百合子様には逆らえません!

神藤雪

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百合子様、俺男なんですけど???

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「浩太郎、貴方わたくしの代わりにあの男共に抱かれてきなさい」





百合子様の命令はいつも滅茶苦茶だが、今回の命令には流石に頭を抱えた。

ちらりと百合子様の視線の先を見るがそこには5人の男達。どいつもこいつも平凡な俺からしたら呪いたくなるくらいのイケメンで、せめてもの救いの男の娘なんていなかった。

俺の恋愛対象は女の子だ。だから相手が男というだけでも抵抗があるというのに抱かれて来いときたものだ。

んなの無理無理無理無理絶対無理!!!!

と言いたいのだが、百合子様相手にそんな口を利けるはずもなく、無駄だと分かりつつもやんわりと拒否を伝える事にした。



「あの百合子様……俺も向こうも男でして……」

「そう」



百合子様はそんな当たり前のことをわざわざ告げてくるな、と言わんばかりに勢いよく手に持っていた扇子を閉じる。その音にびくりと肩が揺れてしまう。ていうか分かってるなら抱かれて来いなんて言わないで欲しい。



「だから抱かれるというのは少し難し――」

「では浩太郎は私にあの獣共にこの瑞々しい体を蹂躙されて来いと?」

「え!? いやっそんなことは――」

「貴方かわたくし、どちらかしかいないのです。それなのに自身の身を捧げたくないということは即ちわたくしを犠牲にするということ。ふぅ……我が身可愛さによりにもよってこのわたくしを差し出そうなどとなんたる愚かなことを考えますね浩太郎」



いや貴方も自分が抱かれたくないから俺に押し付けてるんだから同じじゃん、なんて言おうものならあとで何倍にもなって返ってくるのが分かっているので申し訳ないですと謝罪の言葉を口にする。

百合子様を敵に回すのだけはごめんだ。彼女を敵に回した人間がどういう末路を辿るのかは俺が一番よく知っている。



「でも百合子様ってあの人達のこと好きだったんじゃないんですか?」

「お前は本当に愚かですね浩太郎。現実に存在しないから許容できていただけで、あの者共は今私と同じ空気を吸っているのですよ。まったく汚らわしい」

「えぇ……空気を吸うだけでアウトなんですか……」



あれだけ『この私の傍にいるのに相応しい』だの『私程ではないけれども、まぁ見れない顔ではない』とか『有象無象も彼らのことを少しは見習うべきね』なんて褒めてたのに。一般的に考えれば誉め言葉としては怪しいところもあるが、百合子様的には最上級の言葉だ。なのに同じ次元に存在するようになった途端でこれだよ。



「聖女様、それにそちらの方も混乱されているとは思いますが状況を説明すると長くなってしまう為寛げる場所にご案内します」



優しく微笑みながらエスコートの為か手を差し出してきたのは金髪碧眼の青年――この国の第一皇子アルフレッドだ。そんな王族が相手でも当然百合子様は百合子様で。





「触るな下郎」



差し出された手が自分へと届く前に扇子ではたき落とすのだった。



「百合子様ぁあああああああああ!!! 相手王族だから!!!! 抑えて!!! お願いだから抑えて!!! 俺達不敬罪で殺されちゃいますよ!!!!」

「はっ、何を愚かな。このわたくしの玉手に触れようとする方が余程不敬よ」

「百合子様的にはそうかもしれないけどここ日本じゃないからその考え方危ないって!!!! 頼みますから命大事にでいきましょうよ!!!!!」

「あと聖女はわたくしではなくこの喚いてる男のほうよ。勘違いなさらないで」

「この状況でしれっと俺に役割を押し付けないでくださいよ!!!!!!」



幸い皇子は怒ったりせず、まぁ滅茶苦茶困惑してたが苦笑いしつつ俺達を別室へと案内してくれた。



「ようこそファルダム王国へ」



その言葉で嫌でも思い知らされてしまう。ここが日本ではなく、そもそも地球上ですらないと。だってファルダム王国は18禁乙女ゲームの舞台なのだから。
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