14 / 14
14話
しおりを挟む
ノーバートの気持ちが落ち着いたので、パルロワールに戻る。
開け放たれた扉から揃って顔を覗かせると、王子がニコニコと笑って迎えてくれた。
「この時間でことが済んでるのなら、ノーバートはもう少し鍛えたほうがいいね」
王子スマイルでエグいこと言わないでほしい。
座るように促されて、最初に座っていたところに腰を下ろす。
ノーバートは王子の隣、僕は兄たちの間。
はー、ここが一番落ち着く。
「お待たせして申し訳ありませんでした。
王子のおかげでお付き合いする方向に話が進む感じです」
ちょっと嫌味っぽい口調で僕は言った。
ノーバートはポーカーフェイスで無言。
口は僕の方が立つから、ここに来る間にそうすると決めてきた。
「話が進んでも、リィがこっちに住んでる以上、遠距離恋愛になりはしないかい?
それで提案があるんだけど、聞いてくれる?」
王子の笑顔が胡散臭さを帯びる。
こういう時の王子の言葉は聞きたくないなあ。
「王都に戻っておいで、リィ。
君の後に配された従者がやらかしてね、今人手がいないんだよ」
ほらやっぱりね。ろくでもない。
「僕は子供の頃にお役目を辞しましたから、今更お役に立てることはないと思います」
キッパリという僕に、王子は困ったように眉を下げる。
「信頼出来るものがそばにいて欲しいんだよ。
リィは気がきくし、周りも華やかにしてくれる。それに私の癒しなんだよ」
王子はテーブル越しに乗り出して、僕の手を握る。
隣のノーバートが、王子の腕を掴んで引き剥がそうかどうか、迷って手を宙で彷徨わせる。
僕は王子の演技っぽさに乗っかるように、ちょこんと小首を傾げてやる。
「六年も経って、僕も大人になりました。
あの頃の可愛らしさも、細々しさももう持ち合わせてないかと」
「いいや、今も十分可愛らしいよリィは。
君のその歯に衣着せぬ物言いが何よりも愛らしいし、私の癒しなのだから」
そうだろうなあ。
無礼な物言いをしても、そのままのリィでいいよって言われ続けたもんなあ。
だから今でもこんな感じだし。
「それにね、私の従者になれば、護衛騎士のノーバートと顔を合わせる時間も多いよ。
付き合いたてって、常に顔を合わせて、目線で会話したくなるものなのだろう?
私はその辺寛大な主人だと思うよ」
握る手に力が加わった。
ついでに笑顔のキラキラさも加わる。
「あとね、私とノーバートはその関係上、君の視界に同時に映ることが多いと思うんだ」
トドメの笑顔だ。
この人は狡すぎる。
ポーカーフェイスが崩れかけているノーバートと、ニコニコキラキラな王子を見る。
ぐうぅぅぅ……!!
悔しくなって、ユリウス兄を振り返る。
この人今日ずっと苦笑してんな。
「エリアス、私とセシルも王城勤務を打診されているんだ」
ユリウス兄の言葉に、ばっと首を回してセシル兄を見上げる。
セシル兄は大きく頷いた。
「俺はうちの騎士団をまとめる前に、王城の騎士団で修行をしたらどうだと言われたよ。
ユリウス兄さんは文官としてそろそろ出仕してもいいだろうって話でね。
エリアスが王城に戻るなら、俺たちもお受けしようと思ってる」
この人、旅程で王子に何か含められたな?
退路を断ってんじゃん、僕の。
うんって言わないと、兄弟揃って伯爵領で引きこもりじゃん。
もう一度ユリウス兄を見ると、困ったように笑ってる。
ノーバートは、なんかこう、懇願するような顔してんな。
王子はピカピカでキラキラなプリンススマイル。
「……うちの王都邸からの通いでもよろしければ。
あ!あと、僕のライフワークをやめなくていいのであれば!」
僕とノーバートの恋愛は、濃厚に王都へ続くみたいだ。
漫画と小遣い稼ぎは、絶対にやめないけどね!
開け放たれた扉から揃って顔を覗かせると、王子がニコニコと笑って迎えてくれた。
「この時間でことが済んでるのなら、ノーバートはもう少し鍛えたほうがいいね」
王子スマイルでエグいこと言わないでほしい。
座るように促されて、最初に座っていたところに腰を下ろす。
ノーバートは王子の隣、僕は兄たちの間。
はー、ここが一番落ち着く。
「お待たせして申し訳ありませんでした。
王子のおかげでお付き合いする方向に話が進む感じです」
ちょっと嫌味っぽい口調で僕は言った。
ノーバートはポーカーフェイスで無言。
口は僕の方が立つから、ここに来る間にそうすると決めてきた。
「話が進んでも、リィがこっちに住んでる以上、遠距離恋愛になりはしないかい?
それで提案があるんだけど、聞いてくれる?」
王子の笑顔が胡散臭さを帯びる。
こういう時の王子の言葉は聞きたくないなあ。
「王都に戻っておいで、リィ。
君の後に配された従者がやらかしてね、今人手がいないんだよ」
ほらやっぱりね。ろくでもない。
「僕は子供の頃にお役目を辞しましたから、今更お役に立てることはないと思います」
キッパリという僕に、王子は困ったように眉を下げる。
「信頼出来るものがそばにいて欲しいんだよ。
リィは気がきくし、周りも華やかにしてくれる。それに私の癒しなんだよ」
王子はテーブル越しに乗り出して、僕の手を握る。
隣のノーバートが、王子の腕を掴んで引き剥がそうかどうか、迷って手を宙で彷徨わせる。
僕は王子の演技っぽさに乗っかるように、ちょこんと小首を傾げてやる。
「六年も経って、僕も大人になりました。
あの頃の可愛らしさも、細々しさももう持ち合わせてないかと」
「いいや、今も十分可愛らしいよリィは。
君のその歯に衣着せぬ物言いが何よりも愛らしいし、私の癒しなのだから」
そうだろうなあ。
無礼な物言いをしても、そのままのリィでいいよって言われ続けたもんなあ。
だから今でもこんな感じだし。
「それにね、私の従者になれば、護衛騎士のノーバートと顔を合わせる時間も多いよ。
付き合いたてって、常に顔を合わせて、目線で会話したくなるものなのだろう?
私はその辺寛大な主人だと思うよ」
握る手に力が加わった。
ついでに笑顔のキラキラさも加わる。
「あとね、私とノーバートはその関係上、君の視界に同時に映ることが多いと思うんだ」
トドメの笑顔だ。
この人は狡すぎる。
ポーカーフェイスが崩れかけているノーバートと、ニコニコキラキラな王子を見る。
ぐうぅぅぅ……!!
悔しくなって、ユリウス兄を振り返る。
この人今日ずっと苦笑してんな。
「エリアス、私とセシルも王城勤務を打診されているんだ」
ユリウス兄の言葉に、ばっと首を回してセシル兄を見上げる。
セシル兄は大きく頷いた。
「俺はうちの騎士団をまとめる前に、王城の騎士団で修行をしたらどうだと言われたよ。
ユリウス兄さんは文官としてそろそろ出仕してもいいだろうって話でね。
エリアスが王城に戻るなら、俺たちもお受けしようと思ってる」
この人、旅程で王子に何か含められたな?
退路を断ってんじゃん、僕の。
うんって言わないと、兄弟揃って伯爵領で引きこもりじゃん。
もう一度ユリウス兄を見ると、困ったように笑ってる。
ノーバートは、なんかこう、懇願するような顔してんな。
王子はピカピカでキラキラなプリンススマイル。
「……うちの王都邸からの通いでもよろしければ。
あ!あと、僕のライフワークをやめなくていいのであれば!」
僕とノーバートの恋愛は、濃厚に王都へ続くみたいだ。
漫画と小遣い稼ぎは、絶対にやめないけどね!
69
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
騎士×妖精
英雄の溺愛と執着
AzureHaru
BL
転生した世界は前世でどハマりしたBLゲーム。最推しは攻略対象!ではなく、攻略対象達の剣術の師匠である、英雄の将軍閣下。メチャクチャイケオジでドストライクだった主人公はこのイケオジみたさにゲームをやっていた。その為に、ゲームの内容など微塵も覚えていなかった。
転生したからには将軍閣下を生でみないとというファン根性で付きまとう。
付き纏われていることに気づいていた将軍だか、自分に向けられる視線が他とは違う純粋な好意しかなかったため、戸惑いながらも心地よく感じていた。
あの時までは‥。
主人公は気づいていなかったが、自分達にかけらも興味を持たないことに攻略対象者達は興味をそそられ、次第に執着していく。そのことにいち早く気づいたのは剣術指南役の将軍のみ。将軍はその光景をみて、自分の中に徐々に独占欲が芽生えていくのを感じた。
そして戸惑う、自分と主人公は親子ほどに歳が離れているのにこの感情はなんなのだと。
そして、将軍が自分の気持ちを認めた時、壮絶な溺愛、執着がはじまる。
婚約者の前で奪われる!?王太子が僕の番だった夜
侑
BL
僕は辺境伯家の嫡男レオン・グレイスフィールド。
婚約者・隣国カリスト王国の辺境伯家、リリアナの社交界デビューに付き添うため、隣国の王都に足を踏み入れた。
しかし、王家の祝賀の列に並んだその瞬間、僕の運命は思わぬ方向へ。
王族として番に敏感な王太子が、僕を一目で見抜き、容赦なく迫ってくる。
転生者で、元女子大生の僕にはまだ理解できない感覚。
リリアナの隣にいるはずなのに、僕は気づけば王太子殿下に手を握られて……
婚約者の目の前で、運命の番に奪われる夜。
仕事の関係上、あまり創作活動ができず、1話1話が短くなっています。
2日に1話ぐらいのペースで更新できたらいいなと思っています。
なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?
詩河とんぼ
BL
前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?
推し変したら婚約者の様子がおかしくなりました。ついでに周りの様子もおかしくなりました。
オルロ
BL
ゲームの世界に転生したコルシャ。
ある日、推しを見て前世の記憶を取り戻したコルシャは、すっかり推しを追うのに夢中になってしまう。すると、ずっと冷たかった婚約者の様子が可笑しくなってきて、そして何故か周りの様子も?!
主人公総愛されで進んでいきます。それでも大丈夫という方はお読みください。
異世界で孵化したので全力で推しを守ります
のぶしげ
BL
ある日、聞いていたシチュエーションCDの世界に転生してしまった主人公。推しの幼少期に出会い、魔王化へのルートを回避して健やかな成長をサポートしよう!と奮闘していく異世界転生BL 執着最強×人外美人BL
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
メインキャラ達の様子がおかしい件について
白鳩 唯斗
BL
前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。
サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。
どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。
ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。
世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。
どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!
主人公が老若男女問わず好かれる話です。
登場キャラは全員闇を抱えています。
精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。
BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。
恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる