銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

157 鬼火が導くモノ

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 ウィル オ ウィプスの後に続いて壁を通り抜ける。目の前に迫ってくる壁を突き進むのはかなりの勇気が必要だって初めて知った! 壁を通り抜けること自体、今まで生きてきた中でなかったけどな!
 
「荒れていることに変わりはないね。それに……」
 
 ルイは言葉を濁す。さっきの場所から出て来た先が居間、になるんだろうか? こうなる前は置いてある家具も調度品も素晴らしいものだったんだろうなと思う。なんとなく面影だけは読み取れても、埃と蜘蛛の巣塗れでは意味がない。
 
 ルイが言葉を濁した理由。この部屋にうずたかくなってるモノ。白骨化した人骨。絨毯にはどす黒い染み。それも一人や二人という数じゃない。大人のモノもあれば、子供と思われる小さな骨まである。そして、目の前にはその場に縛り付けられた魂の姿。人の姿をしている霊体もいたが、ただ、淡い魂の光をかろうじて放っているモノもある。もしかしたら、この屋敷の主人に吸収されてしまった魂もあるのかもしれない。
 
『ふむ。縛られていては儂でもお手上げだ』
 
 やっぱり、縛られてるのかよ?
 
「地下に変な力を感じるね」
 
 ルイは辺りを見渡し、ポツリと呟くように言った。ウィル オ ウィプスのおかげで迷宮を出ることはできたけどさ。また、引っかかるってことは?
 
「そう何度も引っかからないから。まず、ここを浄化した方が後々、安全だよ」
 
 浄化って。こんなに荒れてて、それに、まるでさ殺人現場みてぇじゃねぇか。
 
「ベニ。サクヤの魔力を食べるの中断してくれる? この部屋に目的の魂はないから」
「キュウ」
 
 ベニが返事をしたあと、サァっと周りの空気の色が変わった。ん? ベニのやつ、ずっとオレの魔力食をべてたのか?
 
「相変わらずの浄化力」
 
 コウガが部屋を見渡して短息。オレって本当に周りを浄化してたんだな。こんな場所、来たことねぇから分からなかったけど。
 
『こ奴、使えるな』
「道具じゃねぇ!」
 
 とりあえず、反論はしておく。
 
「魂を捕獲後、長老に報告して、魔法省経由でこの屋敷を処分する。このままでは、土地に縛られる魂が出てくる」
『儂が導く。地縛霊にはせんから安心するがいい』
 
 リッカが疑わしげにウィル オ ウィプスを半眼で睨みつける。リッカって眠た気じゃないと結構キツイ顔すんだな。
 
「集められた負の瘴気はサクヤが浄化するよ。そんなに心配しなくても」
「分かってる。でも、閉じ込めたことで、ここまで淀んだことは否定できない。汚いものに蓋とはよく言ったもんだ」
 
 だけどさ。当時、結界で隔離しないと大変なことになってたんだろう? 鍵をつけたのだって、大事を考えてだったんじゃねぇの?
 
『魔法使いも少し変わったようだな。契約を持ちかけたのは精霊王か?』
「そうだけど」
『一つの条件がここの魂か?』
「精霊王っていうより、最初にエアリエルに忠告されたんだけどね」
 
 ウィル オ ウィプスは思案? 顔で、縛られていた魂に視線を向けたように見えた。
 
『本来ならば、過ちを犯した魂を導くのが儂の仕事だが、精霊王に逆らうことは、妖精王と妖精女王に逆らうことと同等だ』
 
 そうなのか? そう言えば、ユグドラシルとセットで妖精王と妖精女王が姿を見せたもんな。
 
『だが、この部屋の魂は本来の場所に導くぞ』
「それは反対しないから安心しなよ」
 
 コウガが肩を竦めてそう言った。オレの魔力でこの部屋の中だけ浄化されたんだろうな。縛られていた魂がウィル オ ウィプスの青白い鬼火に集まって来る。鬼火は魂達を導くように道を指し示し、魂達はその鬼火に誘われるように上空へ消えて行った。実際は建物の天井があるから見えねぇけど、気配で魂達が本来の場所に向かったって分かったんだ。
 
 
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