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発覚そして未来のための……
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「やっちゃったね~春翔!」
終演後、美月さんに捕まった。美月さんの目が赤い。
「泣いたの?」
「泣いたけど最後笑っちゃったよー」
「ごめん。ちょっとどこか寄っていこうか」
「そうだね!」
俳優になってから4年。美月さんはベッドにいる。美月さんは病気であまり動けないらしい。病名や詳しい話は教えてもらえなかった。聞いてもはぐらかされた。
「今は舞台ないの?」
「まだ発表前だからごめんね」
「てことは何かあるんだ?えへへ楽しみだなー」
俺は覚悟はしていた。教えてもらえなかったのはそういう事ではないのかと思う。じゃあ、俺に出来るのはなんだろう?俺はまだ子供だしいくら俳優とはいえ出来ること限られてるだろう。
「ねぇ、美月さん。俺が18になったら結婚してくれない?」
「えぇ?なんで?あたしだよ?」
「俺は美月さんがいい。だから結婚してください」
ずっと考えていたこと。俺は美月さんと結婚したい。
「ダメだよ…だってあたしだよ?あたし死ぬかもしれないのに」
「美月さんじゃなきゃ嫌だ」
美月さんは顔を背けた。俺は立ち上がる。
「まだ返事はしないから……ごめんね春翔」
「いいよ、美月さん、じゃあまたね」
ありがたいことに俺を応援してくれるファンは俺の恋人を受け入れてくれた。美月さんのおかげで俺は舞台に立てた。そしてファンは俺に会えたし俺もファンに感謝してる。美月さんの行動が多くを変えたんだ。それは凄いことだと思う。
自分の18歳の誕生日、俺は美月さんの病室を訪ねた。美月さんはまだベッドにいる。
「美月さん、体調はどう?」
「ん、だいぶいいかな。春翔見たからかも」
「はは、何それ?」
「あたしの中で春翔の存在が凄く大きくなったなって思ったんだよ」
「嬉しい。俺も美月さんの存在が大きいんだよ。だからさ」
小さな箱を出して美月さんに見せる。美月さんは目を見開いて泣いた。
「俺の名字をもらってくれませんか?」
「なんで……」
「俺は美月さんがいいんだ」
「あたし、死ぬかもしれないし…」
「そんなの関係ないよ。俺は美月さん以上に愛せる女性がいないんだ」
「なんで言い切っちゃうかなー」
美月さんがこちらに手を差し出してきた。美月さんの指にはめる。
「綺麗…なんか石がついてる?」
「マラカイトって石なんだ。石言葉は危険な愛情」
「ちょっとー怖いって!」
「あとは邪気払いと病魔退散」
それを聞いて一瞬目を見開いたあと美月さんが笑う。差し出された手を握る。
「ありがとう……頑張るからね」
「俺も頑張る」
美月さんの両親に挨拶しに行く。
「すみません、突然訪ねてしまって」
「構わないよ…君のことは美月から聞いていたが会うのは初めてだね」
美月さんのお父さんは温和そうな人だった。メガネの奥の瞳が優しい。リビングに通されてソファに座る。
「お茶、どうぞ。緑茶で大丈夫だったかしら?」
「ありがとうございます。いただきます」
美月さんのお母さんも優しそうな方だ。俺は緊張した。これは舞台じゃない。俺は婚姻届を出した。
「美月さんとの結婚を考えています。美月さんに指輪を渡して受け取っていただきました。だから」
「美月はいつ死んでもおかしくないんだよ」
「関係ありません」
「君の人生はまだ永い。美月に使わなくてもいいだろう?」
「嫌です。俺は美月さんがいい。俺の我儘は承知してます」
「それでも私は!!」
「あなた……」
お母さんが俺を見た。
「春翔君、君は美月が死んだあと一人でいるの?」
「美月さんが死ぬと決まったわけではありません。だったらずっと、この先も隣にいてほしいだけです」
俺の言葉にお父さんが泣いた。病名を聞いてる分諦めてしまったのだろう。でも俺は諦めない。美月さんが死ぬと決まったわけではないから。
「君は……美月を幸せに出来るのか?」
「その保証はできません。僕は舞台俳優で地方へ行くこともあります。その間寂しい思いをさせるかもしれません。だから幸せにするのでなく幸せを重ねていけたらと思ってます」
「……そうか……そうか」
お父さんが頭を下げた。深く頭を下げた。
「美月をよろしくお願いします」
「ありがとうございます」
美月さんの誕生月は12月。寒い冬の日。俺は病院でタキシードを着ていた。病室の扉を開ける。ドレスを着た美月さんがいた。舞台衣装さんが寝てても着やすいように作ったドレス。
「綺麗だね」
「ありがとう春翔。春翔もカッコいいぞ」
簡易的な結婚式を行う。参列者がノックして入ってくる。
「美月、綺麗だな」
「ふふ、春翔にも言われた」
「ハルト、おめでとう!」
「ありがとう」
「大千穐楽で言ってた彼女と結婚かー。ハルトにオーディション勧めてくれてありがとうございます」
「いいえーこちらこそ採用していただいてありがとうございます」
「先生も美月もなんなんですかその会話」
穏やかだ。優しい空気だ。
俺は美月さんの手を取りみんな並ぶ。そして写真を撮った。
寒い冬の日に暖かい空気。
ありがとうあの日声をかけてくれて。
完
終演後、美月さんに捕まった。美月さんの目が赤い。
「泣いたの?」
「泣いたけど最後笑っちゃったよー」
「ごめん。ちょっとどこか寄っていこうか」
「そうだね!」
俳優になってから4年。美月さんはベッドにいる。美月さんは病気であまり動けないらしい。病名や詳しい話は教えてもらえなかった。聞いてもはぐらかされた。
「今は舞台ないの?」
「まだ発表前だからごめんね」
「てことは何かあるんだ?えへへ楽しみだなー」
俺は覚悟はしていた。教えてもらえなかったのはそういう事ではないのかと思う。じゃあ、俺に出来るのはなんだろう?俺はまだ子供だしいくら俳優とはいえ出来ること限られてるだろう。
「ねぇ、美月さん。俺が18になったら結婚してくれない?」
「えぇ?なんで?あたしだよ?」
「俺は美月さんがいい。だから結婚してください」
ずっと考えていたこと。俺は美月さんと結婚したい。
「ダメだよ…だってあたしだよ?あたし死ぬかもしれないのに」
「美月さんじゃなきゃ嫌だ」
美月さんは顔を背けた。俺は立ち上がる。
「まだ返事はしないから……ごめんね春翔」
「いいよ、美月さん、じゃあまたね」
ありがたいことに俺を応援してくれるファンは俺の恋人を受け入れてくれた。美月さんのおかげで俺は舞台に立てた。そしてファンは俺に会えたし俺もファンに感謝してる。美月さんの行動が多くを変えたんだ。それは凄いことだと思う。
自分の18歳の誕生日、俺は美月さんの病室を訪ねた。美月さんはまだベッドにいる。
「美月さん、体調はどう?」
「ん、だいぶいいかな。春翔見たからかも」
「はは、何それ?」
「あたしの中で春翔の存在が凄く大きくなったなって思ったんだよ」
「嬉しい。俺も美月さんの存在が大きいんだよ。だからさ」
小さな箱を出して美月さんに見せる。美月さんは目を見開いて泣いた。
「俺の名字をもらってくれませんか?」
「なんで……」
「俺は美月さんがいいんだ」
「あたし、死ぬかもしれないし…」
「そんなの関係ないよ。俺は美月さん以上に愛せる女性がいないんだ」
「なんで言い切っちゃうかなー」
美月さんがこちらに手を差し出してきた。美月さんの指にはめる。
「綺麗…なんか石がついてる?」
「マラカイトって石なんだ。石言葉は危険な愛情」
「ちょっとー怖いって!」
「あとは邪気払いと病魔退散」
それを聞いて一瞬目を見開いたあと美月さんが笑う。差し出された手を握る。
「ありがとう……頑張るからね」
「俺も頑張る」
美月さんの両親に挨拶しに行く。
「すみません、突然訪ねてしまって」
「構わないよ…君のことは美月から聞いていたが会うのは初めてだね」
美月さんのお父さんは温和そうな人だった。メガネの奥の瞳が優しい。リビングに通されてソファに座る。
「お茶、どうぞ。緑茶で大丈夫だったかしら?」
「ありがとうございます。いただきます」
美月さんのお母さんも優しそうな方だ。俺は緊張した。これは舞台じゃない。俺は婚姻届を出した。
「美月さんとの結婚を考えています。美月さんに指輪を渡して受け取っていただきました。だから」
「美月はいつ死んでもおかしくないんだよ」
「関係ありません」
「君の人生はまだ永い。美月に使わなくてもいいだろう?」
「嫌です。俺は美月さんがいい。俺の我儘は承知してます」
「それでも私は!!」
「あなた……」
お母さんが俺を見た。
「春翔君、君は美月が死んだあと一人でいるの?」
「美月さんが死ぬと決まったわけではありません。だったらずっと、この先も隣にいてほしいだけです」
俺の言葉にお父さんが泣いた。病名を聞いてる分諦めてしまったのだろう。でも俺は諦めない。美月さんが死ぬと決まったわけではないから。
「君は……美月を幸せに出来るのか?」
「その保証はできません。僕は舞台俳優で地方へ行くこともあります。その間寂しい思いをさせるかもしれません。だから幸せにするのでなく幸せを重ねていけたらと思ってます」
「……そうか……そうか」
お父さんが頭を下げた。深く頭を下げた。
「美月をよろしくお願いします」
「ありがとうございます」
美月さんの誕生月は12月。寒い冬の日。俺は病院でタキシードを着ていた。病室の扉を開ける。ドレスを着た美月さんがいた。舞台衣装さんが寝てても着やすいように作ったドレス。
「綺麗だね」
「ありがとう春翔。春翔もカッコいいぞ」
簡易的な結婚式を行う。参列者がノックして入ってくる。
「美月、綺麗だな」
「ふふ、春翔にも言われた」
「ハルト、おめでとう!」
「ありがとう」
「大千穐楽で言ってた彼女と結婚かー。ハルトにオーディション勧めてくれてありがとうございます」
「いいえーこちらこそ採用していただいてありがとうございます」
「先生も美月もなんなんですかその会話」
穏やかだ。優しい空気だ。
俺は美月さんの手を取りみんな並ぶ。そして写真を撮った。
寒い冬の日に暖かい空気。
ありがとうあの日声をかけてくれて。
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