死神と僕と

笹井ひなか

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プロローグ

死神

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「アルソア・ルーディックに与えられた才能はレーカン!…レーカン?」

周りの大人たちが呆気にとられている。僕の隣りにいた両親も驚いた顔で見ている。5歳を迎えた僕は神殿で才能を見つけるため神様の声を聞きに来ていた。平民、貴族関係なく全員が神様から言葉をもらう。神官様も、困った顔で見ている。

「ぷ、あははははは!なんだそれ?聞いたことねーぞレーカンなんて!?アハハハ!意味がわからない才能だなぁ!?」

10歳くらいの少年が僕を馬鹿にしている。でも気づいてしまった。その少年に黒い影がまとわりついているのを。あれは良くないものだ。でも神殿にいるということは神様なんだろうか?じゃあ、あれは…あの影は…

「お父さん、あの子、死神がいるよ?」

頭に浮かんだ言葉を父に伝えると驚いた顔で僕を見た。そして僕を抱き上げる。

「神官様。申し訳ありません。退室させていただきます」

「あ、はい。わかりました。お気をつけてお帰りください。では、次の準備を!」 

「ギャハハハ!レーカンだって!」

何がおかしいのか少年は笑い続けてる。



黒い影が僕を見ているような気がしてすれ違う瞬間、僕は手を伸ばした。









あれから10年。僕は両親の墓を訪れていた。両親はこの力は修行して鍛錬を積まないと体を奪われると言った。だから僕はずっと修行していた。そして、死神とは目を合わせてはいけないと両親から言われ続けていた。

「何回来ても無駄だよ」

『まぁ、そう言うなよ?俺に気づいたのはお前だけだ』

「僕は君を許さない。だから消えてくれないかな」

『随分お優しいことで?だが、お前の親をやったのは俺じゃない』

「どういうこと?」

『いるんだよ!他にな?クックック…』

あの日から死神は度々僕の前に姿を見せた。相変わらず濃ゆい影で顔はわからない。むしろ顔はあるのか、人型なのかもわからない。

「なぁ?アルソア・ルーディック、知りたくないか?お前の親をやったのは誰なのか?」

声が変わった。僕は死神を見る。浅黒い肌に腰まである長い黒髪。禍々しい赤い瞳。

あれ?なんで僕はコイツを見たんだ…。

「ふ、ははははは!やっと見たな?アルソア!なぁ?」

瞬間、影が僕の瞳に映り、右目に入り込んだ…。僕は咄嗟に目を押さえたが間に合わなかった。

「俺の一部だ。喜べ?神様は残酷なんだよ…ははははは!」

死神は楽しそうに笑いながら消えた。

僕の瞳はどうなった?かろうじて映りそうなもの、そうだ。両親からもらったペンダント!ペンダントの材質は金属。かろうじてわかるのではと出してみると僕の右目だけ、そこだけ空洞があるかのように何も映っていなかった。






これはなんなんだ?あいつは何がしたいんだ…?







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