翔は両眉を上げにんまりと言う。
「出そうとしたが出てこなかったんだ」
磨虎は首を傾げる。
「ん、そんなことあるの…か?」
予想していた磨虎の反応に、朱翔は笑いながら言う。
「何故か聞いたら『時々あるよ、寝てるんじゃないかな』って、ハハハ おかしいだろ?」
確かに、全員が頷く。神獣が主人に呼ばれて出て来ないなどあり得ないが、そもそも辰瑞は普通の神獣ではない。全員の反応を堪能した後、朱翔は真面目に言う。
「金粉の時だって勝手に出たんだ。あいつも今機嫌悪いのに、辰瑞まで機嫌損ねたら大変だろ?」
全員がこくこく頷く。
「だからもう一度四人に術をかけて」
「朱翔様っ」
「どうした玄史?」
「ああっあのっ、今日はもうっ…白虎家の指導の日です!」
三人は目を潤ませ、玄史の勇気に心で声援を送った。
「ふっ、なら明日だな」
四人は顔面蒼白になる。
「クククッ そんなに怖がるなよ。この術の検証は髪が伸びた頃になハハハハ」
義兄が四人の前に立って説明する。
「皆よく頑張ったな。術が解かれた時に感じたと思うが、一気に神力が漲っただろ? 身体が馴染めば感覚は戻るよ」
そう言われてみれば、先程から兄の仲間達の神力を肌で感じなくなった。四人は不思議そうに、自分達の両手の平を見つめる。
「夢蟖は神力を抑えるし、神獣も眠らせるから出せなくなるのだ。相手の神力を自分と比較して肌で感じたよね? それがお前達の本来の神力の高さだよ」
〝誰も彼には敵わない〟四人は本当の意味を知る。
義兄は揺れない深緑の瞳で言う。
「だけど目的は神力を量ることでも、抑えることでもない。もうわかっているよね?」
「はい」
四人は拳を強く握り頷いた。
「今回蒼亞は蒼万さん、壱黄は黄花ちゃん、海虎は針、玄史は玄咊ちゃん。し志瑞也ぁは恐らく対象にはならない」
蒼亞が尋ねる。
「義兄上達は、志ぃ兄ちゃんの力をいつも感じているんですか?」
「ハハハやっぱり凄かったよね?」
四人は真顔で頷き、兄の仲間達は笑う。
「辰瑞を出している時が一番わかるけど、普段は全くだよ。し志瑞也ぁは普通の神族ではないし、感情で変わるから本当の高さは誰も分からないのだ。そうだなー、私達が七年前肌で感じたのは〝絶望〟だよ」
微笑んで言うが、一切笑のない瞳に、四人は背筋を凍らせ息を呑んだ。兄の仲間達は〝恐怖〟を感じたのだろう。そして、誰もが〝無力〟だと。
「玄弥」
「はい、朱翔さん」
朱翔は片肘を抱え顎に手をあて、何やら険しい顔で言う。
「って事は、辰瑞を出して神獣を呼べば…」
「もしやっ、術が解け神獣が出てくるかもしれません!」
朱翔が「パチン」と指を鳴らして義兄を差し、二人は新たな検証に目を丸くしにんまりする。四人は顔を引き攣らせ、彼と兄の早い戻りを切実に願った。
「石段は全部で二十三だ。ここから私は話せないから、皆気をつけろ」
「うん」
三人は頷く。
ゆっくり石段を下り、四人は広場へ下りた。しんとした静けさの中、足音一つしないが、前方、後方に数人の気配がある。
「お前達、目隠しを取るのだ」
背後から義兄が言うも、まだ術は解いていない。蒼亞は騒つく心を抑え、恐々と手を後頭部に回し布を解いた。眩しい日差しに目を窄め、ゆっくりと瞼を開ける。
「…えっ、志ぃ兄ちゃん⁉︎」
目の前には、琥珀色の瞳をした彼がいた。反射的に耳を塞ごうとするが、咀嚼音は聞こえない。広場には黄花や玄咊、ちびっ子達の姿もない。三人は海虎を見るも、海虎もわからないと首を傾げる。背後から、兄と仲間達が四人の前に回ってきた。
「蒼亞、蒼万さんを見てもなんともないか?」
義兄に言われ、兄と視線を合わせる。
「はい…」
「朱翔さん、不思議ですねー?」
首を傾げる義兄に、朱翔が楽しそうに言う。
「じゃあ全員呼んでみるか? 壱黄と玄史もどうなるか見てみたい」
黄怜殿の時もそう言って、四人は巻き込まれ痛い思いをした。壱黄と玄史はがっと目を開き怯える。
「そうですね」
義兄は微笑んで頷く。
「志瑞也、辰瑞を呼んでくれ」
「わかった」
朱翔に言われ、彼は瞼を閉じた。
「うーん、ありゃ?」
眉を寄せ首を傾げる。
「どうしたんだ?」
彼は瞼を開ける。
「朱翔、なんか戻って来れないみたいだな。困っているみたいだけど…なんかあったのかな?」
磨虎が片方の口角を上げて言う。
「もしや朱濂と翠が喧嘩しているのではないか? 置いてくる時から辰瑞を取り合っていたぞ」
「またかよ、ったく」
朱翔は面倒くさそうに頭を掻く。
「俺連れてくるよ」
「わかった…って、おいっ、志瑞也待て!」
朱翔が止めるのも聞かず彼は走りだす。
ガツガツガツガツ…
「うああぁ!」
突然、咀嚼音が鳴り響き、蒼亞は頭を押さえて蹲り、朱翔が慌てて大声で呼びかける。
「志瑞也っ、戻って来い! 蒼亞の髪がなくなるぞ!」
「ええー⁉︎」
彼は急ぎ石段を駆け下り戻って来た。
「蒼亞っ、だっ大丈夫か⁉︎」
言いながら蒼亞の側にしゃがみ、背中に触れて顔を覗き込む。
ギャッ…
「あれ?」
悲鳴が聞こえたかと思いきや、身体が一瞬で軽くなったではないか。それどころか、兄や仲間達の神力までもが肌で感じられる……これは一体?
彼が鼻をくんくんさせる。
「ん、蒼亞臭くないぞ?」
まさかと、義兄は瞳を深緑に光らせた。
「朱翔さんっ、そっ蒼亞だけ術が解けてます!」
「ハハハそうか、辰瑞を呼ぶ手間が省けたな」
そう言って、朱翔は彼に指示する。
「志瑞也、海虎は肩、壱黄は頭、玄史は胸元を触ってみてくれ」
「わかった」
彼は順番に、とん、とん、とん、と三人に触れる。「何だこれは⁉︎」「すっ凄い…」「この術にこんな力が…」三人共、肌で感じる変化に驚く。そして、一番の驚きは彼の神力の高さだ。初めて肌で感じた彼の力に、四人は感激を通り越し鳥肌を立てる。兄達、いや、宗主達は既にこれを感じていたのか? 彼は再び犬の様に海虎、壱黄、玄史の臭いを確認する。獣臭が無くなっていることに安堵して、考え込む朱翔と義兄に話しかけた。
「なあっ」
「朱翔さん、これも麒麟の神力ですかね?」
「かもな、夢蟖が解かれるなんて…」
義兄は首を傾げ、朱翔は顎に手をあて向かい合う。
「私も初めてです。浄化の効力かもしれませんね。でも食堂では辰瑞を出していませんが、壱黄の頭に一度触れていますよ?」
彼は二人に近づき、横から声をかけた。
「俺っ」
「なら辰瑞出さないでもう一度試してみるか?」
言いながら、朱翔は目の前の彼に目もくれず四人を見た。
「はい、私もっ」
「なあっ、無視か⁉︎」
「何だよ志瑞也っ、でかい声だすな! 今夢蟖の話しているだろ!」
朱翔は耳に指を入れ、彼を邪険に睨みつける。
「夢蟖じゃなくて無視だよっ、俺は辰瑞の所に行くぞ!」
「聞かなくても行けよ!」
「なっ…何だよ‼︎」
義兄と続きを話そうとする朱翔に、彼は信じられないと目を見開き、頬を膨らまし頭から湯気を吹く。
「実験ヲタクかよ! 玄弥も一緒になってさ! 結果が出たら俺は用済みか!」
彼はぶつぶつ吐きながら、一踏み一踏み怒りを込め石段を上り「ダンッ」と到着し、ばっと振り返って見下ろす。
「もう手伝ってやんないからなっ‼︎」
彼はぎろっと睨みつけ去って行った。
義兄と朱翔はしまったと、石段を見上げ苦笑いする。
「朱翔さん、機嫌が直るまでは無理そうですね」
「はぁー、だな…」
四人は一先ずほっとして鼻息をつき、柊虎と磨虎は彼が怒るのも当然とせせら笑う。
「蒼万『ヲタク』ってなんだ?」
「一つの事柄に熱中、または執着する者を云う」
そう言って、兄は朱翔の肩を軽く叩いてかすかに鼻で笑い、彼を追い石段を駆け上った。
朱翔は真顔で言う。
「…玄弥、褒められている気がしないのは、何でだ?」
「さぁ…?」
朱翔と義兄は、疑惑の眼差しで兄を目で追った。
蒼亞は今の内にと尋ねる。
「朱翔様、七年前私が志ぃ兄ちゃんにした事…覚えてますか?」
兄の仲間達の目の色が一瞬で変わる、やはり何かあったのだ。打ちつける鼓動に、蒼亞の指先は震えだす。
朱翔は壱黄、海虎、玄史を見て言う。
「ここで話していいのか?」
「はい…」
三人は何の事だと蒼亞を見る。
「何が聞きたいんだ?」
「あの時志ぃ兄ちゃんは… 私のせいで発情したはずです。その後の事、教えて下さい…」
三人は眉を寄せるも、黙って話を聞くことにした。
朱翔は鼻息をつき腕を組む。
「やっと聞いてきたな…」
朱翔は仲間達と見合い〝時が来た〟と頷いて話しだす。
「あの後志瑞也は三刻独りで耐えた…いや、耐えるしかなかったんだ。私の笛でも戻すのにそれだけかかって苦しんだ」
落ち着きのある口調だが、決して穏やかではない。蒼亞は歯を食いしばり、目の縁を赤く染める。
「お前を煽ったのは私だ、私が悪かったんだ…」
柊虎が険しい顔をして蒼亞を見て言う。
「朱翔だけではない、私も知っていた」
あの時、彼から蒼亞を引き剥がしたのは柊虎だ。だとしても、柊虎は遠目から様子を見ていただけで、その場には居合わせていなかった。朱翔は柊虎の肩に手を置いて顔を横に振り、伏し目がちに続きを話す。
「これは言い訳だが、その時は誰も志瑞也の身体の事は知らなかった… 私達で蒼万の何かに辿り着いたが確証を得たくてな、私の独断でお前を利用したんだ」
磨虎も義兄も知らされてなかったとはいえ、自分達も賛同者だと言わんばかりの顔をした。
「まさかお前が口づけするとは思わなかったが、私の悪戯の度が過ぎてあいつを苦しめたんだ。発情したあいつに直接触れた私だから言えるが、私以外なら皆理性を奪われていたはずだ…」
柊虎、磨虎、義兄は何も言えず眉を寄せうつむく。朱翔がいうのなら、その推測に間違いはない。理性を奪われかけたからこそ、彼の発情の恐ろしさは身に染みている。
「だからあいつに誰も近づけさせないよう、部屋の前で笛を吹き続けた。私が責任を取らなければならないからだ。発情したあいつはひたすら蒼万を求めてな、宥めようとしたが…私が触れても誰かわからなかった。身体を守るみたいに『触るなっ』て余計に怯えてな… 呼んでも来ないのに蒼万をずっと呼び続けていたよ…」
当時を思い出すかのように、朱翔は眉間に皺を寄せ声を震わせた。だが、朱翔に煽られなくても、蒼亞は彼に口づけしようと隙を見ていた。もし、側に誰もいなかったら、蒼亞は夢を思い出し、頬に一筋の涙をつたらせた。
「わ、私があんな…」
「違うぞ蒼亞っ、一番悪いのは蒼万だ!」
朱翔が怒りを顕にする。
「あいつはその時点で全て知っていたが誰にも話さなかったんだっ、志瑞也にさえもなっ 知っていれば防げていたし、私もあんな馬鹿な真似はしなかったさ!」
「だから、殴ったんですね…」
「そうだ。あいつが志瑞也のためだと思って尽くしてきた事はな、全てあいつの独占欲のためさ。志瑞也は神力を制御できなくて苦しんでいたんだ。あいつがまた同じ事したら私は何度だって殴ってやるさハハハ な、柊虎?」
言いながら、朱翔は柊虎の肩にぽんと手を置く。柊虎は「ふっ」とすかして笑い腕を組んで言う。
「流石にもう不意打ちは無理だがな」
「なら皆で押さえて殴るしかないな。お前達死ぬ気で押さえないと吹き飛ぶぞハハハ」
朱翔は柊虎、磨虎、義兄を指差し、三人は顔を引き攣らせ呆れ笑った。
蒼亞は涙を拭い鼻を啜る。
「朱翔様、では兄上の苦しみは…?」
朱翔は片眉を上げて呆れたように言う。
「ハッ、お前本当兄思いだな」
「……」
蒼亞はうつむき黙る。
「心配するな、あいつの苦しみは志瑞也がちゃんと救っているさ。だから志瑞也の苦しみは、あいつが一番に救わなきゃいけないんだ。わかったか?」
そう言って、朱翔は蒼亞の頭をなでた。
「はい、ありがとうございます」
深々と頭を下げる蒼亞に、兄の仲間達は穏やかに微笑む。
柊虎が疑問を抱き尋ねる。
「そういえば朱翔、発情の声が神力なら、何故あの時お前の笛に反応がなかったのだ?」
「私も思い返して考えたよ。志瑞也は最初私を蒼万だと思って抱きついたんだ、耳元で声を聞いた時は流石に私も危なかったさ。だが匂いで直ぐに違うって気づいてからは、声に何も感じなくなったんだ」
「って事は…蒼万がいなければ、発情しても神力は使えないってことか?」
朱翔は腕を組み溜息混じりに言う。
「恐らくあの時はそうだったかもしれないが、今はもうわからない。以前志瑞也にな『発情して蒼万以外と関係もったらどうする?』って聞いたらあいつ考え込んでさ、『辰瑞にお願いしてこの世界から俺の記憶を消してもらう』って言ったんだ」
「それって…」
朱翔は蒼亞に目で頷く。
「蒼万が傷つかないようにだ。あいつはそういう奴なんだよ。『願い事はもうしてるだろ?』って言ったら『変えてもらう』ってさハハハ 『できるのか?』って聞いたら『わかんなけど頼み込んでみるよ』って、クククッ」
「し志瑞也ぁらしいですね、クククッ」
兄の仲間達は笑い合う。
「『じゃあお前はどうするんだ?』って聞いたら、空見上げて『辰瑞と何処か旅をするよ』って笑ったんだ…」
蒼亞は夢での彼の最後の言葉を思い出し、涙腺を引き伸ばし湧き出る涙を堪えた。夢で見たのは全て憶測に過ぎず、そして想像に過ぎない。ちぐはぐで、よく考えれば辻褄が合わない事だらけだ。〝兄よりも自分を見てほしい〟それは過去の想い、そして〝どんな事があっも兄を想っていてほしい〟今の思いだ。兄だから諦めた、兄だから受け入れられた、他の者と結ばれるなど、兄への裏切り行為でしかない。誰でもよいのなら……この気持ちもまた、彼を愛するが故、思ってしまった感情の一つだ。夢での彼の憎しみはまるで鏡のように映し出され、まんまと自身に叩きつけられたのだ。
朱翔が首を傾げる。
「ってかお前、どんな夢見たんだ?」
流石に兄と彼の行為を見て、更に彼に 彼此されたなど言えない。恐らく、黄怜殿で聴いて煽られてしまい、彼にされるのを想像したからだ。
「えっと… 色々、志ぃ兄ちゃんと話しました」
「…はあ?」
「…え?」
朱翔と義兄は目玉をひん剥いて驚く。
「おっお前っ、夢の中で志瑞也と話したのか⁉︎」
蒼亞も不思議な事が起こったと思ってはいたが、そんなに驚く事なのかときょとんとして答える。
「はい。『お前誰だ?』って、手を掴まれました」
磨虎も柊虎も驚く。
「掴まれただと⁉︎」
「玄弥っどういう事だ⁉︎」
「わっわかりませんっ…」
兄の仲間達の困惑した様子に、玄史が吃らせながら言う。
「玄弥様っ、その…わ、私の夢にも、志瑞也さんが…」
「玄史も? まさか触れたのか⁉︎」
「はい…」
義兄と見合うも、玄史は気まずそうに視線を逸らした。
「お前達もか⁉︎」
朱翔に指を差され、壱黄も海虎も目を泳がせて頷く。なんと、三人の夢にも彼が現れていたとは。壱黄ならまだしも海虎と玄史には理由がない、蒼亞は眉を寄せ、黙り込む三人を見た。
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「お前が話せば皆話し易くなるだろ!」
海虎が視線を向けると、壱黄と玄史は「頼む」と頷く。
「わ、わかりました…」
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「……」
全員の視線が股間に集まり、海虎は両手で隠しながら言う。
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壱黄は鼻息をつき、躊躇いながら話しだす。壱黄の夢は七年前の講習会、五つの黄花と夢の壱黄を見ながら、いつから黄花が感情を隠していたのかを辿っていた。すると「誰かの家族か?」補助の責務で来ていた彼に、背後から話しかけられたのだ。体ごと振り返ると、彼の髪はまだ長く幼き頃を思い出し「伯父上…」と、壱黄は思わず口走ってしまう。慌てて手で口を塞ぐも「ん、伯父上?」彼はまじまじと見つめ背後に回り、指先でぴとっと首筋に触れて「この黒子…お前っ壱黄か⁉︎」壱黄はしまったと、即座にうなじを押さえ彼から離れる。「なんで隠すんだ? 形も同じだぞっ」と、責任感の強い彼は眉を寄せ訝しむ。突然の事態に考えが追いつかず「わっ私にもわかりませんっ」と喚き、壱黄はその場から逃げようとするが、ぱしっと腕を掴まれてしまう。混乱する壱黄をよそに、彼は「折角会えたんだ、壱黄がどう成長したか見たいから脱いでよ」とにんまりする。勿論、壱黄は全力で人違いだと阻止しようとするが「ずっと見てきたんだ、俺が間違えるはずないだろ?」彼は楽しそうに、壱黄の帯に手をかけ引っ張った。あまりにも抵抗していると「恥ずかしいのか? なら俺も脱ぐよ、ふふっ」と悪戯に微笑み下衣を脱ぎだし、今度は彼を止めようとしたが、逆に掴まれ結局脱がされたのだった。
「……」
沈黙の中、壱黄はうつむいて呟く。
「玄史は…?」
重苦しい雰囲気が漂う中、玄史は瞼を閉じ意を決する。
玄史の夢は北宮領域斗宿にある殿に戻り、玄荏がいなく父から事情を聞かされた後だった。婚約の話が流れ、夢の玄史が自室で落ち込んでいると「玄史、玄咊ちゃん、遊びに来たよ」彼が訪れた。玄咊も誰もいなく、夢の玄史は彼を自室に招き入れた。だが「どうしたんだ暗い顔して?」彼は直ぐに様子がおかしいことに気づく。椅子に向かい合って座り、夢の玄史は玄荏の事を打ち明けた。聞いてもらったことで表情が明るくなり、夢の玄史が礼を言って頭を下げると、彼は「俺でよかったらいつでも」と優しく微笑んだ。玄史は自室から出て、玄荏が使っていた部屋へと向かう。中に入って寝床に腰掛け、もぬけの殻を眺めながら物思いにふけていた。すると「スーッ」と戸が開き「玄史ここにいたんだな」そう言って、彼が部屋に入って来たのだ。夢の玄史を探すも何処にも見当たらず、何が起こったのかと固まる。「寂しいのか?」彼と目線が合い見えていると知ったが、敢えて言葉を発さず動揺を抑えた。だが、彼は玄史に近づき「…人肌恋しい時もあるよな」と、首に腕を回し耳元で「俺が慰めてあげる…」甘く言い首筋に口づけした。「なっ何をするのですか⁉︎」驚いて振り払うが、どんっ、と寝床に押し倒され上に跨り、誘うように「触って…」と衣を脱ぎだしたのだった。
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全員の視線が蒼亞に集まる。
「……」
黙って地面を凝視する蒼亞に、朱翔が低く言う。
「襲ったのか?」
「ちっ違います…」
蒼亞は口篭らせて言う。
「脱がされて…く、咥えられました…」
壱黄、海虎、玄史は絶叫しそうになり、ばっと両手で口を塞ぐ。
朱翔が真顔で尋ねる。
「何故そうなった?」
「兄上と似た匂いがするって…いきなり口づけされて『唾液も似た味がするな』って… 『ここはどうか?』って… でっでもっ、糸を見て突き飛ばして離れましたっ…」
全員が夢の出来事にほっとする。
蒼亞は一度深く呼吸して、兄と彼の行為は部屋の外で聞いたことにし、彼が消滅を願ったことを話した。
───朱翔が納得して言う。
「だから七年前の事聞いてきたのか?」
「はい… 最後に『ごめんな』って言った後、空が光って意識が無くなったんです…」
義兄も納得し、宥めるように蒼亞の肩を摩る。
「それでなかなか起きなかったのだな」
義兄は深刻そうに眉を寄せ腕を組む。
「朱翔さん、蒼亞はかなり引き込まれたみたいですが、問題は…」
「志瑞也だな」
頷き合う二人に、柊虎が尋ねる。
「どういう事だ?」
朱翔は人差し指で頭を差して言う。
「夢蟖は深く刻まれた記憶や、 新しい出来事に入り込み夢を操るだけだ。触れ合うなんて本来できない、そうだよな玄弥?」
「はい。恐らくですが記憶の中のし志瑞也ぁではなく、食堂で一度接したからかもしれません。し志瑞也ぁは壱黄の頭をなでたり、海虎、壱黄、蒼亞の神獣を呼ぼうとしたり、志寅を呼び出してもいます」
柊虎は驚く。
「って事はっ、夢蟖が志瑞也に操られていたのか?」
「分かりませんが可能性はあります。現に有り得ない言動は夢蟖の仕業ですが、家族の友への信頼、家族愛はし志瑞也ぁの感情です」
磨虎が閃きにんまりと言う。
「辰瑞に聞けばよいのではないか?」
「そうですね兄上!」
珍しく頭を働かせた兄磨虎の案に、柊虎は親になるとやはり変わるのだと感心する。弟柊虎の賛同により、磨虎は誇らしげに微笑む。
朱翔は鼻息をついて即答する。
「いや、それは無理だ」
磨虎はむっとして口を尖らす。
「何故だ⁉︎」
「辰瑞は志瑞也のためになる事しか教えないはずだ」
「何故分かるのだ⁉︎」
前のめりに食ってかかる磨虎に、朱翔は相変わらず面白い奴だとにやけて言う。
「ハハハそう睨むな」
「兄上、朱翔の話を聞きましょう」
臍を曲げないよう、柊虎は兄磨虎を宥めた。不満げな顔をするも、磨虎は取り敢えず黙ることにした。
「あいつの事は謎だらけで、この私でも調べようがないだろ?」
そう言って、朱翔は飄々と首を傾げ肩を竦める。
「だから昨日銀龍殿でな、夢蟖の臭いに気づいた理由を『辰瑞に聞いてみてくれないか?』って頼んだのさ」
今度は義兄が食いついて尋ねる。
「辰瑞は何と言ったのですか⁉︎」
朱翔はわざとらしく口笛を吹き、苛つく磨虎を見て楽しむ。磨虎が「早く言え!」とぎろっと睨み、朱翔は両眉を上げにんまりと言う。
「出そうとしたが出てこなかったんだ」
磨虎は首を傾げる。
「ん、そんなことあるの…か?」
予想していた磨虎の反応に、朱翔は笑いながら言う。
「何故か聞いたら『時々あるよ、寝てるんじゃないかな』って、ハハハ おかしいだろ?」
確かに、全員が頷く。神獣が主人に呼ばれて出て来ないなどあり得ないが、そもそも辰瑞は普通の神獣ではない。全員の反応を堪能した後、朱翔は真面目に言う。
「金粉の時だって勝手に出たんだ。あいつも今機嫌悪いのに、辰瑞まで機嫌損ねたら大変だろ?」
全員がこくこく頷く。
「だからもう一度四人に術をかけて」
「朱翔様っ」
「どうした玄史?」
「ああっあのっ、今日はもうっ…白虎家の指導の日です!」
三人は目を潤ませ、玄史の勇気に心で声援を送った。
「ふっ、なら明日だな」
四人は顔面蒼白になる。
「クククッ そんなに怖がるなよ。この術の検証は髪が伸びた頃になハハハハ」
義兄が四人の前に立って説明する。
「皆よく頑張ったな。術が解かれた時に感じたと思うが、一気に神力が漲っただろ? 身体が馴染めば感覚は戻るよ」
そう言われてみれば、先程から兄の仲間達の神力を肌で感じなくなった。四人は不思議そうに、自分達の両手の平を見つめる。
「夢蟖は神力を抑えるし、神獣も眠らせるから出せなくなるのだ。相手の神力を自分と比較して肌で感じたよね? それがお前達の本来の神力の高さだよ」
〝誰も彼には敵わない〟四人は本当の意味を知る。
義兄は揺れない深緑の瞳で言う。
「だけど目的は神力を量ることでも、抑えることでもない。もうわかっているよね?」
「はい」
四人は拳を強く握り頷いた。
「今回蒼亞は蒼万さん、壱黄は黄花ちゃん、海虎は針、玄史は玄咊ちゃん。し志瑞也ぁは恐らく対象にはならない」
蒼亞が尋ねる。
「義兄上達は、志ぃ兄ちゃんの力をいつも感じているんですか?」
「ハハハやっぱり凄かったよね?」
四人は真顔で頷き、兄の仲間達は笑う。
「辰瑞を出している時が一番わかるけど、普段は全くだよ。し志瑞也ぁは普通の神族ではないし、感情で変わるから本当の高さは誰も分からないのだ。そうだなー、私達が七年前肌で感じたのは〝絶望〟だよ」
微笑んで言うが、一切笑のない瞳に、四人は背筋を凍らせ息を呑んだ。兄の仲間達は〝恐怖〟を感じたのだろう。そして、誰もが〝無力〟だと。
「玄弥」
「はい、朱翔さん」
朱翔は片肘を抱え顎に手をあて、何やら険しい顔で言う。
「って事は、辰瑞を出して神獣を呼べば…」
「もしやっ、術が解け神獣が出てくるかもしれません!」
朱翔が「パチン」と指を鳴らして義兄を差し、二人は新たな検証に目を丸くしにんまりする。四人は顔を引き攣らせ、彼と兄の早い戻りを切実に願った。
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