銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠SS

016 くるんくるん

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■なぜだか思いついた、マシロ(ルイとサクヤの子)とアサギ(ライカとユエの子)の髪の毛の話。
 
 
 
「この子達と育てることに反対はしないけど、少しくらいは自分達の子と楽しんだら?」
 
 コウガにそう言われたのはマシロとアサギが誕生日を迎える少し前だった。楽しむって……。
 
「親がいないわけじゃないからな。このままじゃ、親無し子と変わらない」
 
 リッカのきつい一言に、オレとユエは口を噤んだ。そうは言うけどさ。一緒に育ててると、差別してるような感覚になるんだって。しかも、帰るときは一緒だしさ。
 
「ほら、誕生日だし。二家族で楽しんで来なよ。僕達二人と妖精達で何とかなるんだし」
 
 コウガよ。みんなの前で言うのはどうなんだ?! って、気にしてるのはオレとユエだけかよ?! 子供達、コウガとリッカの周りでなぜに一緒に頷いてる?!
 
「この子達とマシロとアサギは違うでしょう? あくまで親代わりであって親じゃないんだし。でも、マシロの親とアサギの親はちゃんといるんだよ」
 
 顔色読みやがったな。渋々、でもないけど。じゃあ、お言葉に甘えて休ませてもらうことになったオレ達。ライカの休みの日に合わせて、クチバさんの店で誕生日を祝うことにした。
 
 マシロとアサギは人通りの多い場所に来たことがないから興味津々だ。しっかり手を握ってないと、フラフラどこかに行っちまうよな。
 
「ずっと気になってたんだけどさ。アサギのその後頭部の髪。癖がない髪なのになんでくるんくるんしてるんだ?」
 
 ライカとユエに手を引かれたアサギの後頭部の髪だけが癖っ毛みたいになってんだよな。
 
「仕方ないだろう? 毎朝直すんだ。でも、後頭部だけ癖があるようになってんだよな」
 
 直してそれなのかよ。
 
「そうは言うけどさ。マシロの髪だって凄いだろう?!」
「マシロは癖毛なんだから、仕方ねぇだろう。今日はまだマシなんだぞ。いつもは鳥の巣」
 
 寝相の関係もあるんだろうけどさ。毎朝、吃驚するんだって。
 
「私が毎朝、頑張って直してるんだけど。下手に柔らかい癖だから絡まるんだよ」
 
 ルイが苦笑い。近い血族に癖毛の人はいないのに、見事にフワッフワの癖毛だからな。
 
「言いにくいんだけど、あの人と同じ感じの髪だよね」
 
 ライカがバツが悪そうに俺とルイにちらりと視線を向ける。
 
「あ……、オレもマシロが孵化した時、あいつのこと思い出した」
 
 癖のある銀髪を視界に収めたとき、自然に脳裏に浮かんだんだ。
 
「あの人も本来なら人格破壊なんか起こさなかったんだしね。この子みたいな魔力だったのかもよ」
 
 強い破壊の魔力を持っていたとしても、癒しの魔力も少なからずあっただろうから。
 
「子供の足だと時間がかかるね」
 
 ルイが息を吐き出した。大人の歩幅と子供ではかなり違うからな。それに、外の世界を見せてぇから魔法で飛びたくねぇし。それで思い出した。オレが小さいとき、肩車をしてもらったんだ。視界が高くなって、やたらとはしゃいでたって、母さんが言ってたな。
 
「マシロ、少し大人しくしてろよ」
 
 マシロをヒョイっと持ち上げて、肩に乗せた。それに驚いたのはマシロだけじゃなかった。
 
「何してるの?!」
「俺が小さいときに、父さんにやってもらってたんだ」
 
 最初固まっていたマシロだったけど、視界が高くなったせいかはしゃぎだした。それを見たアサギがライカの服の裾をハシッと掴み上目遣い。やって貰いてぇんだな。ライカが仕方ないと呆れたように息を吐き出し、髪を紐で縛る。そして、アサギを同じように肩に乗せる。はしゃぐ子供に周りは驚いてたけどさ。ルイが不思議そうにオレに視線を向ける。
 
「ルイを肩に乗せるのは無理だけど」
「そんなのは分かってるよ。そんなに楽しいの?」
「視界が高くなるから、見えなかったものが見えるし、楽しいんじゃね」
 
 これで移動もはかどるし、目的地に向かって前進だ! ……やっぱり重いからルイに変わってもらったけどさ。筋力のなさが、ここでも露呈するって。や、マシロは更に高くなった視界に喜んでるけどさ。それはそれで、なんとも言えない気持ちになるよな。溜め息出る。
 
 
終わり。
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