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失恋そして初彼女からの……
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「ごめんなさい。あなたの気持ちは嬉しいけど……」
中庭にある階段の踊り場。そう言い残し彼女は階段を登る。こちらを見ることなく去っていく。
「あーあ、フラれちゃったね」
「え?あ!」
上から声をかけられた。見られてたことが恥ずかしくて顔を腕で隠した。でも遅い。その人はスタスタと近づいてくる。
「後輩か?大丈夫?」
「大丈夫です、すみません」
「あたしもね最近フラれたんだー」
あっけらかんと笑う彼女に俺は泣きたくなった。
「大丈夫?無理すんな!まだ13だろ?まだまだこれからだよ!なんならあたしと付き合う?」
「え…?そんな…」
「お友達からでも付き合ってみよ?あたし光明寺美月!三年。変な名字でしょ?カッコよくて気に入ってるけどね。君は?」
「月宮春翔…です」
「あっは!あたしと同じ月が名字にある!よろしくね」
彼女は明るくて眩しくて俺なんかでいいのかと不安になった。本当に恋人になるのか…?
「ねぇねぇ春翔!これ見て!ふれあいパークにピレニーズが来るって!大きいね!」
「見に行きたいんですか?先輩」
「それ!やめよ?付き合ってるんだよ」
「すみません…美月さん…」
「もー照れるなよー」
ワシワシと頭を撫でられる。年下だから仕方ないが男としては嫌だ…。俺達の関係はちょっと変わってる。美月さんとデートはあまりしない。基本お互いの家の中だ。そういうものかと思ったが付き合い始めで家はハードルが高いらしい。
「ねぇねぇ!この舞台俳優オーディションのキャラなんだけどさ?春翔に似てない?」
「いやいや、無理だよ!だって背も低いし……」
「でも募集要項見てみなよ?13歳以上、最低身長150、未経験OKだって。春翔163だから余裕だよ?小柄な子探してるんじゃない?」
「いや、でもさぁ……」
「春翔!!当たって砕けろ!!砕けなければラッキーだ!」
美月さんの勢いに飲まれて応募してしまった。受かるはずもないのに。
「受かっちゃった……」
「やったねー!!凄いよ春翔!!」
美月さんが抱きついてくる。もう慣れてしまった。俺は美月さんが好きだ。自信もあって背中を押してくれる。最初はあんな始まりだけどあんな始まりじゃなければ出会えなかった。
「美月さん…あの日俺に声かけてくれてありがとう」
「あたしの目に狂いはなかったね。それに失恋カップルだしね」
「ははっ、そうだった」
舞台の練習はキツくてまだ子供だから俺の出演は昼公演だけということになった。歌にダンス、アクションも可能な範囲で挑戦させてもらえる事になった。
「春翔、生き生きしてるね」
「うん、結構楽しくて。俳優さんも気にかけてくれるし教えてくれるから。美月さんが言わなかったら知らなかった世界だし」
「ふふ、春翔が嬉しそうであたしも嬉しい!絶対見に行くね」
「うん、待ってる」
本番、通常公演日。俺は緊張と疲れで何回もミスした。でもカバーしてもらって終演後に先生から話された。
「ハルト。ちょっといいか?明日、大千穐楽、思い切りやっていいからな。あまり壊されても困るけど、ハルトのやりたいようにやりな?」
「はい!頑張ります!!」
毎日公演して徐々に仕上がってくる。大千穐楽が楽しみだけど怖い。でも美月さんが観に来る。
「というわけで大千穐楽、怪我や事故もなく無事終わることが出来ました!ありがとうございました!最後にメインキャストから1人ずつ貰おうかな?ハルト!」
「はい!!あの、えっと僕は未経験で、本当に緊張したんですけど、彼女にオーディション受けてみたらって」
「おい!おーい!!彼女て!!」
「ごめんなさい!ごめんなさい」
やってしまった。でも会場が笑いに包まれる。みんな笑ってくれる。でも冷や汗が止まらなかった。こんな子供が彼女とか言われたりするんだろうか。甘く見てた。
「彼女のアシストで受けて、受かったんだよね?ハルトいい彼女いるじゃん!大事にしろよー」
「はい、もちろん」
やってしまった……楽屋で反省する。でも俳優さんは笑ってたし演出の先生も笑った。ガチの未経験らしくてよかったと言われた。
「こういう失敗で舞台嫌いになるやつもいる。ハルト、舞台嫌いか?」
「いいえ、そんな事ないです。でも怖いけど楽しかったから」
涙が止められない。悔しさだけじゃない、終わるのが嫌なんだ。寂しいんだ。舞台が終わるのが。
みんなが頭を撫でたり背中を撫でたりする。ありがとう。
中庭にある階段の踊り場。そう言い残し彼女は階段を登る。こちらを見ることなく去っていく。
「あーあ、フラれちゃったね」
「え?あ!」
上から声をかけられた。見られてたことが恥ずかしくて顔を腕で隠した。でも遅い。その人はスタスタと近づいてくる。
「後輩か?大丈夫?」
「大丈夫です、すみません」
「あたしもね最近フラれたんだー」
あっけらかんと笑う彼女に俺は泣きたくなった。
「大丈夫?無理すんな!まだ13だろ?まだまだこれからだよ!なんならあたしと付き合う?」
「え…?そんな…」
「お友達からでも付き合ってみよ?あたし光明寺美月!三年。変な名字でしょ?カッコよくて気に入ってるけどね。君は?」
「月宮春翔…です」
「あっは!あたしと同じ月が名字にある!よろしくね」
彼女は明るくて眩しくて俺なんかでいいのかと不安になった。本当に恋人になるのか…?
「ねぇねぇ春翔!これ見て!ふれあいパークにピレニーズが来るって!大きいね!」
「見に行きたいんですか?先輩」
「それ!やめよ?付き合ってるんだよ」
「すみません…美月さん…」
「もー照れるなよー」
ワシワシと頭を撫でられる。年下だから仕方ないが男としては嫌だ…。俺達の関係はちょっと変わってる。美月さんとデートはあまりしない。基本お互いの家の中だ。そういうものかと思ったが付き合い始めで家はハードルが高いらしい。
「ねぇねぇ!この舞台俳優オーディションのキャラなんだけどさ?春翔に似てない?」
「いやいや、無理だよ!だって背も低いし……」
「でも募集要項見てみなよ?13歳以上、最低身長150、未経験OKだって。春翔163だから余裕だよ?小柄な子探してるんじゃない?」
「いや、でもさぁ……」
「春翔!!当たって砕けろ!!砕けなければラッキーだ!」
美月さんの勢いに飲まれて応募してしまった。受かるはずもないのに。
「受かっちゃった……」
「やったねー!!凄いよ春翔!!」
美月さんが抱きついてくる。もう慣れてしまった。俺は美月さんが好きだ。自信もあって背中を押してくれる。最初はあんな始まりだけどあんな始まりじゃなければ出会えなかった。
「美月さん…あの日俺に声かけてくれてありがとう」
「あたしの目に狂いはなかったね。それに失恋カップルだしね」
「ははっ、そうだった」
舞台の練習はキツくてまだ子供だから俺の出演は昼公演だけということになった。歌にダンス、アクションも可能な範囲で挑戦させてもらえる事になった。
「春翔、生き生きしてるね」
「うん、結構楽しくて。俳優さんも気にかけてくれるし教えてくれるから。美月さんが言わなかったら知らなかった世界だし」
「ふふ、春翔が嬉しそうであたしも嬉しい!絶対見に行くね」
「うん、待ってる」
本番、通常公演日。俺は緊張と疲れで何回もミスした。でもカバーしてもらって終演後に先生から話された。
「ハルト。ちょっといいか?明日、大千穐楽、思い切りやっていいからな。あまり壊されても困るけど、ハルトのやりたいようにやりな?」
「はい!頑張ります!!」
毎日公演して徐々に仕上がってくる。大千穐楽が楽しみだけど怖い。でも美月さんが観に来る。
「というわけで大千穐楽、怪我や事故もなく無事終わることが出来ました!ありがとうございました!最後にメインキャストから1人ずつ貰おうかな?ハルト!」
「はい!!あの、えっと僕は未経験で、本当に緊張したんですけど、彼女にオーディション受けてみたらって」
「おい!おーい!!彼女て!!」
「ごめんなさい!ごめんなさい」
やってしまった。でも会場が笑いに包まれる。みんな笑ってくれる。でも冷や汗が止まらなかった。こんな子供が彼女とか言われたりするんだろうか。甘く見てた。
「彼女のアシストで受けて、受かったんだよね?ハルトいい彼女いるじゃん!大事にしろよー」
「はい、もちろん」
やってしまった……楽屋で反省する。でも俳優さんは笑ってたし演出の先生も笑った。ガチの未経験らしくてよかったと言われた。
「こういう失敗で舞台嫌いになるやつもいる。ハルト、舞台嫌いか?」
「いいえ、そんな事ないです。でも怖いけど楽しかったから」
涙が止められない。悔しさだけじゃない、終わるのが嫌なんだ。寂しいんだ。舞台が終わるのが。
みんなが頭を撫でたり背中を撫でたりする。ありがとう。
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