八十神天従は魔法学園の異端児~神社の息子は異世界に行ったら特待生で特異だった

根立真先

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動乱編

ep101 特別クラス

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「フェエル!」

 俺はフェエルの手を取って引き寄せた。
 危なかった。
 呼び止めるのが一歩遅れていれば、フェエルが直撃を喰らっていたところだ。

「あ、ありがとう、ヤソミん」

 びっくりした表情のまま、まだ状況がわからない様子のフェエル。
 だが俺はすでに理解している。

「誰だ!出てこい!」

 俺の呼び声に、敵はあっさりと姿を現した。

「どーもどーも。特待生のヤソガミくーん」

 木の上からスタッと着地し、俺たちに向かって歩いてくる男子生徒ふたり。
 特異クラスの生徒じゃない。
 ふたりとも特別クラスの奴だ。

「さすがは特待生。不意打ちも気づかれちゃったか」

 ひとりは長めの髪をした気取り気味の男子で、アルマと思われるナイフを携えている。

「だからハナっから正面からやりゃーいいって言ったじゃねーか」

 もうひとりはツーブロックの短髪に浅黒い肌をした体格の良い男子で、アルマと思われる斧を携えている。

「あ、あいつらは......」

 彼らを前にしてライマスがびくつく。

「よりによって、なんであいつらが......」

「どんな奴らなんだ?」

「や、ヤソガミ氏。か、彼らは、シャレク生徒会長やレイ姉妹につぐ実力者だ」

「そんなにスゴイのか」

「あ、ああ。ノエルは高い技術を持ったナイフ使いで、接近戦のみならず中距離戦でも力を発揮できる実力者だ。さっきの攻撃は、ノエルの魔力を乗せた投げナイフによるものだと思う」

「ナイフであんな爆発が起こせるのか。危ないな」

「あ、危ないという意味では、斧使いのマッキンリーの方が危険だ。彼のパワーは特別クラスでも随一といっていいものだ。マッキンリーの斧攻撃を受け止め切れる奴など、学生にはいないんじゃないか」

「なるほど。ナイフ使いのノエルに、斧使いのマッキンリーか......」

 彼らふたりが只者ではないというのはよくわかった。で、どう対応する?
 この合同魔術演習の実態に気づいてしまった今、もはや彼らと対峙することは避けられないか。

「お、おい!生徒同士の戦闘は禁止ってガブリエル先生のルール説明聞いてなかったのかよ?さっきの攻撃でお前ら失格になるし!」

 エマがふたりをビシッと指差して吠えた。
 ノエルとマッキンリーは一瞬「えっ?」という顔を見せてから、ぶっと吹き出した。

「マジで言ってんの?それ」
「スマンスマン。つい笑っちまった」

 むかーっとするエマに向かって俺はかぶりを振って見せる。

「エマ。あいつらは間違っていない」

「はあ?なんでヤソガミがヤツらの味方すんの??」

「そういうことじゃない。ルール上、あいつらの行為は許されているからだ」

「あっ!そ、そっか!」

 フェエルも気づいたようだ。

「ヤソガミくん、どういうことなの?」

 ミアが訊いてくる。

「ほらほら、お花畑のお友達に説明してあげなよ」

 ノエルが嘲りの笑みを浮かべながら俺に振ってきた。
 しゃくに障る言い方だが、確かに俺たちはお花畑で甘かったかもしれない。
 今のうちにエマたちにも説明しておかなければ。
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