Mag Mell -喜びの国-

二見 遊

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第3章 折り重なる感情

第26話★

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背中を押すセクレトの指は、暑くなった彼の体にはひんやりと冷たく、気持ちいい。どうなってしまうのだろうという不安も、段々と抗いがたい睡魔に侵され小さくなってきた。同時に膨れ上がる熱量によってレナードは、聞こえてくる声が酷くぼんやりと遠い声のように感じてきた。

 「最後にもう一度言いますが、抗ってはいけませんよ。解放するのです」

彼はそう言って軽くレナードの頭を撫でる。冷たい手が離れ、やがて動く鈴の音が聞こえなくなっていった。はっきりとした記憶は、ここまでしかない。


全身が熱い風呂に浸かったような、行き場のない熱がレナードを支配する。どうにか熱を逃がしたくて、彼はもがきあがくが、熱は自身の中から発せられている。

 「あつい、あついよ……」

このまま熱で死んでしまうのではないか。そんな心配が頭をよぎる最中、自身が未だ服を身にまとっていることに疑問が沸いた。邪魔だな。考える間もなく、下半身を覆う服を脱ぎ捨てる。それでも暑さは変わらない。

 「こんなの聞いてない、助けて、誰か助けてくれ!」

呼ぶ声に応える者はいない。やがて彼の体からは汗が吹き出し、肌の表面が痒いような不思議な感覚に襲われだした。うねうねと身を捩り全身を手を伸ばして肌を擦っている内に、やがて別の感覚が生まれてくる。ただ熱と痒さだけが猛威を振るっていた体に触れる度生まれる違和感。これは何だろうか。

 「あっ」

理解が及ばぬまま自身の手が胸の突起の辺りを過ぎた時、レナードは自分でも聞いたことのない甘い声が出た。羞恥で頭がおかしくなりそうだ。だがここには誰もいない。誰も聞いていないのなら、もう一度触ってもいいんじゃないか。段々と崩れ行く理性の元そろそろと手を伸ばし、そうっと突起を摘まむ。瞬間、彼の視界は真っ白になった。感じたことのない快感に我慢できなくなり、何度も抓り、弾き、押しつぶす。

 「な、んだよこれぇ……!」

自分自身を慰めたことはあっても、胸を弄った経験はない。そうにも関わらず、胸への刺激が止められなくなった。ここでこんなに気持ちいいのなら、下はどうなんだろう。見て確認するまでもなく、下腹部の熱源は既に最高の硬度を保っている。
レナードがうつ伏せの体勢から仰向けに移行すれば、正しく天を向いてそそり立った。恐々と手を伸ばそうとした時、彼の手が唐突に捕まれた。
えっ、と口に出す暇もなくそり発つそこが生暖かく湿ったものに包まれ、再度レナードの視界が白く染まる。胸を触った時以上の快感が全身に走り、瞬間的に彼は達してしまっていた。

 「なに、誰、なんで」

人影の形は少なくともセクレトより小さく見える。相手は無言のまま一旦離れ、レナードの未だ元気なモノを優しく手で擦り上げる。相手の手に付着した液体が月明りに照らされて白く光る。そしてどこからかくちゅりと音がした後、すぐにまたレナードは考える余裕を失った。

 「ぁっ、だめだ、また、いくっ」

先ほどの生暖かさの比ではない締め付けにレナードは下腹部ごと全身が持っていかれそうな感覚に陥った。相手の上下運動に伴い与えられる刺激が彼のなけなしの理性を奪い取り、最早制御不能になる。
二回目の絶頂の後、彼はもう考えるのをやめ、ただただ下から相手を突き上げることにだけ集中した。抜いて、突く。それだけの動作だったが、相手の内部は突くたびに形を変え、レナードを包み込む。初めての快感にただ翻弄され、忘れ去った羞恥心のせいでともすればあられもない嬌声を上げそうになる。
このままでは相手の思う壺だ。しかしこの心地よさを手放す選択肢は最早レナードにはなく、相手に合わせた反撃に出る。彼は自身に時たま触れる手を掴み、浅く上下する体を思い切り引き下げた。

 「っっ!!」

相手はまさかレナードが何か行動に出てくるとは思いもよらなかったのだろう。息をのむ音を同時に、暖かい空間が引き締められる。その衝撃にレナードは思わずまた精を放ってしまいそうになるが、どうにか押さえて下からガンガンと相手の内部を抉るように突く。
次第に相手も余裕がなくなってきたのだろう。手を掴まれた時にはあった抵抗が、突かれる度になくなっていく。やがて体を支えることで精一杯なほど力が抜けていく。

 「くっ、ぅ」

せめて一矢報いたい。その一心でレナードは相手の反応がある場所を重点的に攻める。声は出さないものの、内部のうねりは激しさを増す。やがて流石に限界だと思うころ、相手の絶頂が訪れた。

 「~~~っ!!」
 「ぁっ、きっつ……!」

レナードの腹部に勢いよく熱い液体がはじけ飛ぶ。その際の締め付けに耐えきれなくなり、
彼もまた三度目の絶頂に達する。このまま相手を問い詰めてやろう。そう考えていたはずだったが、慣れない性交は体力を奪い去り、気だるい虚脱感のままレナードは夢の世界へと旅立ってしまった。
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