婚約破棄から始まる物語詰め合わせ

善奈美

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婚約者とのお茶会にメイド達やら幼馴染みやらお友達を呼ぶのはやめて下さい。

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 婚約者として仲を深める為のお茶会。しかし、私が彼の屋敷にお邪魔すると、始まったお茶会はとても仲を深める為のものではなかった。最初は我慢したのよ。でも流石に毎回ではこっちの神経が参ってしまう。
 
 お茶会が始まると、まず、メイド達が集まってくる。そして、彼におねだりをするのだ。茶会には当然お菓子が提供されます。それを狙ってのことでしょうが、この屋敷のメイド達の教育はどうなっているのでしょう。主人である侯爵の子息です。確かに私はその格下の伯爵の娘ですが、このような扱いを受けるいわれは無いのです。そして、最近はメイド達に彼の幼馴染の子爵令嬢。酷い時には友人である他の令嬢まで来る。私はなんのために毎月、この屋敷に来なくてはならないのか。それで、一度、離席し勝手に帰ってしまったことがあります。しかしながら、それに気がついた者はいなかったとか(一応、従者に確認していてもらいました)。
 
 何度かそんなことをしていれば当然、侯爵夫人が気が付きます。まあ、私が勝手に帰ってる場面をですが。
 
「今日は婚約者としてのお茶会ですよ。何故勝手に帰るのです?」
 
 私は慌てて高位貴族に対する挨拶をしました。まさか、おいでになるとは思っていなかったのです。
 
「申し訳ございません。ですが」
 
 私は意を決して話す事にしたのです。実は両親にも話す予定でした。私と彼の婚約は事業締結に関するものなのです。しかし、彼はそれすら意に返さず、私を蔑ろにしていました。この事業、実は侯爵家の方がうちに持ちかけたのです。我が家は爵位は下でも商売は順風満帆なのです。逆に侯爵家は領地が災害でかなり厳しい状況。それ故に、爵位が下でも私が婚約者となったのですが。
 
「毎回、蔑ろにされてはお茶会の意味はありません。今日も、侯爵家のメイド達と、子爵令嬢。それに、多くの令嬢がお茶会に訪れております。私がいなくとも問題ないのです。それがほぼ毎回ですので、仲を深めることなど無理でしょう。この婚約、私が父に話し、白紙ないし解消していただきたく思っておりました」
「何ですって? メイド達と他の令嬢? 私、初めて聞きましたわ」
 
 侯爵夫人の顔色が悪いですね。そうですよね。我が家から資金提供を打ち切られたら、領地の復興が滞り、更に事業締結した事業が霧散しますもの。まあ、彼はその事を分かっていないようですよ。お気の毒様です。
 
「言いたくはないのですが、私では彼の婚約者として荷が重いそうです。そう言う事ですので、次のお茶会からは出席は見送りたいと思います。それに、婚約者ではなくなりますから来る必要もありませんし」
 
 失礼します、と呆然としている侯爵夫人を残して帰宅しましたわ。当然、両親にこの事は話しました。私、それでも一年は耐えましたのよ。偉いと思いませんか。
 
「何故、もっと早くに言わなかった」
「一応、彼方の方が爵位は上ですし。最初は令息本人に指摘しましたわ。ですが、生意気だと言われましたので、おとなしくしてましたのよ。まあ、一年経っても同じなら報告しようとしておりましたし、今日が丁度、一年ですわ」
 
 父は頭を抱えていました。何でも、彼の素行の悪さと、幼馴染みの子爵令嬢の親密さを知っていたようです。しかし、子爵家は裕福ではなく、侯爵家の助けにはならなかったとか。
 
「彼は自分の家の状況を理解していなかったのですか?」
「あ……、悪いと思っていたのだが、頭がすこぶる悪いらしくてな」
「そんな方を私の婚約者にしたのですか?」
 
 父の物言いに私、イライラしました。知っていてこの低落。つまり、彼方の家も息子の無能さと低脳さ。素行の悪さを知っていた筈です。それなのに放置。お茶会に監視者なり付けねば問題が起ころうと言うものです。
 
「侯爵家そのものにも問題を感じますわ」
「本当に申し訳ない」
「お父様、即刻、事業の撤回。資金提供をおやめ下さい。我が家まで被害を被りますわ」
「分かっている。彼方と話をしよう。しかし……」
「爵位ですの?」
「そうだ。彼方が上だと」
「それならば、こちらに考えがありますわ」
 
 私、これでも交友関係は広いのです。友人には公爵家のご令嬢。隣国の王女殿下。この国の王太子殿下とも友人ですのよ。あら、疑いますの。
 
「友人にお手伝いしていただこうと思いますわ」
 
 私の笑みに父は顔色が悪いですね。そうですよね。散々、私の事で抗議を受けましたものね。何であんな婚約者を選んだのかって。父は商売の才はありますが、それ以外はダメダメですからね。だから、母が居るのです。その母も父を責めていましたし。
 
「貴方はうちのことには口出し無用ですわ。商売の事だけ考えて下さいな」
 
 母は強いのです。
 
 結果として、彼方有責で婚約は破棄されました。何故破棄なのか。それは友人達が原因でして。一年も何故、放置していたのかと。私まで責められましたわ。理不尽です。しかも、金銭的に苦しい侯爵家に対し、多額の慰謝料を王家立ち会の元請求しました。私としてはそんなつもりはなく、婚約を無かったことにしてもらえれば良かったのですが。国王まで出て来て、侯爵領の大半を我が家の領地としてしまいました。つまり、慰謝料の関係です。侯爵領の復興がなかなか進まなかったのは侯爵の能力のなさです。それを国王は気が付いておられました。他の領地はとうの昔に復興しておりますからね。当然ですが元婚約者は暴れました。幼馴染みの子爵令嬢も暴れてました。領地を没収されれば収入は激べりですし、しかも侯爵から子爵まで爵位が落ちてしまいました。国王はそれほどまでに御立腹であったようです。そして、父ですが侯爵となりました。それに頭を抱えていますが、母もそして、兄も優秀なので、父は商売さえしていれば良いのです。領地の運営は兄が担いますわ。しかも、いまだに復興していない領地です。国から補助金が出るそうなので、早速、兄が復興指示を出しておりました。領地そのものは肥沃な大地であるので、すぐに復興します。災害も考え方で、大地を豊かにしたと思えば良いのです。何せ、土砂崩れと河川氾濫ですからね。
 
「当面の問題は私の婚約ですけど」
 
 私は傷物となりました。いくら伯爵令嬢から侯爵令嬢になったとは言え。それはそれです。
 
「何を言っていますの。兄が婚約申し込みをするそうですわ」
 
 そんな爆弾を投下したのは隣国の王女殿下です。待って下さい。私は王子妃にはなりたくありませんよ。
 
「ああ、兄と申しましても、従兄弟のですわ。近々、侯爵となりますの。いまだに婚約者が居ませんのよ。周りの令嬢達は大騒ぎですが、兄は自国の令嬢を軽蔑しておりまして」
 
 話を聞くとかなり薬やら呪いやら魔法やらで誘惑されていたそう。何回かお会いしましたが、見た目がすこぶる良い上に、能力も一流です。父は泣いて反対していましたが、母と兄に雷を落とされていました。あんな婚約者を私にあてがうからですわ。
 
 そして、元婚約者ですが、私に突進して来ました。結婚してくれと言うのですがお断りです。その横で子爵令嬢も喚いていました。曰く、あんなイケメンと結婚するのは狡いそうです。いや、それ言いながら、元婚約者にコアラのようにぶら下がってるんですけど。元侯爵で現子爵は落ちぶれていく一方です。残された領地はほぼ、収入がないそう。実はほぼ山なのですが。でも国王も鬼ではありません。この山々、ちゃんと調べれば何かしらの鉱物が眠っているのだとか。探すのが大変なので手付かずのままらしいです。その山も近々、我が領地になる予定らしいです。このままでは彼方は没落し、平民にまで落ちると言われています。その為、元婚約者は突進して来たのですが。次に来た時には私、隣国に渡っていました。母と兄が隣国の侯爵家との婚約に反対しなかったのはこの為であったようです。必ず彼がまた来るだろうと予測しての行動。素晴らしいです。
 
 そして、私はと言えば……。
 
「こんなに毎回買っていただかなくても大丈夫ですわ」
「君に似合いそうだと思って思わず買ってしまったんだ。気にせず、身に付けてくれると嬉しいよ」
 
 旦那様に甘やかされております。見た目が良すぎるので、最初目が潰れそうでした。比喩ではありません、本当の事です。これでは、ご令嬢達に狙われる筈です。私も来た当初は大変でしたが、旦那様が裏から手を回し、私に危害を加えたご令嬢の家を潰しに掛かったので、今では平和そのものです。逆に恐れられてるのですが、何故でしょう。私は無害ですのに。
 
 元婚約者といた時は本当に不幸でしたが、今は幸せです。糖分過多で胸焼けしそうだと言う事は内緒ですわ!
 
 
終わり
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