贄の婚姻

善奈美

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20 SS 002 ある夜

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「これは何だ?」
 
 皇子が不機嫌も露わに言い捨てる。王子はそんな皇子の様子に意地の悪い笑みを浮かべた。皇子は顳顬に血管を浮き上がらせ、手に持つ物を床に叩き付けたい衝動に駆られる。しかし、それをぐっと堪えたのは、手に持つ物を床に力任せに投げ付けようものなら、確実に床が傷付くからだ。
 
「良い出来だと思わないか?」
「ふざけてるのか? これはどう見ても、貴方の国で女性が舞う時に身に付けるものだろうっ!」
 
 しかも、王子が皇子の為と言って用意した物は更に大きな問題があった。腕輪や首輪、足環などは宝石を使った高価なものだ。それに透ける布が付けられ、舞うとフワリと薄布が舞う。何より問題なのが布面積だ。大切な部分が全く隠れないのである。二人を監視し、身の回りの世話をしてくれる老夫婦は基本的に必要がなければ近付かない。夜ともなれば、更に避けて通っている。王子以外の視界に入らない事は皇子も重々承知している。
 
 二人が居るのは王子の私室だ。とは言え、一日置きに就寝する場所である為、皇子は来る事に抵抗はない。王子の私室には三人がけの長椅子があり、王子はその上で寝そべりながら皇子の様子を眺めていた。
 
「しかも確実に貴方が本来ある物を取り払ってるんじゃないか?!」
 
 両腕と首、両足の部分は確かにある。でも、肝心の一番大切な部分を隠す物が見当たらないのだ。普通なら娼館の踊り子でさえ大切な部分を隠す。それが見当たらないのだ。
 
「必要ないだろう?」
「どうして貴方はっ! 羞恥心を少しは持たれたらどうだっ!」
 
 皇子にこの布切れを渡した時点で、王子が何を望んでいるのかは分かる。皇子に拒否権がない状態なのも理解している。それでも、皇子の感覚的に、用意された衣装を着るのは無理に近い。
 
「ほら、さっさとしろ」
「……っ」
 
 皇子は俯き、体が打ち震える。この地に封じられてから、数々の羞恥に耐えてきた。まるで忍耐を試されているのでは? と疑いたくなる程にだ。皇子は手に持つ物を視界に収める。透ける薄い布は淡い薄紅色だ。ただ、腕輪や足環。首輪を身に付けるだけで、ほぼ裸だと言っても過言ではない。これならば、何も身につけない方が恥ずかしくないのではないか。
 
 皇子の体は鍛え上げているので筋肉が程よく付いている。言い換えるなら、普通の男が興奮するような要素が全くないと皇子は思っている。せいぜい、体に脂肪がないので見苦しくはない程度だろう。
 
「まさか、身につけ方が分からないのか?」
 
 王子はそう言うなり腰を上げる。皇子の元まで大股で近付くと腰帯に手を掛けた。皇子が慌てた時には既に遅く、解かれた帯は床に落とされていた。そうすると、一重の着物などただ、肩に掛けているのと変わらない姿だ。
 
「?!」
 
 王子は手慣れた様子で皇子から着衣を奪う。皇子が手に持っていた衣装を奪い、さっさと皇子の体に装着していく。皇子は慌てて床に落ちた一重の着物を拾おうとしたが時既に遅かった。
 
「往生際が悪いぞ」
 
 王子は言うなり皇子の腰を右手で攫う。あっという間に抱え上げられ、ベッドに放り投げられた。ベッドの上に皇子の黒髪が散る。両足を捕えられ、あっという間にあられもない姿を晒す事になる。
 
「やめ……っ」
 
 隠す物のないそんな場所に王子は舌を這わせた。いきなりきた生々しい感覚に、皇子はヒクリと体を震わせる。
 
「抵抗するだけ無駄だ」
 
 王子の無慈悲な言葉に、だが、皇子は抵抗出来なかった。慣らされた体は快楽を拾い、昇り詰めようと感覚を研ぎ澄ます。結局は抵抗も出来ずに身を委ねてしまうのだ。皇子は諦めにも似た息を吐き出し、王子から与えられる快楽に早々に陥落する。王子は皇子の様子に微笑む。そして、更なる快楽を与える為に手を秘部へと伸ばした。
 
 
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