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7話
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俺が王宮に上がったのは、九歳の頃だった。
同じ歳のアルバート王子の側近候補が集められたのは、王子の誕生日だった。
広間に集められたのは、七歳から十二歳までの十四人の貴族の子息だ。
大体は三男以下の後継ぎ候補から外れた者たち。
次男を差し出したのは、うちだけだった。
黒髪碧眼。
まだ成長期だからこの先はどうなるかわからないが、現状、背格好が王子と似ている。
それだけで王宮に上がることになった。
王子の身代わり。何かがあったときの盾。
言外に死ねと言われている状態が、子供だった俺には重かった。
周りもきっとそうなのだろう。
気の毒そうな目で見てくる大人や、年上の候補たち。
その目線を避けたくて、俺は一歩下がった位置に立つ。
王子の言葉も、宰相の言葉も、全く耳に入らなかった。
挨拶と顔合わせを終え、寮へと案内される。
子供だと言うこともあり、二人一部屋で生活することになるようだ。
指し示された部屋のドアノブに手を伸ばしたとき、同室になるやつの手と触れた。
ぼんやりとしていた俺が驚いて手の主を見ると、同じく驚いた顔をした頭一つ小さな男の子がいた。
陽の光を集めたような金の髪と、青い青い空色の瞳。
一瞬の驚きの後に、ふわりと笑った顔は、春の陽だまりのようだった。
「エリアス・ジルバーです。伯爵家の三男です。
これからよろしくお願いします」
子供らしい高く澄んだ声で挨拶をして、右手を差し出してくる。
反射的にその手を取る。
「ノーバート・アイゼナー。公爵家次男だ。よろしく頼む」
きゅっと握った手が小さくて暖かい。
重く暗かった世界が、明るい日差しに照らされた気持ちになった。
それから一年、くるくるとよく動くエリアスの姿は、どこにいても明るさを振り撒いていた。
基礎学習の上に側近になるための勉強。日々の業務。
ハードな毎日を過ごしているのに、一番小さなエリアスは、一番元気に過ごしていた。
いまだに王子の身代わりとしての重さは肩に乗っている。
どうも眠りながらうなされている事もあるようだ。
そういう日は、エリアスが俺のベッドに潜り込んできて、体温を分けてくれる。
朝、侍従の仕事として淹れ方を学んだばかりの暖かい茶を差し出してくれる。
可愛いエリアス。
気付いた時には、同室という関係を越えて、誰よりも大切な存在になっていた。
同じ歳のアルバート王子の側近候補が集められたのは、王子の誕生日だった。
広間に集められたのは、七歳から十二歳までの十四人の貴族の子息だ。
大体は三男以下の後継ぎ候補から外れた者たち。
次男を差し出したのは、うちだけだった。
黒髪碧眼。
まだ成長期だからこの先はどうなるかわからないが、現状、背格好が王子と似ている。
それだけで王宮に上がることになった。
王子の身代わり。何かがあったときの盾。
言外に死ねと言われている状態が、子供だった俺には重かった。
周りもきっとそうなのだろう。
気の毒そうな目で見てくる大人や、年上の候補たち。
その目線を避けたくて、俺は一歩下がった位置に立つ。
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指し示された部屋のドアノブに手を伸ばしたとき、同室になるやつの手と触れた。
ぼんやりとしていた俺が驚いて手の主を見ると、同じく驚いた顔をした頭一つ小さな男の子がいた。
陽の光を集めたような金の髪と、青い青い空色の瞳。
一瞬の驚きの後に、ふわりと笑った顔は、春の陽だまりのようだった。
「エリアス・ジルバーです。伯爵家の三男です。
これからよろしくお願いします」
子供らしい高く澄んだ声で挨拶をして、右手を差し出してくる。
反射的にその手を取る。
「ノーバート・アイゼナー。公爵家次男だ。よろしく頼む」
きゅっと握った手が小さくて暖かい。
重く暗かった世界が、明るい日差しに照らされた気持ちになった。
それから一年、くるくるとよく動くエリアスの姿は、どこにいても明るさを振り撒いていた。
基礎学習の上に側近になるための勉強。日々の業務。
ハードな毎日を過ごしているのに、一番小さなエリアスは、一番元気に過ごしていた。
いまだに王子の身代わりとしての重さは肩に乗っている。
どうも眠りながらうなされている事もあるようだ。
そういう日は、エリアスが俺のベッドに潜り込んできて、体温を分けてくれる。
朝、侍従の仕事として淹れ方を学んだばかりの暖かい茶を差し出してくれる。
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気付いた時には、同室という関係を越えて、誰よりも大切な存在になっていた。
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