八十神天従は魔法学園の異端児~神社の息子は異世界に行ったら特待生で特異だった

根立真先

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入学編

ep14 魔法学園初日

 * * *


 ダメだ。
 心が追いつかない。
 確かにここを目指していた。
 でも、ここまで矢継ぎ早にどんどん話が進んじゃうとわけがわからない。
 
「どうした小僧、入らんのか?すぐそこじゃぞ」

 肩に乗ったイナバから言われるまでもなく、もちろん入るよ。
 一歩進めばすぐだ。
 だって俺は今、新たな制服を着て、リュケイオン魔法学園の立派な校門前に立っているのだから......。

「なにを躊躇ちゅうちょしとるんじゃ?」

「いや、ちゅうちょっていうかさ......」

「んん?ハッキリ言うてみい」

「......て、ててて展開が早すぎてついていけないんですけどー!?」

「なんじゃなんじゃ騒がしいのぉ」

「だってそうだろ!?まさかジェットさんの一声だけでこんなにトントン拍子にいっちゃうなんて!」

 ジェットさんが凄い人だというのはわかっていたけど、想像以上だった。
 彼女はオリエンスにも少数しかいない上位ランクの国家魔術師レース・マグス
 中でもジェットさんは最高クラスにも入れる実力があると言われていた。
 最高クラスは〔ダイヤモンドクラス〕と言われ、国家魔術師として最高峰の領域に位置する。
 そこに至る者は、オリエンス中にもほんの数人しかいないらしい。
 そんな凄いジェットさんのおかげで、俺自身は何もせず、あれよあれよという間にリュケイオン魔法学園への正式な入学が決まったのだ。
 
「小僧は運が良かったな。ジェット女史が理事長の直弟子で、小僧を激推ししてくれたんじゃからなぁ」

「でも、正直、重い......」

「重いじゃと?素直に名誉と思わんか!」

「この俺が特待生だよ!?本当にいいの!?」

「良いも何も学園側がそう決めたんじゃ!こちらはその決定に従うだけじゃ!今さら弱気なこと言うでないわ!」

 たしかにこれは学園...すなわち理事長が認めたこと。
 ジェットさんが無理矢理ねじ込んだのかもしれないけど......。

「わ、わかったよ!覚悟を決める!」

「やっと気合いが入りよったな。まっ、こんなオイシイ話、まずないしな!」

「オイシイって」

「そうじゃろ?お主のような得体の知れない奴が特待生として特別に無償で受け入れられた上に寮にも住める。こんな良いことないじゃろ!」

「そ、そうだよな!俺、頑張るよ!」

「その意気じゃ!」

「頑張って、素晴らしい魔術師になるぞ!」

「よし!では入るぞ!」

 ついに俺は、リュケイオン魔法学園の生徒として、その立派な校門をくぐった......。


 ......ここ〔リュケイオン魔法学園〕は、オリエンスの大都市〔リュケイオン〕のど真ん中にある学校だ。
 そしてリュケイオンは、国内でもっとも発展している都市。

「どうだヤソガミくん。田舎の島からは想像もつかないだろ?これが我が国オリエンスの都会ってヤツだ」
 
 ジェットさんが自慢げに語ったのも納得だった。
 さすがにビルはないけど、綺麗に舗装された道路を挟んで、高さのある西洋風の立派な建物がいくつも立ち並んでいた。
 また、いくつかの背の高い塔も点在し、川には立派な鉄橋がかかっていた。

「なんだろう。いつか何かで見た雰囲気に似ている気がする......」

 そう思って「あっ」となった。
 十八世紀のイギリスの都市だったかな?
 その雰囲気に近い気がする。
 そういえば現代にも、確かスコットランドにエジンバラって都市があったよな。
 それにも似ている気がする。
 しかし......そこには俺がいた世界にはない独自の文明が存在していた。

「建築物や道路もそうだが、特に〔魔導石〕を利用した魔導インフラの整備具合は魔法大国オリエンスの中でも随一だ」

 そう言ってジェットさんが説明してくれた物の数々。
 魔導車、魔導列車、魔導灯、魔導通信......etc.
 いわゆる〔魔法文明〕というものが合わさって、街には独特な発展と調和が生み出されていたんだ。

「とても美しい都市だと思います」

 思わず口からそんな言葉が飛び出てしまった。
 美しいなんて言葉、普段は使わないのに。

「そうだよな。美しいよな!」

 その時のジェットさんの、まるで我が事のように誇らしく喜んだ顔が、とても幸せそうで印象的だったなぁ......。
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