BL詰め合わせ

座敷牢の中の花魁

　俺は何故か、こんな座敷牢に閉じ込められてる。別に犯罪者というわけじゃない。この場所に入れられたのが丁度、飢饉の時で、両親は生きていくのがやっと。つまり、売られたんだけど。
　
　売られた先が花街とかなら何となく何をさせられるのか分かるけど、金持ちジジイに買い取られた。しかも、選んだのがジジイっていう話だ。物好きなのにも程があるだろう。

　言わせてもらうと、姉も妹もいたし、兄だって弟だっていたんだ。なのに、選ばれたのは俺。其れに対して文句が言える立場じゃないのは分かってる。分かってるけど！　如何して、こんな姿してないといけないんだ！
　
　朝起きれば必ず身の回りの世話をするおばさんが現れて、キッチリ花魁？　風に着飾られ、挙句、化粧まで施される。如何やら、ジジイの趣味らしい。この着物が重いんだ。髪だって其のためだけに伸ばしてる。頭もしっかり重い。髪には色々な飾りが彩ってるから。
　
　確かに食べるのには困らなくなったし、ひもじい思いもしてない。ただ、自由がなくなった。灯りも少ないし、外の様子も知りようがない。ただ分かるのは、朝には身なりを整えるおばさんが朝餉と共に現れて、夜は俺を買ったジジイが夕餉と共に現れる。
　
「良い子にしていたか？」
　
　座敷牢の小さな入り口の鍵を開け、入って来たジジイ。これから何をされるのか分かっているから少し身を捩る。毎夜の地獄の始まりだ。良い様に扱われ、俺の矜持の全てを根こそぎそぎ落とす。入り口近くに置かれた夕餉の盆。でも、其の前に俺は目の前のジジイに蹂躙される。そう、其れが今の俺の日常で、其れは未来永劫変わらない。俺は諦めた様に体の力を抜いた。


終わり。