銀の鳥籠

善奈美

文字の大きさ
105 / 281
銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

105 火の鳥の羽根

しおりを挟む
 カイトさんが上と掛け合ってくれた。あいつから魔力を奪えると説明されると、簡単に許可が出たみてぇ。そうだよな。使いたかったんだろうし。魔法省内にあるエレベーター? ってなんだ?
 
「この、タイルでできたモザイク画で作られた魔法陣は特定の場所に魔力を使わずに運んでくれる」
 
 カイトさんがそう、説明してくれた。この部屋にある無数のモザイク画はそれぞれに繋がってるってことか。その一つの上に三人と二羽と二匹で乗ると、体がスッと浮いたような感覚を覚えた。一瞬にして視界が変わる。
 
 いままでいた、明るい室内じゃねぇ。薄暗くて湿っぽい。目の前には一度だけ見たことのある人物。
 
「本当に取り出せるのか?」
 
 相変わらず鋭い視線だな。疑ってるしさ。
 
「ガウ!」
「莫迦にしてるわけじゃねぇって」
 
 腕に抱くキンを宥めて、改めて目の前の人物に視線を向けた。
 
「こいつら、こんななりだけど冥界の門番の眷属だからさ。刺激しないでくんねぇかな?」
「そんなつもりはない」
「案内してくれよ。オレ達、場所を知らねぇからさ」
 
 男はオレ達を促すように歩き出した。ここが魔法省地下にある牢獄。罪人になればここに投獄されて、魔力を利用される。オレが受け入れなければ、最終的にルイが拘束されていたかもしれない場所。
 
 長く続く廊下。ぽっかりと空いた穴は下に続く階段だった。そこを更に地下へと降りて行く。辺りに響くのはオレ達の歩く足音と息使い。空気は更に冷えて、目の前に広がった視界。部屋というより、石造りの宮殿風? その奥に安置されるように置かれているのは二個の鳥籠。クレハさんが言っていたように銀製の物だ。大きさは小鳥を飼うときに使うサイズ。そんなに大きくない。
 
「ルイ」
「なに?」
「火の鳥の羽根ってさ、落ちねぇよな?」
「落ちるって、抜けるって意味?」
「そう」
「抜けて生え変わってはいるよ。ただ、火の鳥の羽根は魔法の媒介になるから、クレナイとベニは抜けた羽根を無意識に燃やしてるんだよ」
 
 そうなのか?! ルイが知ってるってことは、オレがルイからこの知識を引き出してねぇってことだな。
  
「それが?」
「キンが火の鳥の羽根が必要だってさ。あの中に敷き詰めて、その上に半分になった水晶を乗せてくれって」
 
 ルイは頷くと、クレナイに視線を向けた。
 
「そういうことだから。燃やさないで使わせてくれる?」
「ギャア」
「キュウ」
 
 お、ベニも返事したな。ベニが通常サイズに戻って、いきなり二羽で羽根を……っ、て、自分で引き抜くな! ブチって結構いい音してるし。抜いてるのは尾羽とか風切り羽根じゃねぇけど、それ、地味に痛いんじゃねぇの? 当たり前のように渡された羽根が数枚。光の加減で色が微妙に変化してる。
 
「クレナイとベニも無茶するね」
 
 ルイはそう言いながら、クレナイから羽根を受け取ってる。キンとギンを床に降ろして、ルイと同時に指を鳴らし杖を出した。そう、オレとルイが水晶に触れたら大変なことになる。多分、この鳥籠に最初に入れたときも、触れずに魔法で入れたはずだ。
 
「じゃあ、始めようか?」
「呪文はギンから?」
「そういうサクヤはキンから伝わってきたの?」
「そう」
 
 鳥籠上部の蓋を開けて、呪文で水晶を浮かせた。鳥籠の中にベニとクレナイの羽根を敷き詰めて水晶を戻し、蓋を閉めた。二人で深呼吸をして、鳥籠を凝視する。使うのは門の番人が使う特殊な魔法。使えるのは一度きりだ。針で開けたような穴から、あいつの魔力を取り出して利用する。水晶と鳥籠の檻から逃げ出さないように、魔力を奪い続けるんだ。
 
 キンとギンが自分の魔力を込めた水晶が近くにあるからか、元のサイズに戻る。ベニとクレナイの鳴き声を合図に、オレとルイは魔法の詠唱を開始した。
 
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ふたなり治験棟 企画12月31公開

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

神官姫と最強最弱の王

深也糸
BL
アズカヴァル国の王、リヴェラ・ライト・アズカヴァルは十八歳になり、成人したことで妃を娶らなければならなかった。 隣国のリゼルハイドの姫、シファ・ヴィオラ・リゼルハイドはリヴェラと娶せられるためにアズカヴァルに逗留することになる。リヴェラに城の中を案内してもらい親睦を深めようとするが、早々に男だとバレてしまい……。 ※週一回 マイペース更新

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

処理中です...