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入学編
ep36 告白
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*
放課後。
ほとんど使用されていない、狭い用務室。
中にいるのは俺とミアだけ。
「なんでわざわざここに?」
神妙な顔でミアから「話があるの」と言われ、引っ張られるままに来てはみたものの、よくわからない。
「誰にも聞かれたくない話なら、学校外のほうがいいんじゃ......」
俺の疑問に、ミアはドアの鍵をしっかりと閉めてから答えた。
「学校の外でも誰かに会っちゃう可能性あるし。ここのほうが安全だと思ったから......」
「......聞いてみないとわからないけど、俺はそもそもリュケイオンにも来たばかりだし、やっぱりフェエルにも聞いてもらったほうがいいんじゃ......」
「ヤソガミくん...本当に気づいていないの?」
「それは......」
思い当たることはないでもない。
今日一日、ミアはやたらと俺にべたべたしてきた。
さすがに授業中は控えていたけど、昼休みには腕に抱きついてきたり膝を撫でてきたりと凄まじい猛攻。
まわりからも...とりわけ女子を中心にジロジロと視線を集めたぐらいだ。
ミアの好意は誰の目から見ても明らか。
でも、俺は先日フェエルに対して思いっきりイタイ勘違いをしている。
だから今回はそうは思わないようにしていた。
「わかるような、わからないような......」
奥歯に物が挟まったような言い方で誤魔化した。
我ながらこれはこれでカッコ悪い気がする。
「じゃあ、ハッキリ言うね?」
ミアの上目遣いの視線がぴたっと俺に貼りついた。
「わ、わたし、ヤソガミくんのこと、その......す、好きです......」
告白キター!!
まさかと思ったが、こんな可愛い女の子から告白されるなんて!
思わず鞄がちゃんと閉まっていないかを確認した。
中に白兎がいるから。
良かった。
イナバは最後の授業中からずっと眠ったままだ。
こんな場面を神使に共有されたくない。
「あ、ありがとう。その...」
と俺が返事をしかけると、
「いいの!今はまだ答えなくて!だって、まだ出会ったばっかりだし!」
ミアがそれを遮った。
「わたしの気持ちを知っていてくれれば、今はそれでいいから」
「そ、そうか。わかった」
「そ、そうだ!お昼に出すの忘れちゃってたけど、持ってきたお菓子があるの!一緒に食べよ?」
「あ、ああ。いただくよ」
「ウチのパン屋で作ってるお菓子なんだ!美味しいから!」
「そうなのか。じゃあどこか移動しようか。こんな用務室じゃ...」
「こ、ここでいいよ!ここなら、その、ふたりっきりだし......」
ミアは恥ずかしそうに目を伏せる。
俺も恥ずかしくなって視線を逸らすと、横にあった大きな鏡に映るミアの横顔が目に入る。
死ぬほど可愛い。
「じゃ、じゃあ、そのへんに座ろうか」
「う、うん」
椅子はなく、ふたりで床に腰をおろす。
体育座りで並ぶふたり。
俺はミアの顔がまともに見れず、鏡越しでチラチラと彼女を見る。
「これ、どうぞ」
ミアは綺麗にラッピングされたお菓子を俺に手渡す。
間がもたないので、さっそく開けて一個のクッキーを口に運んだ。
「う、うまい」
本当に美味しい。
恥ずかしさもあり、気がつけば二個目に手を出している。
「美味しい。ありがとう、ミア」
そう口にして、やっとマトモにミアへ顔を向けた。
彼女はうつむいていて、はっきりとその表情が見えない。
数秒後......。
「ヤソガミくん!」
ミアが正面からガバッと抱きついてきた。
「す、好き......」
「ミア......」
ぴったりとくっついたまま位置がズレて、俺の背中側に鏡が来る。
こうなるともう彼女の表情は確認できない。
わかるのは身体から伝わってくる情報だけ。
彼女の心臓の鼓動と体温が、生々しく伝わってくる。
同時に、自分の心拍数が急激に上昇していくのがわかる。
でも......なんだ?
どういうわけか、それに反比例して急激に眠気が襲ってきた?
「あれ?なんだろう......」
視線もボヤけてきた。
ミアにもたれかかってしまう......。
放課後。
ほとんど使用されていない、狭い用務室。
中にいるのは俺とミアだけ。
「なんでわざわざここに?」
神妙な顔でミアから「話があるの」と言われ、引っ張られるままに来てはみたものの、よくわからない。
「誰にも聞かれたくない話なら、学校外のほうがいいんじゃ......」
俺の疑問に、ミアはドアの鍵をしっかりと閉めてから答えた。
「学校の外でも誰かに会っちゃう可能性あるし。ここのほうが安全だと思ったから......」
「......聞いてみないとわからないけど、俺はそもそもリュケイオンにも来たばかりだし、やっぱりフェエルにも聞いてもらったほうがいいんじゃ......」
「ヤソガミくん...本当に気づいていないの?」
「それは......」
思い当たることはないでもない。
今日一日、ミアはやたらと俺にべたべたしてきた。
さすがに授業中は控えていたけど、昼休みには腕に抱きついてきたり膝を撫でてきたりと凄まじい猛攻。
まわりからも...とりわけ女子を中心にジロジロと視線を集めたぐらいだ。
ミアの好意は誰の目から見ても明らか。
でも、俺は先日フェエルに対して思いっきりイタイ勘違いをしている。
だから今回はそうは思わないようにしていた。
「わかるような、わからないような......」
奥歯に物が挟まったような言い方で誤魔化した。
我ながらこれはこれでカッコ悪い気がする。
「じゃあ、ハッキリ言うね?」
ミアの上目遣いの視線がぴたっと俺に貼りついた。
「わ、わたし、ヤソガミくんのこと、その......す、好きです......」
告白キター!!
まさかと思ったが、こんな可愛い女の子から告白されるなんて!
思わず鞄がちゃんと閉まっていないかを確認した。
中に白兎がいるから。
良かった。
イナバは最後の授業中からずっと眠ったままだ。
こんな場面を神使に共有されたくない。
「あ、ありがとう。その...」
と俺が返事をしかけると、
「いいの!今はまだ答えなくて!だって、まだ出会ったばっかりだし!」
ミアがそれを遮った。
「わたしの気持ちを知っていてくれれば、今はそれでいいから」
「そ、そうか。わかった」
「そ、そうだ!お昼に出すの忘れちゃってたけど、持ってきたお菓子があるの!一緒に食べよ?」
「あ、ああ。いただくよ」
「ウチのパン屋で作ってるお菓子なんだ!美味しいから!」
「そうなのか。じゃあどこか移動しようか。こんな用務室じゃ...」
「こ、ここでいいよ!ここなら、その、ふたりっきりだし......」
ミアは恥ずかしそうに目を伏せる。
俺も恥ずかしくなって視線を逸らすと、横にあった大きな鏡に映るミアの横顔が目に入る。
死ぬほど可愛い。
「じゃ、じゃあ、そのへんに座ろうか」
「う、うん」
椅子はなく、ふたりで床に腰をおろす。
体育座りで並ぶふたり。
俺はミアの顔がまともに見れず、鏡越しでチラチラと彼女を見る。
「これ、どうぞ」
ミアは綺麗にラッピングされたお菓子を俺に手渡す。
間がもたないので、さっそく開けて一個のクッキーを口に運んだ。
「う、うまい」
本当に美味しい。
恥ずかしさもあり、気がつけば二個目に手を出している。
「美味しい。ありがとう、ミア」
そう口にして、やっとマトモにミアへ顔を向けた。
彼女はうつむいていて、はっきりとその表情が見えない。
数秒後......。
「ヤソガミくん!」
ミアが正面からガバッと抱きついてきた。
「す、好き......」
「ミア......」
ぴったりとくっついたまま位置がズレて、俺の背中側に鏡が来る。
こうなるともう彼女の表情は確認できない。
わかるのは身体から伝わってくる情報だけ。
彼女の心臓の鼓動と体温が、生々しく伝わってくる。
同時に、自分の心拍数が急激に上昇していくのがわかる。
でも......なんだ?
どういうわけか、それに反比例して急激に眠気が襲ってきた?
「あれ?なんだろう......」
視線もボヤけてきた。
ミアにもたれかかってしまう......。
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