異世界転生してBL漫画描いてたら幼馴染に迫られた

はちも

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8話

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無心に作業を進めると、時間なんてあっという間に消えていくよね。
気付いたら朝だったとか、まあまあザラにある。

下絵のストック、ペン入れ全部終わったわ。
前世の母さん、あなたの言ったことは間違ってなかった。

やー、やっぱりちんちん描くのって滾るなあ。
俺の考えた最高のちんちん。
こう、二本描くからサイズとか質感の対比がたまらんね。
血管バキバキの質量どっしりな攻めの逸物と、細身で小ぶりなキュート受けちんちん。
スクリーントーンあれば最高なんだけど。
インクの耐水性と薄墨について、工房に相談しようかな。
そしたら、アナログでグレスケ原稿再現できるかもだし。

自作の漫画に修正をかける必要がないのはありがたい。
せっかく描いたものを、黒海苔で消していくとか、辛い作業だ。
デジタルだったら自分で見る時は表示消せば良いんだけど、こうやってアナログだとどうするんだろう。

徹夜明けテンションで、ウキウキと原稿を眺めていたら、不意に肩を掴まれた。

「……誰の性器をモデルにしたんだ?」

低い、低い声が耳に流し込まれる。
振り返ると、頬っぺたが触れるほどすぐそばに、剣呑な顔のノーバートがいた。

いやもう、お前の口から性器なんて言葉を聞く日が来るとは思わなかったよ。
まあ多分、ノーバートからしても、僕がこんなの描いてるとは思わなかっただろうけどさ。

「モ、モデル?」
「精巧に描かれているこれは、誰のを見て描いているのかと聞いている」

誰のって言われても。
前世で得た手癖半分の代物だし、モデルって言われると、まあそりゃ色々あるだろ。

改めて考えてみると、インターネットって便利だったよね。
そりゃ多少は自分の持ち物もどこかに入っているだろうけど。
だけど攻めのご立派な逸物には、含有されてないけども。

今のエリアスとしては、別に何を見たわけでもない。
この世界で見ようとしたら、誰かを剥くしかないし。

「……自分のを、発展させた」
「発展」
「だってしょうがないだろ、父さんとか兄さん達に見せてなんて言えないし。
そこらの使用人に頼むわけにもいかないだろ」
「じゃあ、見たことはないんだな」
「あ」

見たことがないわけじゃないな。
モデルにしてるかは別にして、多分認識の中にある中の一本だ。

「王子のは見たことあるよ」

肩を掴むノーバートの手に思いっきり力が入る。

痛い……!めちゃくちゃ痛いよ!!

「アルバート様……?」
「うん、従者見習いの時、湯浴みのお手伝いしてたから」

僕の言葉を聞いて、ノーバートがポカンとした顔をした。

「子供の頃か?」
「そりゃね。もちろんそうだよ」

肩を掴む手から力が抜けた。
代わりに肩口にノーバートの頭が乗っかった。
グリグリと額を擦り付けてきたかと思ったら、深く息を吐いている。
椅子ごと僕の体に腕を回して、抱きついてくる。

そのまま時が止まる。

まだ薄く、夜明けの気配を残した空の色。
その空の下に響く小鳥の声。
少しだけ開いた窓からは、そっと吹き込む風が、朝の気配を届けてくれる。

さわさわと、エロシーンの描かれた無修正の漫画原稿を揺らしながら。

ノーバートの体温が眠気を連れてくる。
そういえば子供の頃、こうやってノーバートにくっついて寝てたことあったっけ。
なんだか悪夢を見ているのか、うんうん唸って寝ていることが、よくあったから。

最初はうるさくて、口を塞いでやろうと思ってベッドに潜り込んだ。
そしたら抱き枕代わりか、ぎゅうぎゅう抱きつかれてさ。
唸り声がなくなったから、それからは一緒に寝てやることにしてた。

わー、思い出しちゃったな。

僕は噛み殺せないあくびを大きく一つ。
ベッドに入りたくて、ノーバートの頭をポンポンと叩く。

……どかねえな。

「ノーバート、僕寝たいんだけど。
思ったよりも作業乗っちゃって、徹夜しちゃったから、眠いんだよ」

…………動かねえな。

「このまま寝ちゃうと、僕風邪引いちゃうんだけど。
お昼過ぎに起こしに来てくれたら、一緒にお茶しよう。
久しぶりに淹れてあげるから、ね」

半分寝始めた脳みそで、ゆるゆると声を掛ける。
ノーバートの髪って案外柔らかいな。
指の間をサラサラと逃げていく髪の感触が気持ちいい。

肩の向こうで、ぐうっとノーバートの喉が鳴っている。

地獄かなあ、嬉しいかなあ。
僕のことが好きなんだったら、どっちかなあ。

そんなことを考えながら、僕は眠りに落ちていった。
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