銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

100 一方通行の力

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 クレハさんが呼び出した……。そう言えば、オレとルイを診たのはルイの担当研究員だって言ってた。
 
「君が使った魔法については聞いたよ。まさか、原初の言の葉を使うとは、誰も思わなかったようだね。まあ、あの言葉は必要なときしか引き出されないはずだから、もう、頭の中にはないだろうけどね」
「原初の言の葉?」
「そう。あの言葉を聞いた魔法使いの記憶からも抹消されてるだろう。本来は使ってはならない言語だからね。原初の言の葉を使って、あの程度で済んだのはまさに奇跡だよ。まあ、いろいろと話を聞くと、それなりに準備はしていたようだけどね」
 
 こいつ、いろいろ知ってんだな。
 
「なぜ、呼び出したんですか? 私にはもう自由だと言っていたのに」
「自由だが、卒業後の職業に変更があった。なぜか私から告げるように上から言われたのだから仕方ないだろう」
「変更?」
 
 ルイは困惑気に担当研究員を見据えた。
 
「あの人が開けた大穴を塞ぎはしたが、完全には塞ぎきれなかった。閉ざした入り口は地下深い場所にある。その上にかなり大きな屋敷を建てることになった。建物による封印だ。そこに禁書庫を移す予定でいる。もともと、禁書庫は別の場所にあったんだが、保管されていた場所が使えなくなって、一時的に魔法省地下に持ってきたんだ。魔法省地下には罪人の牢獄の他に、記憶を保管する部屋や、多くの重要文書が保管されている。いつまでも、あの場所に禁書を保管しておくわけにはいかないんだよ」
 
 ルイの表情が険しくなる。この話、クレハさんとカエデさんがしていたものだ。まさか、本決まりになったっていうのかよ?
 
「納得できないという顔だな」
「当たり前でしょう。どこまで振り回せば気が済むんです?」
「これで本当に最後だ。監視人に指定されたのも、そこにいる門の狼達のせいだ。ルイがどうこうと言う話ではないよ」
「こいつら?」
 
 オレとルイの膝の上でのうのうと寝ている二匹。緊張感の欠片もねぇな。
 
「冥界の門番は随分と穏やかな門の対の狼を寄越したようだな。いくら癒しの魔力で強い浄化力を持っていても、ここまで馴染みはしなかっただろう」
 
 キンとギンは全然抵抗しなかったんだよな。普通に受け入れたっていうか。
 
「この子達がいるから、その場所に住めと?」
「早い話がそうだ。彼等は二人の使い魔としての契約をしていると聞いた。契約した魔は、その主にしか従わない。火の鳥とは違うんだよ。それに、私がルイを禁書庫の司書官として推したのは、人との接触が少ない方が疲れないだろうと判断したからだ」
 
 え? どういうことだよ?
 
「人との接触を避けて育てた。初等部に入学しても魔力の強さで特Aに分けられる。そうなると、それなりの人との接触はあっても、多くの人との接触は少ない。魔力による障害を抱えていたルイが大人になって人との接触に苦痛を感じないかと言われれば、それは違うだろう。それに、頭の中の禁呪文を無理矢理引き出そうとする闇の魔法使いがいる可能性もある」
「でもよ。ルイの魔力はある意味、最強なんじゃねぇの?」
「破壊の魔力においてはな。だが、癒しの魔力には抗えない。君の方がルイより実は強いんだよ」
 
 意味が分かんねぇんだけど?
 
「癒しは使い方によっては凶器にもなり得る。破壊はただ、破壊するだけで何も生み出さない。一方的な力でしかないんだよ。一方通行の力は、それを持つ者を少しずつ破壊していく」
 
 じゃあ、あいつが壊れたのって、一方的な破壊の魔力だったからかよ?!
 
「あのさ。あいつにはオレみたいな存在がいなかったのか?」
 
 オレは疑問をぶつけてみた。絶対にこいつ、何か知ってる。
 
 
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