Mag Mell -喜びの国-

二見 遊

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第2章 魂に触れる熱

第13話

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 「なあ、今日の放課後暇か?」

教室に着くなりマシューが右腕をぐるぐると回しながらレナードに近づいてくる。昨日会った時は訓練だったからかラフな格好だったが、今はグレーを基調とした気崩しの少ない服装をしている。

 「暇だけど、何かあるのか?」

初日の放課後に予定があるわけもなく、その言葉にひとまず頷く。

 「校内全体を使っての合同訓練があるんだよ、お前も参加しないか?」

思わず顔を顰める。昨日まだ能力が発動していないという話を聞いていなかったのだろうか。

 「悪いけど、俺まだ――」
 「あっと、能力は使用禁止だから気にしなくていいぜ」

断ろうとした瞬間、慌てたように手を振り制してくる。予想通りの反応だったらしく、レナードは返事に窮した。わざわざ能力禁止の訓練に誘ってくるということはこちらの事情も配慮の上だろう。まさか訓練も二人だけでやるわけはないだろうし、知り合いを増やすいいきっかけではないかと思い直した。

 「それなら参加したいな。他にも参加者がいるんだよね?」
 「おう、20人くらいかな」

思った以上に人数が多くて慄いてしまう。校内全体を使うという所が引っかかっていたが、20人というとこの学校基準ではクラス一つ分集まっていることになる。一体何の遊びをする気なのか。
ルールは移動してから説明すると言われ、マシューの後に着いていくと、校舎裏の訓練場には20どころか30人強の生徒達が楽し気に集まっている。


 「おー、思ったより集まったな」

一段高い場所にガイルが立っている。ポジションから考えても企画者なのだろうか。マシューが嬉しそうに壇上に駆け寄ろうとしているが、手を掴むのは止めてほしい。新参者が我が物顔でついて行ってもいいことはない。ガイルとマシューは間違いなくこの学校の人気者だろうし、この集まりに大勢集まっていることから見ても明らかだ。マシューは不満そうにしていたが、早くしないと話が始まるからと促し、レナードはそそくさと皆の後ろ辺りにまぎれた。

 「皆、今日は合同訓練によく集まってくれた! 既に内容は説明されているかもしれないが、クラスの別関係なく、校舎全体を使ってハイドアンドシークを行う。言っておくが子供の遊びじゃないぞ」

ハイドアンドシーク、平たくいえばかくれんぼだ。訓練というには首を傾げるような言葉に緩みかけた空気を、ガイルが一睨みで引き締める。

 「参加者はこれから3グループに分ける。まず第1グループが最初に校舎内に入って隠れる。この際体の見える部分にこの赤い布を巻く。後の2グループは3分外で待ち、初めに入った第1グループを探して赤い布を集めるんだ。抵抗は有りだが、布を取られた後は素直に降参してここに戻ってこいよ? 制限時間は30分。時間を過ぎても捕まらない者がいた場合第1グループの勝ち! 全員捕まえたら第2・第3グループの勝ち。 以上だ! 質問のあるものは?」

ガイルがぐるりと生徒達を見渡す。

 「これは生徒会主催のイベントなんですか?」
 「いいや、俺個人と友人数人による思い付きみたいなもんだ。ここだけの話、訓練というのもぶっちゃけ名目だな。そうじゃなきゃ校舎全体なんて借りられないだろ?」

何故やろうと思ったのか。それは楽しそうだからだ。そんな受け答えがわざわざ質問しなくても分かる程に、ガイルの顔は悪だくみをする子供のような輝きに満ちていた。

 「それと、能力による攻撃は使用禁止だ! 流石に校舎内を壊したりするような事態になったらまずいし、怪我を負わせかねないからな。他に質問がなければグループ分け始めるぞー」

グループ分けは割合簡単に済んだ。クラス毎に固まることがないようにと、最初に年齢別に分けられたあと、アトランダムに振り分けられた。残念ながら訓練に誘ってくれたマシューは敵側となり、アトラスと一緒になった。
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