異世界転生してBL漫画描いてたら幼馴染に迫られた

はちも

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6話

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体調はもう悪くない、今日は昼寝してただけだからと、強く強く主張して、なんとかノーバートを帰した。
まだ街の宿への逗留は続けるみたいだけど、とりあえずこの部屋に泊まって看病、は無くなった。

あーーなんだろう。
うちの攻めにも、あれくらいの感情を乗せたいと思えるくらい、熱を持った目付き。
そうなると、受けは目にハート浮かぶくらい熱に浮かされた顔がいいなあ。

ひょっとしてが本当だったら、僕はどんな顔をするべきなんだろう。
胸の奥の方がそわそわするけど、僕の気持ちは熱を受け取るところにはないのは確かだ。

だってわからない。

……そもそも、いつからだ?
王都で顔を合わせるのなんて、せいぜい年に数回あるかないか。
そのたび軽く挨拶するだけで、まともに話したのなんて、ほとんどなかったのに。

むしろ側近候補だった縁で、王子と喋ることの方が多かったし。
その会話に入るわけでもないし、目線だって合わなかった。

じゃあ、なんで。
どこで、あんな目をするほど、気持ちが育ったんだよ。

本当にわからないよ。

……会話をするしかないのかな。
あの熱を受け取るのか、拒むのか。
知らなきゃ判断もできないし。

ノーバートが片付けようとしたのを止めた、バートとエリスの物語を手に取る。
パラパラとページをめくる。

バートは王太子、エリスは男爵子息。
なぜか寮で同室だ。
入寮日にお互い一目惚れして、身分の差を気にしつつ、毎日毎夜いちゃついて過ごしている。

ある時、エリスが家の事情で学院を去ることになる。
その事情をなんとかしようとするバート。
でもエリスはバートの立場を考えて、微笑みを残して、そっと寮を出た。

なんやかんやあって、半ば拉致状態で王城の自室にエリスを連れ込むバート。
ペンが入ってるのはここまで。

作業中にノーバートに見られたのは、バートの悲しさからのお仕置きエッチシーンだ。
ちょうど、乳首責めをするくだり。

別に僕のやられたいことじゃない。
まあ興味はなくはないけど。
乳首責めを見るのは好きだし。
「開発」って言葉に惹かれて、触ってみたことだって、ないとは言えないし。

でも、大事なのはそこじゃない。

ノーバートのいやらしい笑顔も、多分乳首の問題じゃないだろうしな。

もし僕のことを好きだったとしたら。

あー……好きな子が、エッチなことに興味あったら、ワンチャン考えるかなあ。

前世ノンケ腐男子の僕目線で考えると、ある、かな。
ドキドキはする。すごくする。

高校の時、クラスの好きな子が
割とハードめなオメガバース漫画持ってるの見てさ、
「もしかして抜……?」って一瞬考えて。

……で、僕の僕が膨らみかけたこともあったな。
直後、めちゃくちゃ罪悪感湧いたけどな。

うん、で、だよ。
もし、僕を好きなんだったら、初見でエロ漫画描いてるのを見たら、いやらしい笑いするのわからなくもないんだ。

でもさっきの熱はなんだ?
どうして、何が変わったの?

話し合い……かあ。
したくないなあ。

お前らとにかく話し合え、のハードルの高さを思い知る。
軽々しく考えて申し訳ない。
出来ないから、右往左往するんだなあ。

今後の創作にも活かしていこ。

実感を込めてね。

ふっと息を吐いて、手に持った原稿の束をナイトテーブルに置く。

窓の外が赤く染まっている。

今日も原稿、進まなかったな。
いや、正確には――手を付ける気になれなかった。

まあノーバートが来てから四日、何にも手を付けてないんだけど。
趣味だからいつ描こうが構わないんだけど、それにしても頭の中が騒がしすぎて。

『気持ちが忙しなくなったり、考え事が多くて困る時は、単純作業に限るのよ』

前世の母親の言葉が蘇る。
彼女はそう言いながら、ひたすら毛糸を編んでいた。

うん、僕もそうしよ。
ひたすらにペン入れだ。

作業机に向かって、ランプに火を入れる。
手袋を装着して、インク瓶の蓋を開ける。
ペンを手にして原稿を見ると、バートとエリスが乳繰り合っている。

ペン先をインクに浸し、深く深呼吸。
静かな夕暮れの部屋に、カリカリとペンを走らせる音だけが響いた。
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