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第二章
祖父
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ユーリエフの屋敷から回収した肖像画は今は憲兵達が預かっている。あの場に憲兵がいたのが疑問だったがユーリエフは軍にも奴隷を売ってる疑惑があったらしく憲兵が探っていたそうだ。
「あの絵画にシュトラーセ8世って描かれてたけど大事な物だよね?」
「私のお祖父様。シュトラーセ王国は私が10代目になるはずだったの。お祖父様は優しくて威厳があってカッコよくて……」
言葉が沈んだアリアに変わってクレリアさんが話し始める。
「シュトラーセが戦争に巻き込まれたのは帝国がガイガ樹を狙ってたんだ」
「ガイガ樹?」
「そう、エリクサーの原料になるガイガ樹。ガイガ樹は国が管理してたんだけど」
アリアの口が閉ざされた。なんとなく想像がつく。
「ガイガ樹を根こそぎ持っていこうとしたんだ。それでガイガ樹を狙って戦争にまで発展した」
クレリアさんは悔しそうに言う。クレリアさんは騎士だ。おそらく当時は見習いとかやっていたのだろう。戦場には立てなかったかもしれない。
「向こうの言い分はガイガ樹は1国が独占していいものではないと」
「我が国はガイガ樹の生育に適したのがシュトラーセだけだと」
シュトラーセの方が最もだ。国が変われば気候も土壌も変わる。ガイガ樹が育ちやすい環境があるはずだ。
「…だから帝国はシュトラーセを手に入れたのか」
「軍事力の差だ……」
クレリアさんが帽子を被り立ち上がる。アリアもそれに続いた。
「お話はまたの機会に」
「うん。とりあえずこの街を楽しんで」
「はい!」
アリアの影は金色だ。光り輝いて眩しいくらいの。一切濁りの無い金色。ここまで綺麗な影は初めて見た。シュトラーセはまた立ち上がれる。僕はそう確信した。
「あの絵画にシュトラーセ8世って描かれてたけど大事な物だよね?」
「私のお祖父様。シュトラーセ王国は私が10代目になるはずだったの。お祖父様は優しくて威厳があってカッコよくて……」
言葉が沈んだアリアに変わってクレリアさんが話し始める。
「シュトラーセが戦争に巻き込まれたのは帝国がガイガ樹を狙ってたんだ」
「ガイガ樹?」
「そう、エリクサーの原料になるガイガ樹。ガイガ樹は国が管理してたんだけど」
アリアの口が閉ざされた。なんとなく想像がつく。
「ガイガ樹を根こそぎ持っていこうとしたんだ。それでガイガ樹を狙って戦争にまで発展した」
クレリアさんは悔しそうに言う。クレリアさんは騎士だ。おそらく当時は見習いとかやっていたのだろう。戦場には立てなかったかもしれない。
「向こうの言い分はガイガ樹は1国が独占していいものではないと」
「我が国はガイガ樹の生育に適したのがシュトラーセだけだと」
シュトラーセの方が最もだ。国が変われば気候も土壌も変わる。ガイガ樹が育ちやすい環境があるはずだ。
「…だから帝国はシュトラーセを手に入れたのか」
「軍事力の差だ……」
クレリアさんが帽子を被り立ち上がる。アリアもそれに続いた。
「お話はまたの機会に」
「うん。とりあえずこの街を楽しんで」
「はい!」
アリアの影は金色だ。光り輝いて眩しいくらいの。一切濁りの無い金色。ここまで綺麗な影は初めて見た。シュトラーセはまた立ち上がれる。僕はそう確信した。
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