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入学編
ep27 ルームメイト③
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*
翌朝。
個室からリビングに行くと、ライマスが本を読んでいた。
「ほう。朝から読書か」
イナバが声をかけた。
「余のルーティンだからな......て、ひぃぃぃ!!」
ライマスは飛び上がって本を投げ捨てた。
俺は床に開かれた本に目をやると「あれ?」となる。
「これって、マンガ?」
オリエンスにも漫画があるんだ~と思いながら手に取って見てみた。
日本で読んでいたものと比べるとアレだけど、ついそのまま読んでしまった。
「ん?ヤソガミ氏はコミックが好きなのか?」
「まあ好きだよ」
「ほ、ホントかぁー!!」
「そんなに驚くこと?」
「や、ヤソガミ氏は、コミックが好きな同志、すなわちオタクの同胞なのだな!?」
「はらから??」
「ち、ちょっと待ってろ!」
急にライマスはぴゅーっと自分の部屋へ戻っていったと思ったら、すぐに何かを持ってぐいんとUターンしてきた。
「こ、これなんだが!」
そう言って差し出された彼の手にあるのは、一冊のスケッチブック。
よくわからないけど、これを見てくれということなのだろうか?
とりあえず俺はスケッチブックを受け取ってページをめくってみる。
「こ、これは......」
そこには、様々なキャラクターのイラストが描かれていた。
「......」
無言でゆっくりとページをめくっていく......思わず見入ってしまった。
お世辞抜きに、上手い。
「何を見とるんじゃ」
イナバが肩に乗ってきた。
「ほう?これはライマス少年が描いたものなのか?中々よく描けておるじゃないか。なあ小僧」
「ああ、すごく上手いよ。びっくりした」
「ライマス少年には絵の才能があるんじゃな」
白兎に怯えながらもライマスは照れくさそうに頭を掻きながら嬉しさを滲ませた。
俺は素直に感心しながら見進めていく。
すると、ふと気になる絵が目に飛び込んできた。
それは下着姿の美少女のイラスト。
「誰かに似ているような......」
どこかで見たことがあるような気がする。
というより会ったことがあるような気がする。
うーんと記憶をめぐらせていくと......はたとした。
「ジークレフさん!?」
ライマスを見ると、奴は不敵にニヤリとする。
「ユイミ・テレジア・ジークレフ嬢(推定美乳)だ。一年生の中でも一、二を争う美少女を余が見逃すはずがない」
思わず俺は再度イラストを凝視した。
た、たしかに、あの学級委員長だ......しかも下着姿の!
「どうした小僧?顔が赤いぞ?」
イナバの言葉にハッとした俺はスケッチブックをばたんと閉じた。
ここでなぜかライマスはうーんと腕を組む。
「やはり足りないのだ」
「?」
「当然ながら実際の下着姿など見たことはない。だからそれはあくまで想像。しかし、せめて下着そのものだけでも見ることができれば、もっと素晴らしい絵が描ける気がするのだ」
コイツは真剣な面持ちでなにを言っているんだ?と思った次の瞬間、ハッとした。
「ま、まさか、ジェットレディの下着を求めてきたのも......」
「同じ理由だ」
「お、お前は......なにを目指しているんだー!?」
「そんなの決まっているだろう。萌え絵師だ!」
「なんで魔法学園にいるんだ!!」
「そんなの決まっているだろう。魔法少女がたくさんいると思ったからだ!」
ばんっ!と見栄を切るライマス・ループレイク。
俺は呆気に取られながら、もはや百八十度まわって「逆にスゴイな......」とすら思った。
「わっはっは!お主は愉快な奴じゃな!わっはっは!」
イナバはまるで相手を認めたかのように陽気な高笑いを上げた。
翌朝。
個室からリビングに行くと、ライマスが本を読んでいた。
「ほう。朝から読書か」
イナバが声をかけた。
「余のルーティンだからな......て、ひぃぃぃ!!」
ライマスは飛び上がって本を投げ捨てた。
俺は床に開かれた本に目をやると「あれ?」となる。
「これって、マンガ?」
オリエンスにも漫画があるんだ~と思いながら手に取って見てみた。
日本で読んでいたものと比べるとアレだけど、ついそのまま読んでしまった。
「ん?ヤソガミ氏はコミックが好きなのか?」
「まあ好きだよ」
「ほ、ホントかぁー!!」
「そんなに驚くこと?」
「や、ヤソガミ氏は、コミックが好きな同志、すなわちオタクの同胞なのだな!?」
「はらから??」
「ち、ちょっと待ってろ!」
急にライマスはぴゅーっと自分の部屋へ戻っていったと思ったら、すぐに何かを持ってぐいんとUターンしてきた。
「こ、これなんだが!」
そう言って差し出された彼の手にあるのは、一冊のスケッチブック。
よくわからないけど、これを見てくれということなのだろうか?
とりあえず俺はスケッチブックを受け取ってページをめくってみる。
「こ、これは......」
そこには、様々なキャラクターのイラストが描かれていた。
「......」
無言でゆっくりとページをめくっていく......思わず見入ってしまった。
お世辞抜きに、上手い。
「何を見とるんじゃ」
イナバが肩に乗ってきた。
「ほう?これはライマス少年が描いたものなのか?中々よく描けておるじゃないか。なあ小僧」
「ああ、すごく上手いよ。びっくりした」
「ライマス少年には絵の才能があるんじゃな」
白兎に怯えながらもライマスは照れくさそうに頭を掻きながら嬉しさを滲ませた。
俺は素直に感心しながら見進めていく。
すると、ふと気になる絵が目に飛び込んできた。
それは下着姿の美少女のイラスト。
「誰かに似ているような......」
どこかで見たことがあるような気がする。
というより会ったことがあるような気がする。
うーんと記憶をめぐらせていくと......はたとした。
「ジークレフさん!?」
ライマスを見ると、奴は不敵にニヤリとする。
「ユイミ・テレジア・ジークレフ嬢(推定美乳)だ。一年生の中でも一、二を争う美少女を余が見逃すはずがない」
思わず俺は再度イラストを凝視した。
た、たしかに、あの学級委員長だ......しかも下着姿の!
「どうした小僧?顔が赤いぞ?」
イナバの言葉にハッとした俺はスケッチブックをばたんと閉じた。
ここでなぜかライマスはうーんと腕を組む。
「やはり足りないのだ」
「?」
「当然ながら実際の下着姿など見たことはない。だからそれはあくまで想像。しかし、せめて下着そのものだけでも見ることができれば、もっと素晴らしい絵が描ける気がするのだ」
コイツは真剣な面持ちでなにを言っているんだ?と思った次の瞬間、ハッとした。
「ま、まさか、ジェットレディの下着を求めてきたのも......」
「同じ理由だ」
「お、お前は......なにを目指しているんだー!?」
「そんなの決まっているだろう。萌え絵師だ!」
「なんで魔法学園にいるんだ!!」
「そんなの決まっているだろう。魔法少女がたくさんいると思ったからだ!」
ばんっ!と見栄を切るライマス・ループレイク。
俺は呆気に取られながら、もはや百八十度まわって「逆にスゴイな......」とすら思った。
「わっはっは!お主は愉快な奴じゃな!わっはっは!」
イナバはまるで相手を認めたかのように陽気な高笑いを上げた。
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