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カリカリシャッシャと、紙の上をペンが走る小気味良い音が響く。
机に向かい、黙々と手を動かしている。
夢中でペンを走らせて描いているのは、男性同士の恋愛を題材にした漫画だ。
僕の前世では、BL漫画と呼ばれていた。
あの頃はフルデジタルで描いていたから、この音は今生で知った。
アナログ作画のASMR人気がよくわかる。
この気持ちの良い音を作り出すまでには、色々と苦労もした。
けどそれも、今となっては忘れかけた思い出だ。
紙の質やペンの太さ。この世界、今の時代に出来る、最高のものを求めた。
まだ子供だった僕の意見を、工房の大人たちはよく聞いてくれたものだと思う。
おかげで年々改善される技術の恩恵を、創作にも収入にも受けて、心も懐もほくほくだ。
エリアス・ジルバーとしてこの世に生まれて十八年、前世を思い出して六年。
太い実家を足掛かりにして、今こうして半引きこもりで漫画創作に没頭出来ている。
あー、伯爵家の三男坊でよかった!
甘やかされてる愛され末っ子でよかったなぁ。
幸せを噛み締めながら、ペン入れを進めていく。
一番集中がいるコマに差し掛かった。
攻めに乳首を弄られて、抵抗感と快感を綯い交ぜにした受けの顔のアップだ。
ペン先のインクを拭き、一旦ペンを置く。
羽箒で紙の上の消しカスを払い、深く深呼吸をする。
下絵の出来がいいほど、ペン入れのプレッシャーがすごい。
この時代、鉛筆も消しゴムも辛うじて存在してたけど、修正液も白インクも無かった。
白い絵の具もインクを消すのはいいけど、上から再度ペン入れするのには向いていない。
失敗できない大勝負だ。
「乳首、きもちいい……悔しい……っ」
受けのセリフを小さな声で読み上げて、気持ちを盛り上げる。
右手を軽く振り、ペンを手に取ってインクをつける。
ここからは無心でペンを進めるのみだ。
カリカリシャッシャとペンの音を響かせて、ただひたすら線を引く。
どれくらい時間が経ったのか、最後に頬の赤面ラインを引き終えてペンを置いた。
長く息を吐く。
消しゴムをかける前だけど、下絵より良い絵になったかもしれない。
会心の出来だ。
インクが乾いて消しゴムをかけるのが楽しみだ。
出来上がりを楽しみにしつつ、作業用の手袋を外す。
両手を組んで思い切り上に上げて、背筋を伸ばす。
ゴキゴキと背骨が音を立てる。丸めていた背が伸びるのが気持ちいい。
と、不意に背後に大きな気配を感じた。
影が差し、横から手が伸びてきた。
びっくりして振り返ると同時に、手元の原稿を持っていかれた。
「……ほう、おまえはこうされたいのか?」
見上げると、昔から知っている顔がいやらしく笑っていた。
机に向かい、黙々と手を動かしている。
夢中でペンを走らせて描いているのは、男性同士の恋愛を題材にした漫画だ。
僕の前世では、BL漫画と呼ばれていた。
あの頃はフルデジタルで描いていたから、この音は今生で知った。
アナログ作画のASMR人気がよくわかる。
この気持ちの良い音を作り出すまでには、色々と苦労もした。
けどそれも、今となっては忘れかけた思い出だ。
紙の質やペンの太さ。この世界、今の時代に出来る、最高のものを求めた。
まだ子供だった僕の意見を、工房の大人たちはよく聞いてくれたものだと思う。
おかげで年々改善される技術の恩恵を、創作にも収入にも受けて、心も懐もほくほくだ。
エリアス・ジルバーとしてこの世に生まれて十八年、前世を思い出して六年。
太い実家を足掛かりにして、今こうして半引きこもりで漫画創作に没頭出来ている。
あー、伯爵家の三男坊でよかった!
甘やかされてる愛され末っ子でよかったなぁ。
幸せを噛み締めながら、ペン入れを進めていく。
一番集中がいるコマに差し掛かった。
攻めに乳首を弄られて、抵抗感と快感を綯い交ぜにした受けの顔のアップだ。
ペン先のインクを拭き、一旦ペンを置く。
羽箒で紙の上の消しカスを払い、深く深呼吸をする。
下絵の出来がいいほど、ペン入れのプレッシャーがすごい。
この時代、鉛筆も消しゴムも辛うじて存在してたけど、修正液も白インクも無かった。
白い絵の具もインクを消すのはいいけど、上から再度ペン入れするのには向いていない。
失敗できない大勝負だ。
「乳首、きもちいい……悔しい……っ」
受けのセリフを小さな声で読み上げて、気持ちを盛り上げる。
右手を軽く振り、ペンを手に取ってインクをつける。
ここからは無心でペンを進めるのみだ。
カリカリシャッシャとペンの音を響かせて、ただひたすら線を引く。
どれくらい時間が経ったのか、最後に頬の赤面ラインを引き終えてペンを置いた。
長く息を吐く。
消しゴムをかける前だけど、下絵より良い絵になったかもしれない。
会心の出来だ。
インクが乾いて消しゴムをかけるのが楽しみだ。
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両手を組んで思い切り上に上げて、背筋を伸ばす。
ゴキゴキと背骨が音を立てる。丸めていた背が伸びるのが気持ちいい。
と、不意に背後に大きな気配を感じた。
影が差し、横から手が伸びてきた。
びっくりして振り返ると同時に、手元の原稿を持っていかれた。
「……ほう、おまえはこうされたいのか?」
見上げると、昔から知っている顔がいやらしく笑っていた。
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