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目指せ!魔法学園
ep9 ゼノ
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「な、なんだ!?」
島がゴゴゴゴッと揺れる。
「あ、あれは......」
村長がある方向を見て声を震わせる。
「森が...燃えている?」
森の奥から煙が立ち込めている。
さらにそれだけじゃない。
「あの生き物......なに!?」
森の上空に、巨大な鳥のような獣がバサーッと羽ばたいている。
全長七、八メートルはあるだろうか。
「あれは...」
途端に村長の顔が青ざめる。
「大怪鳥プテラス」
「魔物じゃな。いや、ただのゼノじゃない。改造ゼノか」
イナバが俺の頭に乗って言った。
「しかも、よく見ると人もいる」
「人もいる?まさか......魔法犯罪組織!?」
俺の発言に村長がいっそう深刻さを表す。
「魔法犯罪組織エトケテラ。なんでも人工ゼノを利用して犯罪を犯しているという、悪名高い組織です」
「人工ゼノ?」
「はい。噂では死にかけの魔物を違法に入手して魔改造したとかなんとか。完全に違法です」
「つまり、大怪鳥プテラスを手に入れて魔改造して犯罪に利用しておるというわけか。ただのゼノだけでも一般国民にとっては充分危険な存在なのにな」
イナバの表情が一段と険しくなる。
「看過できんな。エトケテラは」
「それより......こっちに向かってくる!」
「イナバ様!八十神殿!すぐに避難を!」
村長が叫んだが遅かった。
「えっ??」
なんと大怪鳥プテラスはひと息の間に俺たちのすぐ上空まで到達していた。
「オイ!そこのジジイ!オマエが村長だな!」
大怪鳥の上から声が響く。
見ると、悪人ヅラの三人の者が怪鳥の背中に跨っていた。
「ジジイ!この島に着いた日から村長のオマエに目をつけていた!」
「な、なんの用だ!」
「もう邪魔者はいない!昨日やっつけたからなぁ!」
「ま、まさか!貴様らが国家魔術師を!?」
村長の反応に、趣味悪いスーツを着たチョビ髭の悪人がニヤけた。
「もうこの島に頼れる者はいない!殺されたくなかったらこの島全部をおれたちエトケテラに明け渡せ!!」
「そ、そんなこと......!」
「選択肢はないぞ!」
大怪鳥の口がパックリ開いた。
次の瞬間。
ブワァァァァン!!
轟音とともに口内から危険な光の塊が凄まじい勢いで放出。
光の塊は村の一角に着弾する。
ドガァァァァァァン!
先ほど以上の爆音が鳴り響く。
爆風が噴き出し破片が飛散する。
村から煙と炎がごうっと立ち上がった。
「さあさあ早くしろ!さっさとしないと村ごと焼き払ってしまうぞ!」
チョビ髭の悪人は憎々しく高笑いを上げた。
「死人が出る前に早くやるんだなぁ!」
「くっ......!島を明け渡せば、この島が悪の巣窟となってしまう!だが逆らえば村民ごと焼き払われてしまう!どうすれば......」
頭を抱える村長。
しかし悪人は待ってはくれない。
「悩んでる間に村がめちゃくちゃになるぞぉ!」
再び爆音が鳴り響いた。
村が爆撃される。
破片と煙と炎が舞い上がる。
「イナバ!どうしよう!」
もうわけがわからない。
完全に自分なんかの理解の範疇を遥かに超えている。
「逃げなきゃ!逃げなきゃ!逃げな...」
「落ち着けい小僧!」
「んべ!」
イナバにグーパンチを食らった。
「な、なにするんだよ!?」
「とにかく冷静になれ!さもなくば助かるものも助からなくなる!」
「こんな状況で冷静になるなんて俺には無理だよ!」
「小僧。こんなもので慌てふためいていては先が思いやられるぞ」
「こんなものって!充分ヤバいじゃん!?」
「いや、こんなものじゃ。あれを見てみい」
イナバはある方向を指差した。
言っていることの意味がさっぱりわからなかったが、それはすぐに解消される。
悪い意味で。
「えっ??なにあの、バカデカいのは......」
なんと、イナバの指し示した方向から、こちらに向かってとんでもなく巨大な鳥獣が重々しく羽ばたいて来ていた。
全長は二十......いや、三十メートルぐらい!?
「あれはまさか!」
村長が目を剥いて叫んだ。
「魔鳥獣、プテラスキングじゃ!」
「プテラス...キング!?大怪鳥プテラスと違うの!?」
「八十神殿。プテラスはあくまで魔物。しかしプテラスキングは魔獣。つまり、プテラスよりもより危険度の高い〔ゼノ〕ということ!」
「まさか......プテラスに反応して、プテラスキングまでもが現れおったのか。ゼノは同系統のゼノを呼び寄せる性質がある。じゃが、上位のゼノを呼び寄せるとは...運が悪いのう」
イナバの顔が俄然厳しくなる。
俺と村長は悚然としてしまう。
そんな俺たちを見て、エトケテラの悪人どもが疑問を浮かべた。
「ん?どこを見ている?なにかあるのか?......あれは......はぁ!?なんだあのバケモノは!?」
まもなく......プテラスキングの巨体は、俺たちの上空から大きな影を落とす。
島がゴゴゴゴッと揺れる。
「あ、あれは......」
村長がある方向を見て声を震わせる。
「森が...燃えている?」
森の奥から煙が立ち込めている。
さらにそれだけじゃない。
「あの生き物......なに!?」
森の上空に、巨大な鳥のような獣がバサーッと羽ばたいている。
全長七、八メートルはあるだろうか。
「あれは...」
途端に村長の顔が青ざめる。
「大怪鳥プテラス」
「魔物じゃな。いや、ただのゼノじゃない。改造ゼノか」
イナバが俺の頭に乗って言った。
「しかも、よく見ると人もいる」
「人もいる?まさか......魔法犯罪組織!?」
俺の発言に村長がいっそう深刻さを表す。
「魔法犯罪組織エトケテラ。なんでも人工ゼノを利用して犯罪を犯しているという、悪名高い組織です」
「人工ゼノ?」
「はい。噂では死にかけの魔物を違法に入手して魔改造したとかなんとか。完全に違法です」
「つまり、大怪鳥プテラスを手に入れて魔改造して犯罪に利用しておるというわけか。ただのゼノだけでも一般国民にとっては充分危険な存在なのにな」
イナバの表情が一段と険しくなる。
「看過できんな。エトケテラは」
「それより......こっちに向かってくる!」
「イナバ様!八十神殿!すぐに避難を!」
村長が叫んだが遅かった。
「えっ??」
なんと大怪鳥プテラスはひと息の間に俺たちのすぐ上空まで到達していた。
「オイ!そこのジジイ!オマエが村長だな!」
大怪鳥の上から声が響く。
見ると、悪人ヅラの三人の者が怪鳥の背中に跨っていた。
「ジジイ!この島に着いた日から村長のオマエに目をつけていた!」
「な、なんの用だ!」
「もう邪魔者はいない!昨日やっつけたからなぁ!」
「ま、まさか!貴様らが国家魔術師を!?」
村長の反応に、趣味悪いスーツを着たチョビ髭の悪人がニヤけた。
「もうこの島に頼れる者はいない!殺されたくなかったらこの島全部をおれたちエトケテラに明け渡せ!!」
「そ、そんなこと......!」
「選択肢はないぞ!」
大怪鳥の口がパックリ開いた。
次の瞬間。
ブワァァァァン!!
轟音とともに口内から危険な光の塊が凄まじい勢いで放出。
光の塊は村の一角に着弾する。
ドガァァァァァァン!
先ほど以上の爆音が鳴り響く。
爆風が噴き出し破片が飛散する。
村から煙と炎がごうっと立ち上がった。
「さあさあ早くしろ!さっさとしないと村ごと焼き払ってしまうぞ!」
チョビ髭の悪人は憎々しく高笑いを上げた。
「死人が出る前に早くやるんだなぁ!」
「くっ......!島を明け渡せば、この島が悪の巣窟となってしまう!だが逆らえば村民ごと焼き払われてしまう!どうすれば......」
頭を抱える村長。
しかし悪人は待ってはくれない。
「悩んでる間に村がめちゃくちゃになるぞぉ!」
再び爆音が鳴り響いた。
村が爆撃される。
破片と煙と炎が舞い上がる。
「イナバ!どうしよう!」
もうわけがわからない。
完全に自分なんかの理解の範疇を遥かに超えている。
「逃げなきゃ!逃げなきゃ!逃げな...」
「落ち着けい小僧!」
「んべ!」
イナバにグーパンチを食らった。
「な、なにするんだよ!?」
「とにかく冷静になれ!さもなくば助かるものも助からなくなる!」
「こんな状況で冷静になるなんて俺には無理だよ!」
「小僧。こんなもので慌てふためいていては先が思いやられるぞ」
「こんなものって!充分ヤバいじゃん!?」
「いや、こんなものじゃ。あれを見てみい」
イナバはある方向を指差した。
言っていることの意味がさっぱりわからなかったが、それはすぐに解消される。
悪い意味で。
「えっ??なにあの、バカデカいのは......」
なんと、イナバの指し示した方向から、こちらに向かってとんでもなく巨大な鳥獣が重々しく羽ばたいて来ていた。
全長は二十......いや、三十メートルぐらい!?
「あれはまさか!」
村長が目を剥いて叫んだ。
「魔鳥獣、プテラスキングじゃ!」
「プテラス...キング!?大怪鳥プテラスと違うの!?」
「八十神殿。プテラスはあくまで魔物。しかしプテラスキングは魔獣。つまり、プテラスよりもより危険度の高い〔ゼノ〕ということ!」
「まさか......プテラスに反応して、プテラスキングまでもが現れおったのか。ゼノは同系統のゼノを呼び寄せる性質がある。じゃが、上位のゼノを呼び寄せるとは...運が悪いのう」
イナバの顔が俄然厳しくなる。
俺と村長は悚然としてしまう。
そんな俺たちを見て、エトケテラの悪人どもが疑問を浮かべた。
「ん?どこを見ている?なにかあるのか?......あれは......はぁ!?なんだあのバケモノは!?」
まもなく......プテラスキングの巨体は、俺たちの上空から大きな影を落とす。
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