188 / 281
銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
188 踏ん切り
しおりを挟む
あの後は本当に何事もなく過ぎて行った。ただ、ルイの両親に、のんびり過ごせるのは学生の間だけだから、楽しんだらいいと言われたんだよな。まあ、これからの事を考えると、卒業後しばらくは休みなしになるような気がすんだよ。
それで、学校の中で今もっぱらの話題は風紀委員長と三学年Aクラスの委員長のその後。連れ込む宣言をした風紀委員長。どこに連れ込んだかというと、特別寮の自室。なんでも役職持ちは個室なんだとか。相手ができると連れ込むのが伝統らしい。セイトにしたらもう少しで卒業なのに、妖精がいそいそと荷物を持ってきたんだとか。部屋そのものを移された挙句、逃げ道塞がれたわけだし。どうなったんだろう。
ただ、卒業間近だから、クラスそのものはそのまま。役職もそのまま。ただ、夜を同じ部屋で過ごす事になってるわけだ。曰く、まだ、攻防戦は続いてるらしい。で、その攻防戦を風紀委員長が楽しんでるようだ。物好き。
特Aのオレ等に普通クラスの奴等が近付くのは御法度でも、こっちから近付くのは問題なし。だから、二人でAクラスに乗り込んだ。勿論、目的はセイト。
「何しに来たんだ?!」
「あの後どうなったか?! 気になるし!」
ユエが好奇心いっぱいにセイトに突進。それを後方から見詰めるオレ。
「どうせ、会長と副会長から情報いってるだろう?!」
「知ってるけど、本人に訊きたいじゃん!」
ユエは完全に野次馬だよな。今まで見世物だったから、鬱憤晴らしってのもあると思うけどさ。
「なんで、そんなに楽しそうなんだ?!」
「えー? 楽しいに決まってんじゃん!」
オレは楽しんでねぇからな。我が身になった時の辛さは分かってるしさ。
「サクヤもか?」
うわっ。疑いの眼だよ。
「オレは完全に付き合い。一人で普通クラスに行かせてみろよ。副会長が目くじら立てるじゃねぇか」
行き先がセイトのクラスでも、副会長の焼き餅は普通じゃねぇからな。オレなら近くにいても問題ねぇんだって。信用してるってより、相手がルイだから。オレに何かあった場合、その報復の恐ろしさは全校生徒が分かってるわけだ。当然、そのオレの近くにいるユエに何かあった場合、オレが対応するんで必然的に誰も何もしてこない。
「それって?」
「保険みたいなもんだって。いらぬ争いを避けるためってやつ」
「会長か……?」
「ルイを怒らせると怖いぞ。オレ、反感買わないように必死だからさ」
前の卵の魔法使いで確認済みだ。ルイは切れると手に負えねぇからな。で、今は教師になったのに、コウガは面白がるし。リッカは我関せずだし。副会長にしても、多分だけど傍観するだけだろうし。そうなると、オレ自身が気をつけるしかないわけだ。
「だから、俺は断ってるんだって」
「家業、バレたんじゃないの?」
「そうだけど……」
「どっちの両親もノリノリだって聞いたけど」
セイトの肩がビクリと揺れたな。これ、相当、親からプッシュされてんじゃね?
「合併する話も出てんだろう?」
「どっからその情報……」
「あっ、オレ。ルイがどこかから仕入れてきた」
ルイの魔力って変なモノを拾ってくる。それ、ルイに必要か? って思うものが最近多い。収集癖は簡単におさまらねぇんだろうな。で、その中にセイトと風紀委員長のこともあったわけ。だから、誰かに聞いたわけじゃねぇよ。
「仕入れてって……」
「詳しい話はパス。で、どうして、拒絶してんだよ。ルイの周りの奴って策士が多いからさ。窮地に立つの目に見えてんだけど?」
オレの言葉に更にビクつく。分かってんだろうけど、認めたくねぇんだろうな。公衆の面前だったことが、意固地にしちゃったんだろうけど。
「……踏ん切りが」
そっちか。まあ、セイトが体開く方だろうし、覚悟が決まらねぇんだろうな。
それで、学校の中で今もっぱらの話題は風紀委員長と三学年Aクラスの委員長のその後。連れ込む宣言をした風紀委員長。どこに連れ込んだかというと、特別寮の自室。なんでも役職持ちは個室なんだとか。相手ができると連れ込むのが伝統らしい。セイトにしたらもう少しで卒業なのに、妖精がいそいそと荷物を持ってきたんだとか。部屋そのものを移された挙句、逃げ道塞がれたわけだし。どうなったんだろう。
ただ、卒業間近だから、クラスそのものはそのまま。役職もそのまま。ただ、夜を同じ部屋で過ごす事になってるわけだ。曰く、まだ、攻防戦は続いてるらしい。で、その攻防戦を風紀委員長が楽しんでるようだ。物好き。
特Aのオレ等に普通クラスの奴等が近付くのは御法度でも、こっちから近付くのは問題なし。だから、二人でAクラスに乗り込んだ。勿論、目的はセイト。
「何しに来たんだ?!」
「あの後どうなったか?! 気になるし!」
ユエが好奇心いっぱいにセイトに突進。それを後方から見詰めるオレ。
「どうせ、会長と副会長から情報いってるだろう?!」
「知ってるけど、本人に訊きたいじゃん!」
ユエは完全に野次馬だよな。今まで見世物だったから、鬱憤晴らしってのもあると思うけどさ。
「なんで、そんなに楽しそうなんだ?!」
「えー? 楽しいに決まってんじゃん!」
オレは楽しんでねぇからな。我が身になった時の辛さは分かってるしさ。
「サクヤもか?」
うわっ。疑いの眼だよ。
「オレは完全に付き合い。一人で普通クラスに行かせてみろよ。副会長が目くじら立てるじゃねぇか」
行き先がセイトのクラスでも、副会長の焼き餅は普通じゃねぇからな。オレなら近くにいても問題ねぇんだって。信用してるってより、相手がルイだから。オレに何かあった場合、その報復の恐ろしさは全校生徒が分かってるわけだ。当然、そのオレの近くにいるユエに何かあった場合、オレが対応するんで必然的に誰も何もしてこない。
「それって?」
「保険みたいなもんだって。いらぬ争いを避けるためってやつ」
「会長か……?」
「ルイを怒らせると怖いぞ。オレ、反感買わないように必死だからさ」
前の卵の魔法使いで確認済みだ。ルイは切れると手に負えねぇからな。で、今は教師になったのに、コウガは面白がるし。リッカは我関せずだし。副会長にしても、多分だけど傍観するだけだろうし。そうなると、オレ自身が気をつけるしかないわけだ。
「だから、俺は断ってるんだって」
「家業、バレたんじゃないの?」
「そうだけど……」
「どっちの両親もノリノリだって聞いたけど」
セイトの肩がビクリと揺れたな。これ、相当、親からプッシュされてんじゃね?
「合併する話も出てんだろう?」
「どっからその情報……」
「あっ、オレ。ルイがどこかから仕入れてきた」
ルイの魔力って変なモノを拾ってくる。それ、ルイに必要か? って思うものが最近多い。収集癖は簡単におさまらねぇんだろうな。で、その中にセイトと風紀委員長のこともあったわけ。だから、誰かに聞いたわけじゃねぇよ。
「仕入れてって……」
「詳しい話はパス。で、どうして、拒絶してんだよ。ルイの周りの奴って策士が多いからさ。窮地に立つの目に見えてんだけど?」
オレの言葉に更にビクつく。分かってんだろうけど、認めたくねぇんだろうな。公衆の面前だったことが、意固地にしちゃったんだろうけど。
「……踏ん切りが」
そっちか。まあ、セイトが体開く方だろうし、覚悟が決まらねぇんだろうな。
10
あなたにおすすめの小説
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
神官姫と最強最弱の王
深也糸
BL
アズカヴァル国の王、リヴェラ・ライト・アズカヴァルは十八歳になり、成人したことで妃を娶らなければならなかった。
隣国のリゼルハイドの姫、シファ・ヴィオラ・リゼルハイドはリヴェラと娶せられるためにアズカヴァルに逗留することになる。リヴェラに城の中を案内してもらい親睦を深めようとするが、早々に男だとバレてしまい……。
※週一回 マイペース更新
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる